稚内から一路南進して札幌へ戻ってきました。
戻る途中で知り合いの町長さんを訪ねて最近の町政の課題についてご意見を聞きました。
こちらの町では、義務教育学校という小学校6年間と中学校3年間を足した9年間学ぶ学校への移行を模索しているのだそう。
このことにより、町民会館機能と学校機能が融合し学校での子供たちと市民との距離がぐっと縮まって、学校教育以外の出会いと触れ合いが得られることが期待されます。
町長はさらに、「これに幼稚園機能も連携させれば、小学校に入るときに適応できなくなる"小1問題"の解決にもつなげたい、とのこと。
町の人口が減りつつある中で、少ない資源をいかに融合させて効率化させるかは大きな課題です。
子供たちの教育の面でそのような動きがあることには今後とも注目してゆきたいところです。
ただ、こうした変化には抵抗も大きいのだそう。
「特にこれまでの教育のスタイルになれた先生は、『小学校を卒業して中学校に入学することに意味がある』など、現状のメリットを強調して変化を受け入れることに抵抗を感じている人がいますね」
さらには病院の改革もやろうとしていながらそこにも抵抗を感じるとも。
「病院は入院床を抱えていても実際には入院者は少ないので看護師さんはそれほど大変ではないんです。しかし今この病院の在り様を、在宅介護を支援する医療と言う形に改めたいと考えています。高齢者にも病院よりは自宅で最期を迎えたいという人がそれなりにいるなか、一度入院してしまうとおいそれと自宅へは戻れません。それを自宅での介護を中心にして、家で最期を看取るところまでサービスで切るような形に変えてゆきたいのです」
しかし医師の方は案外そうした考えに賛同してくれるの対して、看護師さんの方は「ドクターには外出せずに病院にいてほしい」という意見が多いのだそう。
いずれにしても今のままではうまく行かなくなることが目に見えているときに、問題がまだ顕在化する前に変化を先取りするというのは、取り組みに勇気がいりますし、それを住民や関係者たちが理解できるかどうかが最大のポイントです。
正しい現状認識と、来る未来の厳しい認識を踏まえて、町ぐるみでの議論を経て納得した形で子孫に町を譲ってほしいものです。
こういう動きはずっと追いかけてゆくつもりです。