岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『坂の上の雲』第2話、明治10年代から20年代へ。

2009-12-06 22:12:19 | 日本の仲間
この時期の主人公たちは、エリート学生の時代。
小さな話を積み重ねていくことになるが、いわゆる「溜め」の季節。
秋山弟は、予備門から海軍兵学校へ転身。
正岡は、俳句の世界へ。
秋山兄は、フランス騎兵へ。

後の仕事の入口にいる。

正岡妹は、軍人と離婚することになったが、和裁の腕が家計を助ける。
当時、各地に紅工場という女性のための職業学校があった。
家庭を助ける女性のために和裁を教える学校だった。

紅工場の生徒の中から、女学校を創設していく人々が現れる。
知識と職業を持つことから、自立へと繋がっていくのだが、その芽生えの時代でもある。

この『坂の上の雲』の主人公が軍人ということで、物語の視野が狭くなる場面が
増えてきた。
今後、軍隊という特殊な世界をどのように描けるか(批判的にも)にかかっている。
司馬遼太郎の原作には、納得できないところがある。

NHKがドラマ化するならば、「司馬ワールドを映像化しました」では通らない。
ドラマの「語り」は、司馬遼太郎らしい言葉で話される。
この点も要注意だと思う。

この司馬遼太郎の文章は、結構なるほどと思わせるところがあるのだけれど、
多くの小説や紀行を読んでいくと、「これでいいのか」と思い始める。

ほとんどの読者が知らない世界を文章化するのだから、彼の魅力な語り口に
引き込まれて、彼の視点を受け入れることになる。

NHKがドラマ化する場合は、司馬遼太郎の視点からもっと視野を広げる必要があると思う。
でなければ、一人の人間の歴史観を視聴者に植え付けてしまう。

ドラマとして面白いだけに気になる点です。

※吉備津彦神社の門前市をなす。

最新の画像もっと見る