昨日は参加している日本都市計画学会北海道支部の都市地域セミナーがありました。
現地会場に対面で参加した人は10名ほどで、あとは約10名がweb上での参加。
今回のテーマは「地方小都市から考えるこれからのまちづくり」というもので、二人から話題提供をいただきました。
一人は北海道開発技術センターの竹口さんから「人口定住にかかる評価指標とは?」という話題で、白老町をフィールドとして、この町にい続けることの要素は何か、というお話。
興味深かったのは、住民へのアンケートを分析する中で、住民の意向を「定住したい」←→「定住したいと思わない」を縦軸に取り、横軸に「「定住できない・転出せざるを得ない」←→「定住できる・転出を回避できる」という指標を取った図でした。
このように位置付けることで、住民の現状が
定住を望むが | 定住を望み
定住できない | 定住できる住民
--------+ーーーーーーーーー
|
定住を望まず | 定住を望まないが
定住できない住民| 定住できる住民
…という四象限に分類できるということを示してくれました。
こうした分類を考えることで、定住の意向を高めるということに重点を置いた政策だけでなく、せっかく定住をしたいと思っていても転出せざるを得ないという人に目を向けた「転出回避」方策を検討すべきではないか、という視点です。
転出せざるを得ない、ここにはいられない、ということを年代別に深めると、ヤング・ミドル・シニアという各世代の問題意識は異なるだろう、という予測や、転出の理由として「進学」「教育」「就職」「結婚」「交通の便」「病気・医療環境」「介護の受け入れ」「町内会」などの人生イベントが大きく関わってくることがわかります。
各年代層に向けた政策の見直しやこれまでの政策のさらなる充実などもこうした分析を加えつつニーズを考えることが必要でしょう。
◆
もう一人は北大の小篠先生からで、ずっと関わっている東川町でのまちづくりのお話。
こちらも私個人的には面白い話題でした。
しかしこれらのセミナー内での話題提供はネタフリです。
会場ではその後50分ほどの討論が繰り広げられましたが、どうしても時間が足りなくて深堀りはできません。
真に面白いのは場所を変えて行われる懇親会でのお酒を飲みながらの意見交換です。
一人が「その町から出ないまでも、住んでいる住民が点在して疎になってゆくと行政のコストは増えるので、コンパクトシティが提唱するように小さなエリアに密集して住んでもらえるとありがたいがどうしたら良いか」と言います。
すると産炭地での暮らしを調査研究しているサカイ君が夕張での事例を教えてくれました。
「夕張で、『ここを離れてあちらに移ることには抵抗がありますか』と訊ねると、『俺は三菱だからなんで北炭のところに行かなきゃいけないんだ?』という話になるんです」
「それは元の炭鉱夫さんの働いていた場所という事ですか?」
「そうです。夕張は沢ごとに財閥や資本が入って石炭を掘っていてそこで働いていた人たちは"夕張で働いていた"のではなく、"北炭や三菱や三井"で働いていた、と思っているんです。帰属意識の原点はとにかくお世話になった山にありますね」
「それは面白いけど、もうどうしようもありませんね」
「そうですね。夕張石炭の歴史村を博物館にしたときも『あれは北炭の博物館だろ?』と言う人がいましたからね(笑)」
帰属意識がごく狭い範囲にとどまると、もっと大きな帰属の意識は希薄になりそうで、それゆえ、時代が変わっても説得するのはますます難しくなりそうです。
昨夜は随分遅くまで盛り上がりました(笑)。
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