麻生太郎財務相(副首相)の発言がまた問題になっている。もう何回目か判らない。ここでも1月に「「学ばない男」、麻生発言を考える①」という記事を2回にわたって書いたばかりである。今回は日本の新型コロナウイルスによる死者数が欧米諸国より少ない理由を「国民の民度のレベルが違う」と国会で述べた。しかし、「東アジアでは死者が多い日本」をこの前書いたばかりである。これでは、日本は「東アジアの中では民度が低い」ことになってしまう。
この発言は4日の参院財政金融委員会で出た。自民党の中西健治氏の質問に対し、麻生氏は外国からの問い合わせに「『おたくとうちの国とは国民の民度のレベルが違うんだ』って言ってやると、みんな絶句して黙る」と述べた。1月には「2000年の長きにわたって一つの国で、一つの場所で、一つの言葉で、一つの民族、一つの天皇という王朝、126代の長きにわたって一つの王朝が続いている」から「いい国なんだなと。これに勝る証明があったら教えてくれと。ヨーロッパ人の人に言って誰一人反論する人はいません」というものだった。発想が同じである。
(麻生「民度」発言)
麻生氏の脳内には東アジアが抜けているんだろう。それも問題だが、それと同じぐらい気になることがある。欧米の国と比べて「非論理的な理由で」日本が優れていると主張したときに、相手が「反論しない」とか「絶句する」とかと表現して、それが相手が主張を認めた証と受け取っていることだ。
これは「ネット上の言論空間」でもよくあることだが、「訳の判らないこと」「論理的じゃない主張」をする人の発言を放っておくと、「相手は主張を認めた」と取るのである。そうじゃなくて、相手したくないからスルーしているだけのことがほとんどだろう。麻生氏に対しても、「ああ、この人に反論しても仕方ないな」と思って、スルーしているだけなんじゃないか。麻生氏の脳内で「反論しない」とか「絶句」とか「翻訳」されてしまったが、実は「無視された」というのが実際なのではないか。
ところで、「日本人の民度」について、最近とても心配な出来事があった。僕は「日本人の民度」はともかく、「日本人の情報リテラシー」は大丈夫だろうかと思うことが結構ある。「リテラシー」とは「読解力」とか「識字力」のことだが、それ以上に「与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する能力」という風に使われることが多い。今回「特定給付金」(コロナウイルス対策で給付される一人10万円のこと)の申請について、間違いが多いらしい。「不要な場合」にチェックを付ける欄があるので、うっかり「必要」でもチェックする人がいるという。もちろん、書き方の説明はあるわけだが。
それ以上にビックリしたのは「オンライン申請」がどんどん中止になってしまったことだ。これは元々の制度設計も良くない。「給付金」に関しても、「マイナンバーカード」に関しても、「オンライン申請」そのものの関しても、判りにくいことが多すぎる。しかし、今はそれを問題にしたいのではない。取りあえず「給付金」の仕組みが決まった。そして「オンライン申請」の仕組みも決まった。使いにくいにしても、決められた通りに申請すればいいだけだろう。間違いが多いというのは何故だろうか。
(オンライン申請を中止した自治体が多い)
「オンライン申請」は誰もが出来るわけではない。「世帯主」であって、「マイナンバーカード」を持ち、スマートフォンまたはインターネットに接続してパソコン(カードリーダーが別に必要)がいる。だから、高齢者が理解出来なかったということではない。むしろ「情報リテラシーが高い方の人」が間違っているのである。当初間違いが多いと報じられた高松市のオンライン申請では何と6割に誤りがあったという。結局、多くの自治体がオンライン申請を中止してしまった。
そもそも「マイナンバーカード」は取得者本人の情報しかないのに、給付金は世帯ごと支給である。だから、「自治体の確認」が必須で、この仕組み自体に問題が多かった。しかし、だからといって、多くの申請内容に間違いがあるのが判らない。世帯主ではないのに、マイナンバーカードを持ってたから申請しちゃっという人も多いらしい。それはまだ理解出来るが、中には郵送申請で、書いてある口座名とコピーした通帳が違う人もあるという。どうすれば、そんなことになるのだろうか。他国の「民度」をあげつらっている場合じゃないだろう。日本の「情報リテラシー」の方を心配しないといけない。
この発言は4日の参院財政金融委員会で出た。自民党の中西健治氏の質問に対し、麻生氏は外国からの問い合わせに「『おたくとうちの国とは国民の民度のレベルが違うんだ』って言ってやると、みんな絶句して黙る」と述べた。1月には「2000年の長きにわたって一つの国で、一つの場所で、一つの言葉で、一つの民族、一つの天皇という王朝、126代の長きにわたって一つの王朝が続いている」から「いい国なんだなと。これに勝る証明があったら教えてくれと。ヨーロッパ人の人に言って誰一人反論する人はいません」というものだった。発想が同じである。
(麻生「民度」発言)
麻生氏の脳内には東アジアが抜けているんだろう。それも問題だが、それと同じぐらい気になることがある。欧米の国と比べて「非論理的な理由で」日本が優れていると主張したときに、相手が「反論しない」とか「絶句する」とかと表現して、それが相手が主張を認めた証と受け取っていることだ。
これは「ネット上の言論空間」でもよくあることだが、「訳の判らないこと」「論理的じゃない主張」をする人の発言を放っておくと、「相手は主張を認めた」と取るのである。そうじゃなくて、相手したくないからスルーしているだけのことがほとんどだろう。麻生氏に対しても、「ああ、この人に反論しても仕方ないな」と思って、スルーしているだけなんじゃないか。麻生氏の脳内で「反論しない」とか「絶句」とか「翻訳」されてしまったが、実は「無視された」というのが実際なのではないか。
ところで、「日本人の民度」について、最近とても心配な出来事があった。僕は「日本人の民度」はともかく、「日本人の情報リテラシー」は大丈夫だろうかと思うことが結構ある。「リテラシー」とは「読解力」とか「識字力」のことだが、それ以上に「与えられた材料から必要な情報を引き出し、活用する能力」という風に使われることが多い。今回「特定給付金」(コロナウイルス対策で給付される一人10万円のこと)の申請について、間違いが多いらしい。「不要な場合」にチェックを付ける欄があるので、うっかり「必要」でもチェックする人がいるという。もちろん、書き方の説明はあるわけだが。
それ以上にビックリしたのは「オンライン申請」がどんどん中止になってしまったことだ。これは元々の制度設計も良くない。「給付金」に関しても、「マイナンバーカード」に関しても、「オンライン申請」そのものの関しても、判りにくいことが多すぎる。しかし、今はそれを問題にしたいのではない。取りあえず「給付金」の仕組みが決まった。そして「オンライン申請」の仕組みも決まった。使いにくいにしても、決められた通りに申請すればいいだけだろう。間違いが多いというのは何故だろうか。
(オンライン申請を中止した自治体が多い)
「オンライン申請」は誰もが出来るわけではない。「世帯主」であって、「マイナンバーカード」を持ち、スマートフォンまたはインターネットに接続してパソコン(カードリーダーが別に必要)がいる。だから、高齢者が理解出来なかったということではない。むしろ「情報リテラシーが高い方の人」が間違っているのである。当初間違いが多いと報じられた高松市のオンライン申請では何と6割に誤りがあったという。結局、多くの自治体がオンライン申請を中止してしまった。
そもそも「マイナンバーカード」は取得者本人の情報しかないのに、給付金は世帯ごと支給である。だから、「自治体の確認」が必須で、この仕組み自体に問題が多かった。しかし、だからといって、多くの申請内容に間違いがあるのが判らない。世帯主ではないのに、マイナンバーカードを持ってたから申請しちゃっという人も多いらしい。それはまだ理解出来るが、中には郵送申請で、書いてある口座名とコピーした通帳が違う人もあるという。どうすれば、そんなことになるのだろうか。他国の「民度」をあげつらっている場合じゃないだろう。日本の「情報リテラシー」の方を心配しないといけない。