岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『歴史のなかの宗教心理学ーその思想形成と布置』

2009-12-01 20:56:41 | 
堀江宗正著 岩波書店 2009年
価格が7500円プラスとのことなので、手が出ない。
いつもの県立図書館で借りることになった。
著者には申し訳ないことです。

この本は、私の興味に合致していると思われた。
なにしろ、タイトルの、歴史・宗教・心理学というキーワードすべてに反応してしまう。
実は、日頃、心理学と宗教というキーワードを対置して考えることはない。
特に日本ではまったく別なものと考えているのではないだろうか。

あとがきに著者が「本書は、東京大学人文社会系研究科に博士学位請求論文(論文博士)として
提出したものを土台としている」と書いている。

bonn1979先生が書かれていた博士論文である。
博士論文の要素(以下に引用)

【長い時間】
博士論文と修士論文の違い
博士論文の方は、
1 長い時間がかかっている
2 他にはない自分の主張・発見がある
3 テーマに現代性というか公共性がある
4 他の論文に引用される。

(引用終わり)

この本(論文)は、1~3までの要素を備えている。
4は、これからですね。

1969年生まれの著者が15年をかけた論文です。
私が、内容について書くわけにはいきません。
が、この論文こそ、博士論文に値するものと感じ入りました。

表紙裏に印刷された紹介文を上げておきます。

「心理学という学問の思想形成において、宗教はどのような存在であったか。
フロイト、ユング、フロム、エリクソン....。
心理学者たちは、宗教を対象化し、宗教との差別化をはかりながら、かえってその役割を代替してきた。
20世紀初頭から1960年代までの欧米の宗教心理学者たちの研究を丹念に読み解き、
その布置関係を歴史の中に位置づけ、理論と実践の矛盾を踏まえながら評価の指標を示す。
宗教と非宗教のあわいに存在する複雑で多元的な思想の宇宙に光を当てる」

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