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岩手県大槌町の丘に置かれた白い電話ボックス。
電話線は天国につながっている。
私たちの目には見えない。
震災で別れ別れになった人々がここから電話をする。
美しい四季の中で、
心を通わせたい人々が思いを話す。
実際にお会いして話をしても心の奥にしまっていることはわからない。
別れ別れになって人がこころの電話で会話するときに思いのたけが垣間見える。
「かけがえのない」とはどういうことなのか。
「人が人を想う」とはどういうことなのか。
「人が人を失う」とはどういうことなのか。
私たちは忘れて生きている。
そのとき、私たちは言葉を持たない。
そんなことは言葉にならない。
こころに蓋をしてしまう。
蓋をしたこころが,電話線のない電話から天国につながっている。
間違いなくつながっている。