先日あるお店でお酒を飲んでいたら、ワインに「ジンファンデル」という品種のものがありました。
以前このジンファンデルでとても美味しいカリフォルニアワインに当たったことがあったので嬉しくなって一本注文。
これも美味しかったのですが、実はこのワインの産地はイタリアでした。
(へー、イタリアにもジンファンデル品種のワインがあるんだ)と思って調べてみるといろいろと面白いことが分かりました。
ジンファンデルは今やカリフォルニアワインで有名で、カベルネ、メルローに次ぐ第三位の栽培面積なのだとか。
ところがこのワインの原木はオーストリアから持ち込まれたものだとわかっていても、その起源が良くわからずにいました。
それが遺伝子の研究で21世紀になったころに、イタリアの「プリミティーヴォ」という品種のブドウと同じものと判明。
だからイタリアの「ジンファンデル」というのは本当は「プリミティーヴォ」としてラベリングしておくべきじゃないか、というのが感想。
でも重たすぎず、果実味もあって美味しくいただけました。
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ところでこのジンファンデルを調べているとさらに面白かったのはこのワインは西部開拓時代にまで遡って、ゴールドラッシュに沸いた山師や労働者が好んで飲んだワインだったろう、という話。
ゴールドラッシュはアメリカ大陸西部のアメリカ川で砂金が発見されたことで、一旗揚げようと目論んだ大勢が西部へと開拓を進めたことが始まりです。
メキシコとの戦争で割譲された西部の土地に突然金が発見されたのが1848年のこと。
そしてこの年12月、時のポーク大統領はアメリカ連邦議会で新天地カリフォルニアでの金発見の事実を正式に発表します。
これによって、年が明けた1849年にはカリフォルニアに金鉱脈目当ての山師や開拓者が大量に西部に押し寄せたのですが、これらの人たちのことを「フォーティナイナー(49年者)」と呼んだのです。
この呼称はいまでもカリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置くアメリカンフットボールチームの名前として残っています。
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一方で、このフォーティーナイナーは金鉱目当てに目の色を変えて西部へとやってきましたが、金で財を成したものはほとんどいなかったのだそう。
それは誰もが簡単に露天掘りで金が掘れたために話を聞きつけた余りにも多くの人間が参入したことで地域は食料や生活物資が不足し超インフレになったからなんだとか。
むしろ成功者は、金掘りの周辺にいて、労働者にジーンズや丈夫な布を提供したリーバイスや、採掘のための資材を提供したり、集まった労働者たちへの輸送や金融サービスで財を成したものもいたとのこと。
翻って今日の現代日本経済を見てみると、TSMCやラピダスなどで「これからは半導体産業だ!」と鼻息が荒いところがあります。
しかしもしかしたら現代の金鉱とも言える半導体産業そのものよりも、それらに参画する人たちへの周辺経済として、住宅や各種サービスなどで利益を上げる人たちの方が「目端が利いている」のかもしれませんよ。