今の国会には多くの法律が提出されている。知らない法案も多い。成立間際になって、初めて報道されて驚くこともある。僕も今日になるまで知らなかった法案が「公職選挙法の一部改正案」である。6月1日に委員会で可決され、2日に本会議が開催されこの法案も上程されている。まだ報道されていないが、恐らく可決され参議院に送付されたのではないかと思う。
その法案が成立すると、町村議会選挙に立候補するときに供託金が掛かるようになる。その代わりポスター製作費などが公費負担になるという。そうか、今まで町村議会選挙ではポスターなども自費だったのか。それは確かに「改正」してもいいだろう。でも「供託金」は要らない。国政選挙でも高すぎると言われる。もっと引き下げようという運動がある。ただでさえ、町村議会選挙では「議員のなり手がいない」と言われている。時代に逆行する法案としか言えない。
(各選挙の供託金一覧)
上の画像を見れば一目瞭然。町村議会議員は「供託金ゼロ」である。この問題は、2013年に「選挙を変えよう」シリーズの中で、「供託金はいらない-選挙を変えよう④」を書いた。その時から何も変わらず、むしろ「改悪」されるとは驚きだ。町村では若い人そのものが少なく、地域を支える人が減りつつある。地区ごとに候補を決めて、事実上無投票のことも多い。供託金制度は「候補の乱立を防ぐ」のが目的とよく言われる。乱立という実態がないのに、わざわざ供託金を作る意味が理解出来ない。
成立すれば「15万円の供託金」になるようだ。これは市議会議員選挙の「30万円」の半分である。まあ議員になろうかという人なら、もちろん出せない額ではない。それに大体返ってくるわけだし。供託金は当選するか、有効投票数を議員定数で割った数を上回る得票があれば返却される。(得票が基準以下だと国庫に没収される。)だから、町村議会選挙だったら、おおよそ戻ってくると予想できる。「だからいいじゃないか」ではなくて、「だから意味ないじゃないか」と思う。
この改正案に、当の町村議会議員は反対しないのだろうか、多分しない人が多いんじゃないかと思う。今までなかった選挙費用の公費負担が実現するんだったら、いずれ戻ってくる15万円だったら面倒だけど出しておこうという気持ちだと思う。だが、そういう考えはおかしい。15万といえど、若い世代にはちょっと負担感がある。町村の長老が立候補するには問題ないだろうが、都市で働いた(学んだ)若い世代が故郷に戻って立候補する時にハードルが高くなる。有害無益の「規制強化」である。
ところで「供託金」とは、具体的にはどうするんだろうか。僕も実際に実務を知ってるわけじゃやないけど、「供託」という制度がある。選挙だけではなく、民事訴訟など経済活動の中で争いがあった時に利用される方が多いだろう。「提供寄託」の略だという。現金または国債を法務局(地方法務局)に「寄託」することになる。法務局なんか大きな町、つまり「市」にしか置かれていない。「町村」にはないのである。わざわざ行くのも面倒だから、今まで供託金もなかったのに違いない。
(国政選挙、世界の供託金比較)
上の表を見れば、日本の選挙がいかに異常かよく判る。日本社会の「障壁」と言ってよい。政界関係者以外に立候補出来ない仕組みになっている。特に町村議会などは、もっと多くの女性、もっと多くの若者が立候補出来る仕組みを作っていかないといけない。「地方創生」などと言ってる人たちがやることではない。(なお、内閣提出法案ではなく、議員立法である。2020年6月8日成立。)
その法案が成立すると、町村議会選挙に立候補するときに供託金が掛かるようになる。その代わりポスター製作費などが公費負担になるという。そうか、今まで町村議会選挙ではポスターなども自費だったのか。それは確かに「改正」してもいいだろう。でも「供託金」は要らない。国政選挙でも高すぎると言われる。もっと引き下げようという運動がある。ただでさえ、町村議会選挙では「議員のなり手がいない」と言われている。時代に逆行する法案としか言えない。
(各選挙の供託金一覧)
上の画像を見れば一目瞭然。町村議会議員は「供託金ゼロ」である。この問題は、2013年に「選挙を変えよう」シリーズの中で、「供託金はいらない-選挙を変えよう④」を書いた。その時から何も変わらず、むしろ「改悪」されるとは驚きだ。町村では若い人そのものが少なく、地域を支える人が減りつつある。地区ごとに候補を決めて、事実上無投票のことも多い。供託金制度は「候補の乱立を防ぐ」のが目的とよく言われる。乱立という実態がないのに、わざわざ供託金を作る意味が理解出来ない。
成立すれば「15万円の供託金」になるようだ。これは市議会議員選挙の「30万円」の半分である。まあ議員になろうかという人なら、もちろん出せない額ではない。それに大体返ってくるわけだし。供託金は当選するか、有効投票数を議員定数で割った数を上回る得票があれば返却される。(得票が基準以下だと国庫に没収される。)だから、町村議会選挙だったら、おおよそ戻ってくると予想できる。「だからいいじゃないか」ではなくて、「だから意味ないじゃないか」と思う。
この改正案に、当の町村議会議員は反対しないのだろうか、多分しない人が多いんじゃないかと思う。今までなかった選挙費用の公費負担が実現するんだったら、いずれ戻ってくる15万円だったら面倒だけど出しておこうという気持ちだと思う。だが、そういう考えはおかしい。15万といえど、若い世代にはちょっと負担感がある。町村の長老が立候補するには問題ないだろうが、都市で働いた(学んだ)若い世代が故郷に戻って立候補する時にハードルが高くなる。有害無益の「規制強化」である。
ところで「供託金」とは、具体的にはどうするんだろうか。僕も実際に実務を知ってるわけじゃやないけど、「供託」という制度がある。選挙だけではなく、民事訴訟など経済活動の中で争いがあった時に利用される方が多いだろう。「提供寄託」の略だという。現金または国債を法務局(地方法務局)に「寄託」することになる。法務局なんか大きな町、つまり「市」にしか置かれていない。「町村」にはないのである。わざわざ行くのも面倒だから、今まで供託金もなかったのに違いない。
(国政選挙、世界の供託金比較)
上の表を見れば、日本の選挙がいかに異常かよく判る。日本社会の「障壁」と言ってよい。政界関係者以外に立候補出来ない仕組みになっている。特に町村議会などは、もっと多くの女性、もっと多くの若者が立候補出来る仕組みを作っていかないといけない。「地方創生」などと言ってる人たちがやることではない。(なお、内閣提出法案ではなく、議員立法である。2020年6月8日成立。)