現人類が、東アフリカの故郷から旅立ちを成功させたのは約5万年前に、ただ1回と言われている。
それから他の人類との戦いに勝利し、厳しい氷河期にも生き残った後、約5000年前に文明化した。
メソポタミア・バビロン、エジプト、パキスタン・ハラッパ、中国王朝「殷」などである。
アフリカの故郷を旅立った現人類は、文明化まで4万5000年が必要だった。なぜ4万5000年という長さが必要だったのか。
このギャップを「ホモ・サピエンスの逆説」というらしい。
この4万5000年の間に人類はどう変化したか。
もっとも大きな変化は定住化である。
定住化は約1万5000年前といわれる。
農耕が始まったのは約1万年前という。
「核家族、互恵性、言語、宗教。これら4つが社会的動物であるヒトの入り組んだシステムの土台となっている。」
核家族は、ヒトが作り出したものだろう。
互恵性は他の霊長類でもみられるものでもっと以前から与えられていたのだろう。
言語と宗教は密接に関連しており、現人類がアフリカを旅立った時にはすでに言語を獲得していたのだろう。
宗教は社会的規範、すなわち、人々に戒めを定めただろう。
それは、社会の存続にリスクを与える「反社会的行為」の防止策だったかもしれない。
この4つの要素に、定住化が加わり、農耕化することで文明が生まれたことになる。
そして、ヒトは文明の中での社会化を進めることになる。
ここではさまざまの概念が生まれてきたはずだ。
「財産、価値観、数、重さ、測定、数量化、物質、金銭、資本、経済。」
これらの概念は定住化する前の狩猟採集民の生活には必要ではない。
そのように考えれば、私たちの生活面での原型は、1万年をそう遡らないだろう。
しかし、互恵性(利他互恵性)はそれより遥か昔から、人類の土台となっていた。
私たちは、こころの奥底に持っているこの互恵性にもっと自信をもってよいのではないかと思う。
※引用は、『5万年前-このとき人類の壮大な旅が始まった』ニコラス・ウェイド著 イーストプレス発行
※写真は吉備高原山中の「定住化」?
私は岡山は、西大寺の生まれです。
備後を中心にあちこちにも飛び回り、自分の気に入った記事を毎日更新しています。
こちらのブログ、なかなか考察がおもしろいですね。ホモサピエンスの進化、その進化の土台、興味深く読ませてもらいました。
今後とも、ブログ交流していければ幸いです。