今日は入会している北海道そば研究会の新春発打ち会。
今回は、手打ちそば愛好会には珍しく「更科蕎麦を打ってみましょう」ということで、滝川ふれ愛センターまで出かけてきました。
今日の講師は、「札幌新川そばの会」の神指芳裕(こうざし・よしひろ)先生。すでに北海道名人にもなられていて、「彼は打つのが早すぎて、審査員には評判が悪いんだよ(笑)」という伝説があるくらい。
そもそも「神の指」だなんて、凄腕の蕎麦打ちにぴったりの名前ですね。
今日はその神指さんから、更科蕎麦の打ち方を教わりました。
そもそも蕎麦には大きく分けて、田舎蕎麦と更科蕎麦があります。
どちらも同じ蕎麦の実を挽いて取れる粉ですが、挽いた時に出てくる成分の順番がカギになります。
蕎麦の実は断面が三角形をしていますが、それが石臼などで引いた時に最初に割れてサッとでてくるのが実の中心の部分で、これが更科粉や打ち粉の部分になります。
ほとんど粘り気がなく真っ白で、蕎麦らしい味もほとんどありませんが、少ししか取れず希少価値があるということで、御膳粉などとも呼ばれます。
最初に引いた時に出てくる粉をふるいで分けて、残った部分からは蕎麦らしい青くさい香りのする田舎蕎麦らしいの粉が出てきます。挽いては篩うを何度も繰り返して取れるのが田舎蕎麦の粉で、こちらはいくらか粘りもあるので打ちやすくなります。
私自身は、更科蕎麦を何度も打ったことがあるのですが、改めて更科蕎麦の打ち方を一から学ぼうということだったので楽しみに参加をしたものです。
実際教えてもらうと、私の知っているやり方とは微妙に水回しのやり方も違いますが、それでも、細く長くほぼ完ぺきな蕎麦打ちのスタイルを見せていただき、目から鱗が落ちる思いでした。
興味深かったのは、「打ち粉はできるだけ使わないんです」というやり方。「なぜですか?」と訊くと、「打ち粉を使うと、蕎麦の生地が粘らなくなって破れたり切れたりしたときに手直しが効かなくなるんです。でも打ち粉を打たなければ多少の修復が効くので、そちらの方が良いと思っています」とのこと。
蕎麦は三十本を切ったところでその幅の紙に乗せて、一人前としてぴしっと整えて容器に揃えていきます。
いろいろなやり方はあれど、丁寧で上手な技というのは確実にあるのだというものを見せてもらえました。
更科蕎麦は、田舎蕎麦のような香りが少ないので「美味しくないんじゃないか」というイメージを持っている人も多いのですが、香りが少ないことを逆手にとって、抹茶をまぜて茶蕎麦にしたり、柚子をまぜて柚子蕎麦にするといった、香りづけによって蕎麦の麺文化としてのバリエーションが広がります。
上手になるためには目を肥やすことと経験すること。これが欠かせません。
名人ともなると道具立ても品格があります。今日は良い勉強になりました。
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