暖かくなってきて、ようやく街を散歩する気持ちが戻ってきたので、まず最近話題が多い日本橋近辺を。今年は第一次世界大戦から100年という年だけど、宝塚歌劇100年というのもあった。東京では三越デパートの「ライオン像」設置100年なんだそうだ。第一次大戦を機に、日本の大衆文化が成熟していったことがよく判る。このライオン像は本店本館1階の入り口に、狛犬のごとく左右に2頭が置いてある。しかし、日時限定で、今は他の入り口などにもある。この間、三越は店舗閉鎖を進めてきて、東京でも新宿、池袋店などがなくなった。全国の支店にも置いてあったライオン像がいっぱい要らなくなって、それを保管してあるんだそうである。黄金のライオン像(レプリカに金箔を塗ったもの)や、チョコレートのライオン像まで作った。入り口の2頭も花でお飾りしている。
去年撮影した時は下の写真のような感じだった。このライオン像は、100年前の支配人、日比翁助という人が欧米を視察したときにイギリスで注文したもので、「ロンドンのトラファルガー広場にあるネルソン記念塔の下の4頭の獅子像」がモデルだという。ライオン像が出てくる物語として、北村薫の直木賞受賞作「鷺と雪」があるが、戦前から東京名物みたいな扱いだったのだろう。最後の写真は、裏の方から見た全景。
さて、「三越百貨店」の本店を「日本橋本店」と呼んでいるが、地下鉄の最寄駅は「三越前」である。1927年(昭和2年)に東京初(というか「東洋初」)の地下鉄が浅草-上野間で開通し、以後少しづつ延伸して1932年に「三越前」という駅が作られた。資金難の地下鉄に対し三越が全額負担して作った駅である。以後、この駅名が定着すると、僕なんかは大きくなるまで「三越前にあるから三越デパートと言うんだ」などと転倒した認識をしていたものである。そもそもは江戸時代に三井高利が開いた「越後屋」、三井の越後屋だから「三越」とは、歴史を勉強してから納得したわけである。江戸時代に描かれた「熙代勝覧」というボストン美術館収蔵の大絵巻の複製が地下鉄通路に展示してある。これを見ると、越後屋の繁盛ぶりが印象的である。「現銀掛け値なし」と旗に書いてあるそうだけど、拡大してもよく判らない。日本橋の絵の写真とともに。(写真をクリックすると拡大されます。)
三越本店は東京都選定の歴史的建造物の指定第一号になっている。近くにある高島屋本店は重要文化財指定でもっと上だけど、これらのデパートは近代日本の発展を今目で見られるような立派な建造物だと思う。戦後に出来た駅直結のデパートにはない趣がある。屋上も何もない広場みたいな感じだけど、漱石の記念碑とか三圍神社(みめぐりじんじゃ)などがある。近くのビルの上だけ見えるから、ちょっと違った感じの風景がある。中央ホールや階段も面白い。階段はよく見ると大理石の中にアンモナイトなどの化石が見つかるという。
さて、日本橋と言っても広いけど、この三越周辺は三井財閥の本拠地だったところである。三菱は東京駅前の丸の内が拠点だが、「三井本館」はここにあった。戦前の三井合名本社があったところで、団琢磨暗殺事件も起きた。三越の隣の風格あるビルがそれで、今は三井住友信託銀行が入っている。三井本館の真裏が日銀本店だが、どちらも重要文化財指定で、歴史的なムードの漂う東京有数の写真スポットになっている。
さらにその隣に「日本橋タワービル」が出来ている。三井は本館建築を残して、そこに三井記念美術館を作った。三井家の持つ美術品を展示することが多い。建物が面白いので、中に入らなくてもエレベーターで登れる8階まで行ってみる価値がある。大体まずエレベーターに圧倒される。トイレも豪華な大理石作りで、ちょっとビックリ。もちろん館内の展示は写真が撮れないけど、そういったところを写真に撮ってみた。エレベーター、カフェ、トイレ。
この日本橋タワーも面白い。入ると超高級果物屋として有名な「千疋屋総本店」が入っている。2階には千疋屋パーラーもある。高いけど、フルーツポンチやケーキに飲み物付けて1500円ぐらいだから、行って行けないことはない。でも一階のフルーツ店の方は、絶対買えないようなすごいフルーツを並べてる。ジュエリーだと思った方がいいかもしれない。天井を見ると、なかなか見事なデザイン。
さて、最近三井タワーの真向いにコレド室町という大型商業施設が出来た。地下鉄三越前駅から直結、そこにTOHOシネマズ日本橋というシネコンも入って、日本橋唯一の映画館である。(昔、三越名画座というのがあった時代もあるが。)3つもある巨大な施設で、日本橋という場所が改めて注目されているわけである。日本橋そのものや日銀は次回に。
去年撮影した時は下の写真のような感じだった。このライオン像は、100年前の支配人、日比翁助という人が欧米を視察したときにイギリスで注文したもので、「ロンドンのトラファルガー広場にあるネルソン記念塔の下の4頭の獅子像」がモデルだという。ライオン像が出てくる物語として、北村薫の直木賞受賞作「鷺と雪」があるが、戦前から東京名物みたいな扱いだったのだろう。最後の写真は、裏の方から見た全景。
さて、「三越百貨店」の本店を「日本橋本店」と呼んでいるが、地下鉄の最寄駅は「三越前」である。1927年(昭和2年)に東京初(というか「東洋初」)の地下鉄が浅草-上野間で開通し、以後少しづつ延伸して1932年に「三越前」という駅が作られた。資金難の地下鉄に対し三越が全額負担して作った駅である。以後、この駅名が定着すると、僕なんかは大きくなるまで「三越前にあるから三越デパートと言うんだ」などと転倒した認識をしていたものである。そもそもは江戸時代に三井高利が開いた「越後屋」、三井の越後屋だから「三越」とは、歴史を勉強してから納得したわけである。江戸時代に描かれた「熙代勝覧」というボストン美術館収蔵の大絵巻の複製が地下鉄通路に展示してある。これを見ると、越後屋の繁盛ぶりが印象的である。「現銀掛け値なし」と旗に書いてあるそうだけど、拡大してもよく判らない。日本橋の絵の写真とともに。(写真をクリックすると拡大されます。)
三越本店は東京都選定の歴史的建造物の指定第一号になっている。近くにある高島屋本店は重要文化財指定でもっと上だけど、これらのデパートは近代日本の発展を今目で見られるような立派な建造物だと思う。戦後に出来た駅直結のデパートにはない趣がある。屋上も何もない広場みたいな感じだけど、漱石の記念碑とか三圍神社(みめぐりじんじゃ)などがある。近くのビルの上だけ見えるから、ちょっと違った感じの風景がある。中央ホールや階段も面白い。階段はよく見ると大理石の中にアンモナイトなどの化石が見つかるという。
さて、日本橋と言っても広いけど、この三越周辺は三井財閥の本拠地だったところである。三菱は東京駅前の丸の内が拠点だが、「三井本館」はここにあった。戦前の三井合名本社があったところで、団琢磨暗殺事件も起きた。三越の隣の風格あるビルがそれで、今は三井住友信託銀行が入っている。三井本館の真裏が日銀本店だが、どちらも重要文化財指定で、歴史的なムードの漂う東京有数の写真スポットになっている。
さらにその隣に「日本橋タワービル」が出来ている。三井は本館建築を残して、そこに三井記念美術館を作った。三井家の持つ美術品を展示することが多い。建物が面白いので、中に入らなくてもエレベーターで登れる8階まで行ってみる価値がある。大体まずエレベーターに圧倒される。トイレも豪華な大理石作りで、ちょっとビックリ。もちろん館内の展示は写真が撮れないけど、そういったところを写真に撮ってみた。エレベーター、カフェ、トイレ。
この日本橋タワーも面白い。入ると超高級果物屋として有名な「千疋屋総本店」が入っている。2階には千疋屋パーラーもある。高いけど、フルーツポンチやケーキに飲み物付けて1500円ぐらいだから、行って行けないことはない。でも一階のフルーツ店の方は、絶対買えないようなすごいフルーツを並べてる。ジュエリーだと思った方がいいかもしれない。天井を見ると、なかなか見事なデザイン。
さて、最近三井タワーの真向いにコレド室町という大型商業施設が出来た。地下鉄三越前駅から直結、そこにTOHOシネマズ日本橋というシネコンも入って、日本橋唯一の映画館である。(昔、三越名画座というのがあった時代もあるが。)3つもある巨大な施設で、日本橋という場所が改めて注目されているわけである。日本橋そのものや日銀は次回に。