岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

【イラク】帰還米兵の心の闇は深い。

2005-03-27 23:17:33 | 世界のなかま
テレビ・ドキュメントを観て、これは大変なことだと思った。
戦争に参加することで、精神を病むことは昔から知られて
いた。第1次世界大戦後にはすでに大きな問題になったいた。

日本では、戦争ボケなどどいわれた。
勇者がなる病ではないといわれ、表面化されない場合が
多かっただろう。この傾向は今でもある。

イラク戦争では、ストレスを感じたら上官に相談せよ、
といわれているらしい。
しかし相談すると、本国送還され軍法会議にかけられたと
いうケースもある。罪の名は「臆病罪」。最高刑は死刑。
このケースでは告訴が取り下げられたというが、
軍の対応により、2次被害を受け事態はより深刻になった。

米軍の場合、前線で対応するのがストレスセンターでの
72時間の治療という。この程度のことで効果があるとは
思えないが、仮病を使って帰国されたらたまらないとの
ことらしい。勢力保持が目的だ。

本国ではPTSDセンターに入所治療が行われるが、日常的に
戦争をしているこの国ではべトナム戦争、湾岸戦争、イラク
戦争と世代が異なる患者がいる。
効果的なのはグループ治療という。納得できる。

では、PTSD発症の原因はというと、やはり不条理である。
具体的にいえば、武器を持たない民間人への発砲、殺人である。
どうしてもやみくも発砲するケースが多いイラク戦の場合、
殺した後に武器を持たない民間人とわかる。兵士は命令を
出した上官に「どうすればよいか」という。
上官は、民間人の中にゲリラがいるからしかたないのだという。
このように教えられているのだが、事態に直面すると、
納得しようにも現実が許さない。
番組の中では、1週間35名の民間人を殺害したという兵士の
告白があった。

ベトナム戦以降の戦争は、すべてこのタイプである。
帰還米兵の心の闇は深い。

最近、米国は無人兵士武器を試作している。ロボットが相手を
見つけて銃撃する。ロボットに心はないから病むことはない。
ロボット同士の闘いならまだしも、ロボットに襲われる人間は
たまったものではない。

空軍や海軍の攻撃はロボットに近い。
襲うほうは、心を病む恐れがないのである。
米軍が好むはずである。

ブッシュには兵士の心に痛みなど知るよしもないのだろう。

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