丸山の芸子お元役を、蒼井優が演じている。
非常に複雑な役につくられているのだが、役作りには感心する。
まず、お元は奉行所の密偵である。
しかしそれだけではなく、その奉行所を欺いている隠れキリシタンという。
これだけ複雑な役にすると、彼女の本心はどの表情に現れているのか、視聴者は混乱をしてしまう。
さて、今夜の龍馬は、西郷と高杉と長崎商人の間にあって、ことを始めようと四苦八苦する。
たかが浪人グループの代表である龍馬に各藩の実力者や大商人が交渉相手となると言う。
小説としても、とても信じられない設定だ。
しかし、ここは真実なのだ。
『龍馬伝』は多くのフィクションが織り交ぜられているが、
もっとも、荒唐無稽と思われる薩摩と長州の同盟を成し遂げたということが事実なのだ。
このことが史実である以上、少々のフィクションは許されると思ってしまう。
脱藩浪士にできる仕事を完全に逸脱している。
テレビをみていても信じられないよ。
薩長同盟は。
このことは歴史的に実証されていると言えるでしょうか?司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」の影響で根拠なき思いこみではないでしょうか?
このことについて徹底的な実証主義作家の吉村昭さんは,薩長同盟締結における坂本龍馬の役割についても,完全否定していて,次のように発言しています。
「薩長同盟というと,坂本龍馬が斡旋したことになっているのですが,坂本龍馬は土佐藩の藩士ではなく,郷士です。坂本龍馬が両方を仲介して薩長同盟を結ばせたといわれていますけれども,そのようなことは史実にないのです。
一人の人間が薩摩と長州,今のアメリカとソ連のようなものですが,それを中に入って話をつけるなどありえない。一番最大のものは武器なのです。武器で合致してしまった。
それでこの薩摩・長州が新鋭銃,新鋭の大砲,これを(注:イギリスから)輸入して,そして幕府と対抗する。鳥羽伏見の戦いで,幕府軍は1万5千人,薩長の方は4,5千なのですね。それで圧勝してしまったのです。なぜかというと武器なのです。武器の勝利なのです。」(「ひとり旅」文春文庫,P.200)
そして竜馬を介さない薩長両藩の書簡のやり取りを見つけて証明しています。
だから薩長同盟のある時期に竜馬が両藩士に関係があったとしても、竜馬が行くで描かれている形で、竜馬が同盟の中心的役割を担ったということは完全なる史実とは言い難いと思います。
コメントありがとうございます。
竜馬抜きの薩長同盟なら合点がいきます。
確かに「龍馬が行く」の影響は大きいですね。
ご教示ありがとうございました。
龍馬が裏書きしているとあります。
提携内容(6ヶ条)
一、戦いと相成候時は、すぐさま二千余の兵を急速差登し、只今在京の兵と合し浪華へも一千程は差置き、京阪両所相固め候事
一、戦、自然も我が勝利と相成り候気鋒相見え候とき、其節朝廷へ申上げきっと尽力の次第これあり候との事
一、万一敗色に相成り候とも、一年や半年に決して潰滅致し候と申す事はこれなき事に付き其間には必ず尽力の次第これあり候との事
一、是なりにて幕兵東帰せし時は、きっと朝廷へ申上げすぐさま冤罪は朝廷より御免に相成り候都合にきっと尽力との事
一、兵士をも上国の土、橋、会、桑も只今の如き次第にて、勿体なくも朝廷を擁し奉り、正義を抗し、周旋尽力の道を相遮り候時は、終に決戦に及ぶほかこれなくとの事
一、冤罪も御免の上は、双方とも誠心を以て相合し、皇国の御為に砕身尽力仕り候事は申すに及ばず、いづれの道にしても、今日より双方皇国の御為め皇威相輝き、御回復に立ち至り候を目途に誠しを尽くして尽力して致すべくとの事なり
坂本龍馬が桂小五郎の求めに応じて裏面に朱書で、裏書署名している。