高齢の両親に在宅での暮らしを維持するために、日常にやれなくなったことをサポートしてもらうためのデイサービス利用を進めてから一か月。
この間家事を一手に担っている母は、「お父さんがシャワーの使い方が分からなくなっているのでお風呂で頭と背中を洗っている」という入浴サポートの苦労を述べ、自分自身は「筋力をもう少しつけたいんだけど」と、自身の体力の維持に不安がありました。
そこで両親の住む自治体の包括支援センターで両親の担当をしてくれているケアマネさんに相談したところ、要介護1の父には『入浴ができるデイサービス』の施設利用を勧め、また要支援1の母には『リハビリ特化型のデイサービス』利用を勧めてくれました。
それぞれ体験利用をさせてもらって、父は最初に行った施設が気に入ってそこに、また母も一度利用してみたところが楽しかったとのことで、それぞれ利用する施設を決めました。
そこで先日、ケアマネさんとそれぞれの施設の担当者が両親を訪れてくれて、私も立ち会った中で施設利用の契約を結ぶこととなりました。
まずはケアマネさんの前で、施設の担当者が両親それぞれのお試し利用の際の状況を報告。
父については、「お父様は施設についた後も杖がなくてもすたすた歩かれて、入浴の浴槽をまたぐのも問題なし。ちょっと『財布がない』と動揺されてお母様に電話しましたが、『持たせていない』とのことで本人納得でした。
歌のレクリエーションに参加されて、歌うのが好きそうでしたがカラオケの順番が来ても『何を歌いたいかわからなくなった』とのことで、ちょっと残念そうでした」と報告がありました。
すると母が、「地区のカラオケでは歌いたい曲のカードを持っていくんですよ。今度はそれを持っていくと良いと思います」と、普段庁内のカラオケ会に参加するときのカードを見せてくれました。
「これなら次回からは歌いたい曲が歌えますよ」と施設の担当者も安心した様子。
こういう情報を共有しておくことでより満足度の高いサービスが受けられるというものです。
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母については、「お母様の方は体操のプログラムを難なくこなして、『そろそろちょっとお疲れならやすみましょう』と言ったのですが、『いやそれもやりたい』とのことで、タオル体操などもこなして9時25分から11時15分まで訓練メニューに汗を流されました。
最後の方でバイクに乗るメニューがあって、初めてで疲れたろうと通常は10分のメニューですが、お母様には5分のメニューでやっていただきました」と報告。
すると母は、「あのバイクですけど、次からは10分やらせてください。ちょっと物足りなかったので」と意欲が増しています。
施設を利用して回りの友達からは「筋肉痛になるんだよ」と言われて、確かに「二日後に痛みが来て湿布を貼りました(笑)」とのこと。
そうした施設利用状況の情報を全員で共有したうえで、こちらの施設にお世話になるという契約書を交わします。
ところがこれがまあ書類の量が半端ではありません。
契約書に加えて利用料の引き落としの銀行口座も登録するので、住所と名前を書き込むのが全部で7~8か所の欄になり、印鑑が必要なところは押印をします。
挙句にものによっては「ご家族欄には息子さんにお願いできますか」と私も何か所も住所と名前を書き込みます
「こんなに住所と名前を書き込まないといけないのですか」
「ええ、そうなんです。一か所の書き込めば全部用が足りるようにしてくれるとありがたいんですが、今の制度はそうなっていないので…」
担当者も申し訳なさそうにしていて、まだ母の様に頭もしっかりしていれば良いですが、独居で高齢の方となるとこれを説明して納得してもらって住所と名前を書き込み、契約書と銀行契約を印鑑付きでやるとなるとかなりの苦労とお見受けしました。
全部でまるまる2時間はかかった契約手続き。
いつかはやらなくてはいけない手続きなのでとにかく勢いでやってしまえて良かったです。
施設やケアマネさんによる見守りは、人生の最終盤を迎えるためには必要な関わりになってくることでしょう。
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多少のお金はかかったとしても、お金の問題ではなくこうしたサービス利用に踏み出してもらうことがとても大切です。
もしも「自分はまだ大丈夫だから施設なんか一切利用していない」と豪語されているご両親だとしたら逆にいざというときに危ないと思うべきなのかもしれません。
歳相応の振舞いとはなにかを考えるきっかけになりました。