岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

「アララトの聖母」 その2

2010-08-02 20:49:21 | 日本の仲間



アララトとは、アルメニア人の聖なる山の名です。
アルメニア人の象徴といっていいでしょう。
日本人のとっての富士山に近いかもしれません。

アララト山は、現在、トルコが領土にしていますがアルメニア共和国は認めていません。
1915年、オスマントルコは、領内のアルメニア人を虐殺か領外への強制移動をしてします。
そのためトルコにはアルメニア人はいなくなってしまいました。

この映画の劇中映画の舞台は、ヴァンという県です。
ここはアルメニア人がトルコ軍に対して蜂起した場所です。

現在のアルメニア共和国の地図でヴァン県を探すのですが見当たりません。
グーグルで検索するトルコ領でした。
ヴァンに住んでいたアルメニア人は虐殺されるか領外に追放されたのでした。
アルメニア人は家族を失い、故郷を失い、現在もなお近寄ることができないのです。

このことを踏まえて、映画を観ていくと、主人公たちの気持が少し理解できます。

主人公は、ハイティーンの学生です。
アルメニア系カナダ人です。
両親はアルメニア人。そして愛国者です。
父親は、トルコ大使を暗殺しようとして射殺されます。
母親は、大学教授で、ゴ―キ―研究の専門家です。

ゴーキーは有名な画家です。
アルメニア人で、ヴァンの生れです。
その一で掲載したポスターを書いた画家です。
ヴァンからの強制移住後、米国に亡命しました。

母親と一緒に撮ったただ1枚の写真を彼は絵に書きます。
この絵は、アルメニア人のこころを表しています。

主人公の母親の講義は美術館で行われます。
その講義を聞きに来た映画監督と脚本家は、ゴーキーを映画の中に新たに登場させる構想を
考え始めます。
この講義を聞いていた人々の中に、この映画の進行にとって重要な人物が一人いました。
彼女は主人公の義妹でした。

つづく

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