先日、観光関係の調査を仕事にしている知人がやってきて、外国人観光客が札幌観光でどういう動きをしているか、という話になりました。
その彼曰く、「初めて日本や札幌に来た、という人はまずはガイドブックにあるような施設を見て歩くので、一つの場所に長く滞在するということがあまりありません。短時間で次々に施設を見て歩いたり食事を楽しむ、という行動ですね。
しかし観光地が気に入ってリピーターになってくると、ここで時間を過ごそうという事になります。そうなると結構「花」とか「自然」、「遊びのようなアクティビティ」というコンテンツが有効になってくるんです。
小松さんも建設に関わっていた滝野すずらん公園なんかは、花もあるし遊びの要素もあるので、行った人たちの満足度は高いようです。特に子連れの家族では子供達が花だけだと飽きちゃってぐずったりするので、遊んで時間を過ごせる要素があるというのは、道外・海外観光客にも人気の要素なんですよ」
「それはとても嬉しいですね。これからは情報発信がもっと必要でしょうね」
「情報発信は確かに大事です。ただ、遠いところだと移動する手段の問題もありますね。どういう交通手段で現地へ連れてくるか、という問題です。路線バスだと時間もかかるし乗り継ぎが大変です。国際免許を持っていればレンタカーで移動も出来ますが、大陸の免許は日本では認められていません。
外国人のアンケートを見ていると、『市内で1~2時間くらい時間が余ったときにどこかに行きたいんだけれどどこへ行ったら良いかわからない』という声が結構あります。
実は札幌では国から『札幌コンテンツ特区』という制度が認められていて、エリア限定で英語・中国語・韓国語、タイ語の通訳ガイドができる人材が認定されているんです。
ところがその彼らに一向に仕事のオファーがない。案内して欲しいという潜在的なニーズがあって案内できる人材もいるのに、それら同士のマッチングがうまくいっていいないんです」
「うーん、それをマッチングする組織や仕事が大事ということですか」
「そう、だから僕は残りの余生をそういう分野に充てようかな、なんて思っています。語学だって、中国の富裕層はカタコトの英語が通じる相手ですから、勉強すればなんとかなりますよ。小松さんもどうですか」
「英語に自信はありませんが、そういう中間的な領域が大事だと言うことはよく分かりました。興味と関心を持ち続けたいと思います」
その町をより高めるのも一人一人の思いと行動なのです。
◆
さて、そんな話を聞いた後に、ネットを見ていたら中国人観光客の動向に関する記事がありました。
街中の光景だけでは見えない構造的な変化について、中国人観光客の誘致促進コンサルティングを手がけるフレンドリージャパンの近藤剛社長との対談記事です。
目からウロコだったのは、「中国人への情報提供サイトは、簡単なバージョンで良いから中国のサーバーに置きなさい」というアドバイスでした。
中国から日本国内へのサーバーへアクセスしようと思うとスピードが出ないから、情報は中国国内のサーバーに置いて素早いアクセス環境を作ってあげなさい、ということですが、それには気がつきませんでした。
こういう一つ一つをクリアしていくことで、日本の外国人観光客の受け入れ力が増すことを祈ります。
誰かが、ではなくて、私自身もそろそろ社会貢献を始めなくてはならないのかなあ、と思っています。
【「日本人化」する中国人観光客
~団体集中型から個人分散型へ変わるインパクト】
【前段をざっくり略して引用】
--個人化が進むことによる地方都市への影響をどう見ていますか。
近藤:中国本土からの観光客のうちリピーターの割合はまだ少ないですが、これから増えるのは確実です。先ほど申し上げたように「一都市滞在型」が増えてくると、例えば東京滞在中にちょっと足を伸ばして周辺都市を訪問する、といった需要が高まることが予想されます。例えば北陸新幹線が開通したことで、金沢などもポテンシャルがあります。
地方都市にとっては、いかに東京や大阪と違う特徴をピーアールできるかが鍵になるでしょう。ショッピングだけでは東京に勝てるわけがない。温泉や自然、歴史、有名ドラマの舞台である、といったことをうまく打ち出し、知名度を高めることが欠かせません。
それは温泉やホテルといった宿泊施設も同じです。中国の旅行会社にきちんと情報提供し、加えて個人が情報を調べられるように、中国語のウェブページを用意した方がいいでしょう。その際、絶対にやってはいけないのは、自動翻訳を使って中国語ページを作成することです。あれでは、中国のお客さんを大切にしようという気持ちが伝わらない。むしろ、やらないほうがいいくらいです。
そして可能であれば、そうした情報を中国にあるサーバーに置くべきでしょう。中国では総じてネットの通信速度が遅いため、日本の利用者を前提とした「重い」ページをそのまま中国語化するのではなく、ダイジェスト版でいいので中国側に置いておく。それだけで、中国のお客さんにきちんと向き合っていることが伝わり、効果があるはずです。
(了)