今日は一日家の中で根詰めた作業をしていました。朝から涼しくて秋の風が吹いています。北からの空気を感じましたよ。
さて、今日は本を一冊ご紹介します。タイトルは『自分のためのエコロジー』で、著者は甲斐徹郎さんという方です。

甲斐さんは、元々建材や住宅のマーケティングをお仕事にしていたのですが、『その延長に住みやすい環境はない』という確信から独立をして環境共生住宅のコンサルタントを始めたという方です。
実はこの本は造園の世界の先輩から薦められたのです。その先輩からは「こままさ君、あなたはグリーンカーテンをどう思う?」と訊かれました。
グリーンカーテンというのは、家のベランダなどにキュウリやゴーヤなどのツル植物を育てて、日陰を作りながら収穫をするというものです。
私としては、どうもこれはすばらしい、とも思えず、「やらないよりはやった方がよいのでしょうが、それほど劇的な効果があるとも思えません」と答えました。すると先輩は「そうだろう、そうなんだ。造園を専門にしているなどという人に限って、そういうある種見下した感想を言うものなんだ」とおっしゃいます。
「そうじゃないんですか?」
「まあ、この本を読めば目からウロコが落ちると思うよ。緑とは何か、そもそも熱とは何か、ということがね」
そんなわけで借りてきたのがこの「自分のためのエコロジー」という本なのです。
一読して感心しました。甲斐さんは、我々が家の中で暑く感じるのは熱があるからだけれども、実は感じやすい熱と感じにくい熱があるのだといいます。
空気のもっている熱は暑さとして気温で測れます。しかしこの熱は実は人間には伝わりにくいものです。空気は熱伝導率という熱を伝える力が弱いからです。
これに対して水は熱伝導率が高いので、同じ温度でもより暑く感じます。空気の0℃は耐えられるけれど、水の0℃では耐えていられないでしょう。これが熱伝導率の性質です。
そしてもう一つ、熱の伝わり方で重要なのは「輻射熱」というものです。これは物自体が暖まって、そこから直に発せられる赤外線を感じる温かさです。
で、実は夜になっても都会が涼しくならないのは、実はこの輻射熱が原因なのです。日中の間暖められたビルやアスファルトの道路などが夜になっても熱を発するので夜も暑いのです。
だから家だって同じ。いくら家の中でエアコンをかけても、家の外のベランダや外壁が暖まってしまえば、夜窓を開けてもその熱が入ってくるので涼しくならないのです。
だ・か・ら、植物によるグリーンカーテンでベランダや外壁に日陰を作り、家自体が暖まらないようにすれば、輻射熱はぐんと減り、涼しくなるというのが、グリーンカーテンの最大の効果だと、著者の甲斐さんは言うのです。
なるほど、今までは日中の植物からの蒸散作用でその日陰を涼し、くするとは知っていましたが、その日陰が夜の輻射熱を下げるということは初めて知りました。不勉強でした。
※ ※ ※ ※
そのうえで甲斐さんは「一人一人が都市レベルの環境をどうこうしようというのは無理だ」と断言します。だから「自分だけが良い環境で過ごせるようなエゴイスティックに考えよう」と言います。
ただしそのときには「周りに影響を与えるような考え方も同時に持とう」とも言います。つまり、自分の家の中だけ涼しければよいのではなく、自分の家の中と自分の家の周りの庭くらいは一緒に考えて涼しくなるように働きかけてみよう、というのです。
それはお隣の家の樹木から冷気を借りるのでも良いですし、それを自分の家を仲立ちにして反対側の家につなげるような考え方をしてみよう、そうして一人一人が外に働きかけるようなことがつながっていけば、それは都市の一部から始まる環境の連携になるのだろう、ということなのです。
キーワードは「自分のためのエゴだけど、外に働きかけてみよう」ということでしょうか。
面白い!どこか西洋的ではない、東洋的な思想が込められているような気がします。やはり環境問題は、東洋思想が鍵になりそうです。
さて、今日は本を一冊ご紹介します。タイトルは『自分のためのエコロジー』で、著者は甲斐徹郎さんという方です。

甲斐さんは、元々建材や住宅のマーケティングをお仕事にしていたのですが、『その延長に住みやすい環境はない』という確信から独立をして環境共生住宅のコンサルタントを始めたという方です。
実はこの本は造園の世界の先輩から薦められたのです。その先輩からは「こままさ君、あなたはグリーンカーテンをどう思う?」と訊かれました。
グリーンカーテンというのは、家のベランダなどにキュウリやゴーヤなどのツル植物を育てて、日陰を作りながら収穫をするというものです。
私としては、どうもこれはすばらしい、とも思えず、「やらないよりはやった方がよいのでしょうが、それほど劇的な効果があるとも思えません」と答えました。すると先輩は「そうだろう、そうなんだ。造園を専門にしているなどという人に限って、そういうある種見下した感想を言うものなんだ」とおっしゃいます。
「そうじゃないんですか?」
「まあ、この本を読めば目からウロコが落ちると思うよ。緑とは何か、そもそも熱とは何か、ということがね」
そんなわけで借りてきたのがこの「自分のためのエコロジー」という本なのです。
一読して感心しました。甲斐さんは、我々が家の中で暑く感じるのは熱があるからだけれども、実は感じやすい熱と感じにくい熱があるのだといいます。
空気のもっている熱は暑さとして気温で測れます。しかしこの熱は実は人間には伝わりにくいものです。空気は熱伝導率という熱を伝える力が弱いからです。
これに対して水は熱伝導率が高いので、同じ温度でもより暑く感じます。空気の0℃は耐えられるけれど、水の0℃では耐えていられないでしょう。これが熱伝導率の性質です。
そしてもう一つ、熱の伝わり方で重要なのは「輻射熱」というものです。これは物自体が暖まって、そこから直に発せられる赤外線を感じる温かさです。
で、実は夜になっても都会が涼しくならないのは、実はこの輻射熱が原因なのです。日中の間暖められたビルやアスファルトの道路などが夜になっても熱を発するので夜も暑いのです。
だから家だって同じ。いくら家の中でエアコンをかけても、家の外のベランダや外壁が暖まってしまえば、夜窓を開けてもその熱が入ってくるので涼しくならないのです。
だ・か・ら、植物によるグリーンカーテンでベランダや外壁に日陰を作り、家自体が暖まらないようにすれば、輻射熱はぐんと減り、涼しくなるというのが、グリーンカーテンの最大の効果だと、著者の甲斐さんは言うのです。
なるほど、今までは日中の植物からの蒸散作用でその日陰を涼し、くするとは知っていましたが、その日陰が夜の輻射熱を下げるということは初めて知りました。不勉強でした。
※ ※ ※ ※
そのうえで甲斐さんは「一人一人が都市レベルの環境をどうこうしようというのは無理だ」と断言します。だから「自分だけが良い環境で過ごせるようなエゴイスティックに考えよう」と言います。
ただしそのときには「周りに影響を与えるような考え方も同時に持とう」とも言います。つまり、自分の家の中だけ涼しければよいのではなく、自分の家の中と自分の家の周りの庭くらいは一緒に考えて涼しくなるように働きかけてみよう、というのです。
それはお隣の家の樹木から冷気を借りるのでも良いですし、それを自分の家を仲立ちにして反対側の家につなげるような考え方をしてみよう、そうして一人一人が外に働きかけるようなことがつながっていけば、それは都市の一部から始まる環境の連携になるのだろう、ということなのです。
キーワードは「自分のためのエゴだけど、外に働きかけてみよう」ということでしょうか。
面白い!どこか西洋的ではない、東洋的な思想が込められているような気がします。やはり環境問題は、東洋思想が鍵になりそうです。
