北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

社会保障は利用者としても負担者としても勉強しておく方が良い

2023-06-12 22:56:02 | Weblog

 

 先日ある人と会ったときに私が「思うところがあって介護の資格を取りました」というと、「それってある種"理想の介護"の世界でしょ?現実は全然そんなのじゃないから」とちょっと気色ばんでおられました。

「ご自宅でも介護をされておられるのですか?」と訊ねると、「いいえ、それ以前の問題ですね。話ができないのでほぼ絶縁状態に近いです」とのこと。

 聞けば、離れたところに暮らしているご両親のうち、要介護1の認定を受けていたお母様が脳の疾患で倒れて今もリハビリ入院中なのだとか。

 一方お父様の方は認知症が進んでいるようで、何かにつけて怒り出してしまい、頼み事やアドバイスも全く聞いてくれないのだそう。

 それでいて日が過ぎると「そんなこと言ったか?」と全くそれを覚えていない。

 何しろ話が合わないので会うたびに喧嘩になって、「そこまで言うんだったら勝手にしたら」と捨て台詞を吐いて帰ってくるのだそう。

 
「そんな状態が続くのは何も問題が解決できなくて不毛ですね」
「でももう意見交換とか意思疎通なんてできませんよ」

 そんな事態ももう長く続いているようで、第三者が勝手なことを言っても通じないような勢いです。

 しかしまずはこの方とお父様が一対一の相対で話している状態がまずいと思いました。

「行政の第三者に味方になってもらって、行政の力を借りる方が良いのでは」
「そんなの誰に行ってもたらいまわしで終わりですよ」

「お母様が要介護1と認定されたと聞きましたが、それを認定してくれたケアマネージャーやご両親がお住いの地域包括支援センターに相談しましょうよ。そういう経験が豊かな人のアドバイスを受け止めて、やれることからやった方が良いのではないですか」
「だって自分が何を言っているのか覚えていないし分からない人が相手ですよ」

「認知症の方とのやりとりに腹を立てるべきではありません。相手だってわかっていてわざとやっているわけではありませんので。そういうことも含めて専門家の意見をちゃんと聞く方が良いです」


 その方はもうすっかり父親に忠告やらアドバイスをしても無駄なことに心が折れているようで、「もうどうなっても良いんです」とやや自暴自棄にも見えました。

 習った介護の世界など理想論ばかりで現実はその真逆で甘くない、とはよく言われますが、それでも理想がどこにあるかが分かり、人にとって老いはどんな形で押し寄せて来るのか、問題に直面したときにどこのだれを頼れば良いのか、を知っておくだけでも道は開けそうです。


     ◆

 
 国は少子化対策で社会保険からの資金拠出を狙っているようですが、年金保険からの拠出はまず無理だとすると、医療保険と介護保険からの拠出が想定されます。

 いわゆる公定価格で仕事をしているこの世界の人たちの賃金が上がらないのは、その需要に応えるだけの財源を用意していないからの一点です。

 やっぱり社会保障の現実と行く末は利用者としても負担者としても腰を据えてちゃんと勉強した方が良いと思うのです。

 

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日本海ドライブ ~ 厚田と留萌の道の駅がパワーアップしていた

2023-06-11 20:38:24 | Weblog

 日本海沿いを北上して増毛~留萌までドライブをしてきました。
 
 介護スクールが毎週土曜日にあったのでなかなか遠出もできなかったのですが、久しぶりのロングドライブ。

 道の駅はちょっといかないでいると施設が結構充実されていて以前の印象とは全く違うところがあります。

 道の駅「石狩 あいろーど厚田」は、以前は二階部分ががらんどうの展望室のようになっていたのですが、今では飲食店が3店ほど出ていて、また熱田エリアの観光スポット紹介も充実していました。

 見たいスポットのボタンを押すと、そのビデオ映像が映し出されてきます。

 この道路は稚内へ向かって北上するときは良く使っているのですが、今まで知らなかった歴史や風景が紹介されていて上手に作られていました。

 また厚田ゆかりの文学やお相撲の横綱紹介コーナーなども充実していて、他の道の駅の地域紹介コーナーと比べても上位にランキングされる質の高い仕上がりになっています。

 お土産も充実していてなかなか良い道の駅になりましたね。


     ◆


 増毛の本町方面へ向かう途中には雄冬の集落があります。

 住所で言えば増毛町雄冬になります。

 もう50年も前ですが、旭川の高校に通っていたときは同じクラスにこの雄冬出身の友達がいました。

 当時は陸の道路が繋がっておらず、船で近くの港まで往来をする陸の孤島として知られていて、(里帰りも大変だなあ)と思ったものです。

 今では海沿いの道路もあれば内陸の山の中を通るトンネルもいくつも完成して走りやすい道路になりました。

 こちらには海に面した断崖の上に「岩石公園」があって展望台があります。

 急な坂を上ってゆくと駐車場があるのですが、そこから展望台までは鉄の階段をえっちらおっちらと上ってゆかなくてはなりません。

 鉄製の階段が必要な理由は公園の名の通り、山の上なのに大きな岩がごろんごろんしているためです。

 これらをどかせて土を削るような階段は作りようがありません。

 展望台からはこの辺りの急峻な地形と地層が良く見えますが、夕日などはさらにきれいなことでしょう。


     ◆


 増毛町を過ぎて留萌の「道の駅るもい」に向かいました。

 道の駅るもいには確か小さい子供のための室内遊戯場ができたという噂を聞いていたのですが、なかなか寄れずにいました。

 今回はもうすぐ2歳になる孫連れで行ったので、ちょうど良い視察になりました。

 道の駅るもいの屋内遊戯施設は「ちゃいるも」という名称で、ちょっとした体育館のような建物の中に複合遊具やマットレス、ままごとコーナーに加えてさまざまな木のおもちゃなどが置かれていて子供には楽しそうな空間になっています。

 年齢対象は0~12歳の子供という事ですが、大人一人につき4人の子供までは入れて大人はタダというのが面白い。

 利用は一日に1時間30分ずつ3クールの利用で、定員があるので混みそうな日は事前に予約をすることもできます。

 行った日はちょうど1組か2組しかいなかった時間帯で、孫はおもちゃを使い放題で楽しんでいました。


        【男子ご飯】

 今回のドライブでは厚田の道の駅も留萌の道の駅も、しばらく見ない間にずいぶん成長したという印象です。

 まさに「男子三日会わざれば刮目して見よ」ですね。

 夏の北海道ドライブを楽しみましょう。

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介護研修の修了証明書が届きました ~ 勉強で自分を変えましょう

2023-06-09 23:49:59 | Weblog

 

 受講していた介護職員初任者研修の修了証明書が届きました。

 賞状っぽい体裁の証明書と名刺大のプラスチックカードの2枚です。

 今後もしも介護職員として働くようなときはこのカードを携帯しておけば研修修了の証明として使えます。

 送られてきた封筒の中には、この修了証明書のほかにアンケートと教育訓練証明書が入っていました。

 アンケートの方は、どのような立場で受講したかという受講動機に関するものでした。

 また教育訓練証明書の方は、今後これをもってハローワークで手続きをすると受講にかかった費用の一定割合(4割?)が返金される制度があるので、その証明に使うものです。

 こちらの給付手続きは研修修了から1カ月以内に行わないと無効になるので注意です。

 ここまでを終えて晴れて研修受講終了という事になるでしょう。

 考えてみたら、研修そのものは2月上旬から6月上旬までの4か月でしたが、受講を申し込む前に既に教育訓練給付のための事前手続きを12月に行っていました。

 給付手続きを6月以内に終えたとしても約半年ほど労働問題や介護・社会保障の問題にじっくり取り組んだという感じです。

 様々な手続きも初めて行うものばかりで戸惑いましたが、ネットを始め専門家に問い合わせるなどして、やるべきことを一つ一つこなしてきました。

 年齢に関係なく、幾つになってもやはり分からないことを一つ一つ潰して理解してゆくその過程こそ勉強にほかなりません。

 勉強も知識として頭にいれるだけではなく、それを体に浸みこませて実践に繋げて自分自身を変えてゆくことこそ生涯にわたる学習、つまり生涯学習ということでしょう。

 昨日と違う今日の自分になるために。


     ◆


 先日ラジオを聴いていたら、洪水被害にあった地域の住民の方が建設機械のバックホウの操作講習を受けて、バックホウを使えるように訓練しているという話題がありました。

 その住民の方は、洪水の被害で家や敷地が泥まみれになったときに、人力だけではおぼつかないなか、小さくてもバックホウがあれば泥を効率的に取り除くことができると痛感したのだそう。

 ボランティアに期待するといっても数が思うようにそろうわけでもありません。

 そんなときに機械さえあれば、自分一人でも泥を掻きだす作業ができるのが機械操作だとわかったとのこと。

 そのため地域の住民に声をかけて、十人ほどが共感して皆で建設会社の協力も得て、近くの河川敷でバックホウの上手な操縦を学んでいるのだそう。

 この話なども体の中から自分を変える勉強への強い取り組み意欲が生まれたからでしょう。

 好奇心を持って使命感を持って、勉強と学習で自分を変えましょう。


 学習は実践でなくてはならないと思います。

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大腸内視鏡検査の結果

2023-06-08 22:14:36 | 健康

 

 先月末に行った大腸内視鏡検査とポリープ切除の結果について病院の説明を受けてきました。

 ポリープは2個あったそうで、いずれもガンではなかったそう。まずはホッとしました。

 ポリープは上行結腸(お腹の右下、盲腸の上)に一つと、下行結腸(お腹の左下)に一つの合計2個。

 どちらも2センチ以内の小粒なものですが、一つは2センチ以内と言いながら思った以上に突出したポリープでちょっとびっくり。

 とりあえずこれらが取れたということでまずは一安心です。

 ただドクターからは「一応ポリープ切除したときは一年後にもう一度様子を見せていただきたいので、近くなったらまた内視鏡の予約をして下さい」と釘を刺されました。

 内視鏡検査のための事前措置は結構辛いものがあるので数年に一度くらいで勘弁してほしいのですが、健康管理のためには仕方ありませんね。

 手帳の来年のカレンダーにメモしておきました。

 
     ◆


 健康って思い立っても一朝一夕に得られるものではありません。

 普段の節制と、不調になったら病院へ行くのにちょっとだけ勇気を出しましょう。

 健康管理を面倒なことだと思わないようにしなくては。

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自分が自分であると認められるための条件は ~ なんでもかんでもパスワード

2023-06-07 23:04:56 | Weblog

 

 普段振り込みなどには郵貯の口座を利用している私。

 ゆうちょダイレクトというスマホアプリで決済をしていたのですが、本人確認のためにスマホにワンタイムパスワードが来てそれを入力するというシステムでした。

 それが来月7月からセキュリティを強化するために、ワンタイムパスワードによる送金時認証を廃止するとのこと。

 代わりの本人認証は、「ゆうちょ認証アプリ」か有料の「トークン」を手に入れろ、とのことで、無料のゆうちょ認証アプリに移行することにしました。

 アプリをダウンロードして指示に従ってインストールしてゆくわけですが、途中にスマホによる写真の撮影と本証明となる運転免許証かマイナカードを求められます。

 面白かったのは写真撮影で、スマホの自撮り画面に楕円の枠が出てきて、①そこに顔が合うように距離を調節しろ、続いて②口を開いて「あ」の形にして写真を撮れ、とありました。

 すました顔で撮影すると(だまそうとする)写真と区別がつかないという事なのか、「あ」の口をする顔の表情を読み取っているようです。

 続いては身分証明書の登録ですが、敢えて運転免許証を使ってみたところ、捜査を進めて行くと「運転免許証をスマホに接するようにしろ」という指示が来ました。

 言われたとおりに免許証のカードをスマホにつけると免許証の中に仕込まれているICチップの情報を読み込みました。

 続いての指示が「運転免許証交付の際に登録した4桁の番号、2種類を入力しろ」というもの。

 私は全てのパスワードを手帳で管理しているので、免許証交付時の2種類の4桁番号も登録してあって無事に入力ができましたが、これって忘れてしまっている人も結構いるのじゃないかな。

 皆さん、自分の免許証の4桁の番号2種類なんて覚えているでしょうか。

     ◆

 …で、結局このアプリを起動する際には再度自分が設定する6桁の番号を入力することが必要になります。

 万一スマホが第三者の手に渡った時でもうかつに勝手に開けられないようにするセキュリティですが、ここでもまた新しいパスワードの管理が必要です。

 思うに、この手のパスワード管理のやり方って、学校なり地域なりキャリア会社なり、どこかで教育しないと現代社会を生きてゆくのが大変になりそうです。

 もちろん生態認証など新しい手法も出てきていますが、私はこのやり方がいまいち信用できません。

 指紋登録をしてもそれを読み解けずスマホが開かないということがあったので、まだ技術を信用しきれないのです。

 自分が自分であるという証明は、パスワードを知っているかどうかということと同じになってゆくことでしょう。

 パスワードを忘れた自分はもはや自分とは認識されない世の中。

 自分とは何なのかわからなくなりそうです(笑)。

 

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伴走者こそあらま欲しけれ

2023-06-06 22:39:41 | Weblog

 

 3~4カ月に一度の歯の定期検診に行きました。

 歯磨き状況をチェックしてもらったところ、あちこちに磨き残しが散見されて、歯科衛生士さんからは「あらら、五月病ですかね」と残念がられる始末。

 歯磨きが上手になったという自覚があったのですが、それがために「やればできる」という気持ちになったのか、ここのところ、染め出し液を使って自分での磨き残しチェックも甘くなっていました。

 こちらの歯医者さんで使っている染め出し液は、磨き残している時間が短い汚れはピンク色になり、磨き残しとして長く残っている汚れは紫色になって表されます。

 今回は紫色になっている汚れが目立ち、磨けていないところがあるという事が判明。

 改めてその場所を自覚することのほか、やはり日頃から汚れを見える化して対処するという地道な取り組みの大切さを思い知りました。

 しかしこうやって定期検診でそのあたりを指摘してくれることで発奮材料にもなろうというものです。

 自分一人だけの努力ではやはり気持ちが萎えてしまうところを、伴走してくれて適切なアドバイスをくれる健康の見守り者を確保しておくことこそ重要です。

 忘れていても不真面目でも、3~4か月ごとに指摘して叱咤激励してくれるのですから。

 歯でも健康でも、地域のまちづくりの様子でも、定期的なチェック、定点観測こそ違いを知ることができる数少ない手法です。

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子供を持つのはなんのため? ~ 損得で考えられるのでしょうか

2023-06-05 21:36:33 | Weblog

 


 先日大学時代の友人(女性)がご主人連れで札幌へ遊びに来て、大学の同期が集まるという機会がありました。

 私が幹事になって夜集合する居酒屋を決めて連絡、結局同期6名+彼女のご主人+一期後輩2めいの9名が集まりました。

 皆65歳前後でこの会合も3年ぶりで久しく会っていなかったこともあり、各自に最近の近況報告をしてもらいました。

 現役からほぼ引退した者もいればいやいやながら会社勤めをしている者、第二、第三の仕事を得てさらに活動の幅を広げている者など、いろいろな運命があるものです。

 そんななか、大学卒業後にちゃんとした組織に就職し結婚して共稼ぎで60歳まで働き、定年になったときには再就職はしなかった、という同期生の女性がいました。

 今でもご主人は働いているので悠悠自適だろう、と思っていたのですが、「専業主婦で楽かと思うでしょうけど、6人を介護で見送ったよ」とのこと。

 自分とご主人の親なら4人をお見送りするというのはわかりますが、6人とは?

「それぞれの両親で4人と旦那のお婆さん、それと独身の叔母がいてその人の面倒も見ることになったので全部で6人なのよ」

 そうか、最近はお一人様を貫く人も増えていますが子供に縁がなかったとしたら施設に入るしかないかと思いきや、遠い親類を頼りにする場面がありうるということか。

 一人ひとりの過程には様々な事情がありますね。


     ◆


 それにしても、かつては子供を産むことは次世代を育てるという意味の外に、家を継いで老いてゆく自分の世話をしてもらうという意味を含めていました。

 それが、親ということだけではなく一人では暮らせない老人の問題が家庭の問題では始末しきれず社会化が必要とされ、日本の場合は介護保険制度ができました。

 老人の世話を専門にする職業ができて組織ができて世話をする体制が整いました。

 しかしその結果は、後に自分の世話を期待するような子供を持つ必要性がさらに失せたともいえます。

 老人向けの制度を充実させたことで却って子供の必要性がさらに減ってしまうとは皮肉なものです。

 つまりこれからは、親とすれば自分の世話を期待する意味の子供ではなく、子供を持つことの魅力と意味を別な形に求めなくてはなりません。

 子供を持つ持たないという選択の自由を親が持つ現代社会において、子供を産んで育ててもらうことの魅力をどう語れるでしょうか。

 儲かりますか? 何か得がありますか? 得がなければ子供を産みませんか? 

 先進国になるという事は、そういうことを考えるようになるということなのかもしれません。
 
 

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スウェーデンの経済学者グンナー・ミュルダール ~ 人口減少問題への先駆的解決事例

2023-06-04 22:27:01 | Weblog

 スウェーデンにグンナー・ミュルダール(1898-1987年)という経済学者がおりました。

 彼は自由放任的な経済への関わりを批判し、後年1960年には「福祉国家を越えて」を著し、福祉国会思想を提唱するなど、自由主義的な経済理論に批判的な立場でした。

 彼は後にノーベル経済学賞を受賞するのですが、彼はどちらかというと経済に対して政府はしっかり干渉すべきというケインズ以前にケインズ的な思想をもっていて、彼が受賞した1974年にはその思想と対極的な立場とバランスを取る方が良いという判断なのか新自由主義の旗頭であったハイエクと同時受賞という形になっています。

 そんな彼は1934年に「人口問題の危機(Crisis in the Population Question)」という本を書き、スウェーデンの人口政策の転換に大きな貢献と足跡を残しました。

 1930年代というのは、1929年のブラックマンデー後の世界経済が混沌とした時代で、その頃のスウェーデンは人口問題に関して大きく意見が割れていました。

 一つの意見は本来の保守的なもので、「人口減少は国力低下をもたらすので問題だ」という立場で、もう一方は労働者階級が支持するいわゆる新マルサス主義と呼ばれるもので、人口減少により雇用が改善されて生活水準があがるという意見でした。

 その議論が国論を二分していた1932年に政権がミュルダールを指示する社会民主労働党に移ったことで、ミュルダール夫妻(奥さんのアルバ・ミュルダールとともに)は人口問題に対するスウェーデン・モデルのスタートにオピニオンリーダーという立場でいられたのでした。

 
【出生率低下の理由に対する考え方】
 スウェーデンの出生率が低下している理由を「個人のモラルの問題だ」とする意見に対してミュルダールは、「それは社会構造から生じており、経済的原因が問題だ」という論を展開します。

 ちょうど女性が社会進出を始めたころで、女性が働いて生活水準を上げることが可能なのに、子供を持つことはそれへの阻害要因とみなされた結果、女性は子供を産まない選択をするのだ、と。

 つまり、子供を持つことによる経済的・社会的困難をなくすような社会改革が必要なのだ、と。

 そこで彼が唱えたのは、「消費の社会化」ということで、具体的には出産・育児に関する消費の量と質を社会的に向上させることで、全ての子供や家族に対する無料の公的サービスの提供を求め、その仕組みは所得に応じた課税によって支えられるべきだとしました。

 そして人口減少に象徴される社会の問題は、コトが起こってから対処する治療的社会政策から予防的社会政策に転換すべき時期であるともしゅちょうsました。

 この「消費の社会化」とは人口政策でもあり、社会政策でもあり、経済政策でもあるという意味で総合的な問題への包括的な対応方策です。

 そして負担できる者は能力に応じてしっかりと負担して再配分できるだけの財源を確保したうえで、出産・育児に伴う困難を除去しようという予防的福祉政策であり、同時に住宅・医療・教育分野を中心とした消費拡大・雇用創出を狙っていました。

 
 
 さて、こうした政策の結果、スウェーデンは日本よりも消費税や国民負担率が高い国家になりました。

 しかしながら日本よりも高い出生率を維持した国として、政策で国を作るモデルケースとなっています。

「国民負担率が50%に近づいている悪政だ」とか「そんなちゃちな(財源と)政策では少子化は止められない」、「政策と結果がミスマッチ」など、少子化対策の道筋を政府が描いている今、政策提言の一つ一つに批判が沸き起こっています。

 しかし、改めて国を一つにしてどのような経済と政策に替えて行かなくてはならないかという根本的な哲学の部分が欠けているので、現状を維持しながら空いた穴を塞ぐような治療的政策に終始しているようにも思えます。


 もはやこれだけインフラや制度が充実した日本は、「生産立国=物を作って経済を回す国」ではなくて、「消費立国=需要を喚起して消費することで経済を回す国」というイメージチェンジを図らなくてはいけないのではないか、と思います。

 そして需要を喚起するためには、国民が納得して支える確実な財源を確保してそれを困っている人たちに潤沢に給付することです。

 今もそう考えている人はいるはずなのですが、これまでの成功体験の慣性力が大きすぎて、急な方針変更ができません。

 その変化への萌芽が、マイナンバーカードというデータインフラであり、子育てへの社会保険からの拠出などなのだと言えるでしょう。

 しかし私は、本来はこうしたことの財源確保は、企業負担を求める社会保険方式も充実させつつ、国民全体という意味で消費税にも応分の負担を求めるのが正しいのではないかと思っています。

 スウェーデンは人口わずか1千万人の国です。

 身軽であるがゆえに方針転換もしやすいと言え、逆に1億2千万人もの人口を抱えると、国民全体の意思の統一が難しいともいえるでしょう。

  
 いままさに燃え盛る人口減少問題への対処の仕方として、皆さんは何が有効なのだと考えて行動に移せるでしょうか。

 グンナー・ミュルダールの思想とスウェーデンのモデルを日本は参考にできるでしょうか。

 


【世界経済のネタ帳】より『スウェーデンと日本の合計特殊出生率の比較』
 https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WB&d=TFRTIN&c1=SE&c2=JP


【戦間期スウェーデンにおける人口減少の危機とミュルダール 藤田菜々子(名古屋市立大学)】
 http://www.paoj.org/taikai/taikai2016/abstract/1208.pdf 
 
【諸外国における国民負担率(対国民所得比)の内訳の比較(北欧諸国との比較)
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/020_2.pdf

 

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介護スクール最終日 ~ これまでの授業を振り返った後に修了試験

2023-06-03 22:54:21 | Weblog

 

 今日はいよいよ2月から始めた介護スクールの最終日です。

 いつも通り朝9時半から始まった授業は午前の4時間でこれまで習ったことの振り返りを行いました。

 振り返りは教科書のお題に沿ってグループワークで答えをまとめ上げて班ごとに発表するというもの。

 与えられたテーマは、

①「この研修を通して学んだことを述べよ」

②「介護職員として就業後も継続して学ぶべきことを述べよ」

③「利用者の自立を支援する介護の在り方について述べよ」

④「利用者の状態増に応じた介護と介護過程について述べよ」

⑤「身体・心理・社会面を総合的に理解するための知識の重要性について述べよ」

⑥「チームアプローチの重要性について述べよ」

 必ずしもかっちりした正解があるわけではありませんが、それぞれの班での発表を受けて講師の先生からのコメントで考えを膨らませようという試みです。

 振り返りを行うことで改めて今まで習ってきたことを思い出しつつ、自分の言葉にできました。

 特に、老化によってもたらされるリスクについて事前学習ができたことで、気をつけるポイントや、機能が衰えたことを受容する心構えのようなものもできたような気がします。

 老いの行く道を照らしてくれる授業でした。


     ◆


 さて、午後は1時間の修了試験の時間です。

 設問は25問で一問4点として合格点は60点。

 全部5問択一かと思いきや、5択は19問で、筆記が4問、用意された語群からの穴埋め問題が2問でした。

 15問正解で合格ですが、まじめにやっていればまあそこそこはとれるはず。

 答えを書き終えた後で試験開始から30分経過すれば退室は可能とされていましたが、何となくみな(と言っても5人しかいないクラスですが)1時間を目いっぱい使って試験を終えました。

 試験時間が終わって答案用紙が回収されたところでようやくお互いに「お疲れさまでした」と笑顔で声を掛け合ってこれまでの苦労をねぎらい合いました。

 仮にも4カ月間毎週顔を合わせた人たちなので親近感があるのです。

「合格かどうかはどうやってわかるのですか?」と事務局に質問したところ、「こちらで採点して落第された方に飲み次の試験についてのお知らせをします」とのこと。

 電話が来なければ合格というのもすっきりしないなあ、と思っていたのですが、試験後になんとなくたむろして時間を使っていた間に事務局ではさっさと採点を終えてくれていたようです。

 最後の挨拶に行ったところで事務局から「ちょっと待ってくださいね…、はい、小松さん合格です」との嬉しい報せ。

 他の仲間も皆合格していて喜びもひとしおです。

 孫に伝えたら「じっちゃん、バンザイ!」をしてくれるかな。

 人生の節目として面白い時間でした。

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孫とスマホ

2023-06-02 23:22:57 | Weblog

 

 同居している孫が1歳と11カ月を超えました。

 6月末が誕生日で2歳が目前です。

 最近孫は私のスマホに興味津々で私が持っているのを見ると「よこせ」と催促をします。

 はじめはこちらも面白がって見ていましたが、youtubeでアンパンマンの面白い動画にアクセスすることを覚えました。

 スマホの画面から全アプリを表示するところを押して上へのスクロールを繰り返し、youtubeのアプリを見つけるとそこから入り込むのです。

 さらにはいつのまにかyoutubeから繋がっているゲームアプリをインストールして勝手に遊んでいます。

 遊ぶと言ってもどうやったらクリアできるのかなんて全く分からないのですが、それでもアプリを起動して画面上の玉を動かしてブロックを適当に崩しています。

 見ているといつまでもスマホを触っていそうなので、最近は「スマホないよ、忘れて来ちゃった」と嘘をついて孫にはスマホを見せないようにしています。

 2歳からスマホ中毒はシャレになりません。


     ◆


 同様に私がパソコンの前に座っていると、それもまた面白がって「触らせろ」と催促します。

 こちらも膝に座らせて、始めは適当にマウスを触らせていました。

 始めは手が小さくてマウスを正しくつかむことができず、右クリックしかできなかったため、しばしばパソコンは動かなくなって諦めたりしていました。

 それを「それは指が違うんだよ」と左クリックを教えていたらいつのまにかそれも覚えて、右クリックで動かない時は左クリックを試みるようになり、それでゲームなどが動き出すと喜んでカチカチやるようになりました。

 しまいには、キーボードのwindowsボタンを押して使えるアプリを表示させ、好きなゲームを起動できるようになりました。

 ゲームを楽しむというよりはアプリが次々に起動されるのを面白がっているようですが、「それは×だよ」というと、画面上の×マークをクリックして画面を戻したりもできるようになりました。

 幼子の「習うより慣れろ」は怖いところがありますね。

 絵本なども読むことは読むのですが、周りの大人がスマホをいじっているのを見るとやはりスマホに触りたくなってしまいます。

 大人がスマホをいじらずに本を読む姿を見せればそれがお手本になって子供も本を読むようになる、と言われます。

 子供は大人の鏡で、大人の振る舞いが子供の振る舞いにつながるというのを恐れなくてはいけませんね。


      ◆


 外は札幌もかなり強い雨が降っています。

 本州ではかなり強い雨が長く降っているようですが、ひどい災害にならないことを祈ります。

 くれぐれもご安全に。

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