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柏木哲夫先生は淀川キリスト教病院名誉ホスピス長です。
ホスピス研修の先駆者としてつとに有名ですね
『人生の実力』は2006年に幻冬舎から出版されています。
副題は、2500人の死をみとってわかったこと。
3章で構成されています。
第1章 悲しみが人を成長させる
第2章 人の気持ちがわかる人
第3章 人間は弱くもあり、強くもある
各章は、2~4頁ほどの独立した文章が12~20程度で構成されています。
その独立した文章が連なって、章だてのテーマとなります。
第1章は、「悲しみが人を成長させる」がテーマです。
この悲しみは他人や家族を失う悲しみであり、また自分自身の喪失(死)をも含まれる。
もちろん、自分自身の喪失は最大の悲しみであるが、その瞬間の前に人は飛躍的な成長を遂げうるし、
実際に遂げている人がいると書かれている。
著者は「庶民の死」という言葉を使って説明される。
庶民とは、普通の人のことです。
普通の人は人生を過ごすうちに多くの喪失を体験する。
入学試験に落ちたり、行きたい会社に行けなかったり、失恋したり、リストラにあったりする。友人や家族を失いこともある。
その喪失や悲嘆が実は「小さな死」であるという。
庶民はそうして「小さな死」の経験を積み重ねることで、最大のストレスである死への準備が出来ている人が多い。
だから割合うまく亡くなることができるという。
一方、人生が順風満帆に進んできた人が、初めて遭遇するのが「死に至る病」の場合は大変なことになるというのだ。
そういえば、国王や貴族が不老不死の薬を探させる話はよく聞く。
何不自由のない生活を送る人々にとって死は大変なストレスだ。
一方、庶民の感覚では、「このまま生き続けるのもしんどいものよ」ではないだろうか。
すでに十分修行を積んでいることになる。
ここでは一つの文章を取り上げました。
もちろん他の文章からも多くのことが学べました。
※写真は今日の散歩道。