この週末は北海道の中でも有数のコメどころ蘭越まで行って、知人の米農家から最高級のお米を買ってきました。
蘭越米というだけで北海道の中でもブランドなのですが、そのなかでも「蘭越で一番おいしいお米を作るのは誰ですか」と聞かれればまず名前が挙がるのが知人のKさん。
私も始めてそのお米を土鍋で炊いて食べたときの衝撃は忘れられません。
まさにおかずなしでお米の味だけで妻と二人のキャンプ先で二合をぺろりと食べてしまいました。
こういう方とお知り合いになれて、もう一生旨い米に困ることはありません。
日本人としてこの上ない幸せと言えるでしょう。
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で、今回も訪問してお米作りの苦労話などを聞かされているうちに、「おれも今年で引退だしな」と言うではありませんか。
「ちょ、ちょっと待ってください。え?もうお米作りはしないんですか?」
「はは、そうじゃないよ。米農家としての経営を息子に譲って、来年からの米は息子が責任をもってやるようにしたんだ。もちろん俺も米作りをサポートするけど、会計の事だとか何もかもを含めて、いつまでも俺がやっていればいいわけじゃない。代替わりが必要だとおもってさ」
「それを聞いて安心したけど、息子さんって幾つでしたっけ?」
「35~6かなあ。でも俺が親父から開拓五代目としてコメ作りを任されたのもそのくらいの歳だからなあ、ちょうどいいんじゃないか。あとは好きなことをして過ごすよ、ははは」
これまでの米作りはこのKさんの職人芸ともいえる米育てで成り立ってきたわけですが、自分がまだ元気なうちに代替わりをするとは思い切った決断です。
人口減少で、年寄りがまだまだ働かなくてはいけない、と思っていましたが、それはそれとして、若い世代を早く責任ある立場に就かせて、自分事として自分も未来も社会も支えるというのも真っ当な考えです。
自分自身が「まだまだやれる」と頑張るのも良いですが、程よく老害にならない程度に少しずつ次の世代に"譲る"というのは勇気がいりそうで、それでいてすばらしいことのように思えました。
しかし米作りのみならず、鮎釣りから陶芸まで一たび「これだ」と思って始めた趣味は限界まで極めなくては気の済まないKさんのこと。
この人に時間を与えて野に放ったら大変なことになりそうです(笑)。
そのうち鮎釣りでも習おうかな。