岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

2005年4月25日を忘れない。

2010-04-25 11:10:09 | JR西福知山線脱線転覆事故&安全
私たちは、多くの人間の手による事故を体験、あるいは見聞してきました。
特に、2005年4月25日午前9時17分に発生したJR福知山線脱線転覆事故は、記憶に新しい大事故です。

なくなられた方々や遺族の方々、負傷した方々、の事故後の日々の思いは、私の想像のおよばないところです。

今朝の朝日新聞には、乗務していた車掌が初めて命日の今日、現場を訪れるという記事が掲載されていました。

一瞬にして事故前の生活から断絶された被害者の方々の悲嘆はいかほどのものか。
昨日観た映画「21グラム」は、その片鱗を見せてくれます。

幸福な日々を送っていた家族がある日、交通事故に巻き込まれます。
父親と娘二人は、ファミレスで食事後、歩いて帰宅する途中に、スピードをあげて走ってきたピックアップトラックに
はねられてしまいます。

家族の中で一人別行動をとっていた母親は自宅に帰り警察からの連絡で事故を知ります。
病院では夫が脳死状態であり、娘二人は即死だったことを告げられます。
若い母親は瞬時にして、家族を消滅されられてしまいます。

そして、時間を置かず脳死状態の夫の臓器(心臓)提供の話を病院側から打診されます。
臓器提供の話はこのように家族が思考停止状態に陥っている時に決断を迫ります。

この物語は、被害者家族である妻、臓器提供を受けた大学教授と妻、ピックアップトラックを運転していた
加害者とその家族を、同時に描きながら進行していきます。

その上、時間を細切れにされた画面はフラッシュバックのように脳裏に焼き付いていきます。
観客の心理を十分把握した高度なテクニックです。
観客はさまざまな感情を画面から受け続けます。
被害者家族の喪失と悲嘆、愛と憎しみ、絶望と怒り、信仰と懐疑。
物語はどのような終わり方をするのか、想像する余裕もありません。

この映画は劇中の人々の感情表現がとてもリアルで、どうしても5年前の事故と重なってしまいます。

現代に生きる人々には必見の映画だと思います。
特にJR西日本の方々には必須の映画です。

※写真は総合グランド、桃太郎アリーナから。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
どこに問題の根っこがあるのか (bonn1979)
2010-04-25 15:43:55
この5年間
実に76ものこの事故に関する記事を
ブログに書いてこられた
岩清水さんならでは
の叫びをあらためてお聞きました。

これまでは
テレビ報道によるものしか知りませんが
「人災」であることは
広く社会の認めるところでしょう。

薬害の問題にも
繰り返される構造があります。

やはり
社会の深いところに傷みがありますね。
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何も変わっていません (Maa-chan)
2010-04-25 17:47:15
 鉄道好きから見ていて,残念ながらJR西日本は,あれだけの事故の後も変わっていない気がしています。日々報告されるちょっとしたミス(オーバーランや停車駅を通過した等)は後を絶ちません。何か改善するべきところがあるのでしょうが,管理部門が気付いていないか,あえて気付かないフリをしているのでしょう。

 ちょっとしたミスは,現場からのサインです。気付かないフリを続けていたら,また同じような事故が起きるでしょう。
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4月25日を忘れない。 (岩清水)
2010-04-25 22:05:26
bonn1979先生
Maa-chanさん

コメントありがとうございます。
このような事故に対して私自身も思うところが
数多くあります。

しかし、今日は鎮魂の日です。
日頃の思いは抑えておこうかと思います。

コメントありがとうございます。
励みにさせていただきます。
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