星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

可愛ゆすぎる。。『Darth Vader and Son (Star Wars Chronicle)』

2012-06-26 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
新聞でみつけた時から欲しくてたまらなかった絵本。 『ダース・ヴェイダーとルーク(4才) 』

もしダース・ベイダーがルークと一緒に暮らしていたら… という子育て絵本。 日本語翻訳版の広告を見たのが先だったけど、 Amazonの洋書のほうを見たら、 英語の台詞のほうが 理解するのに時間がかかるぶんだけ、 意味がわかったときの「くすっ!」という面白さが大きかったので、 洋書のほうを買いました。

アメリカのフツーのお父さんがみんな言ってるだろうな、、という日常の「しつけ」の言葉が、 ダース・ベイダーの口から発せられると とっても可笑しい、、そして なんかせつない(笑) 笑い転げながら 泣けてきそうになる。。 

Amazon.comのサイトでは 「なか見!」が出来るので、 ぜひ見てみてくださいな
Darth Vader and Son (Star Wars (Chronicle))

私がすごい好きなのは、、 ↑でも見れる ルークをバーに連れて行ったときの「ぶくぶくしちゃダメ!」ってのとか、、 (これは見れないけど)ダース・ベイダーの「お絵描き」とか。。 ルークの質問に困るダース・ベイダーが可笑しくて、、

あと、、 「PRIVACY」って語が出てくるページ。 日本語版のを見てないから 何て翻訳されているかわからないけど、、 ダース・ベイダーが「一人にしておいてくれないか?」とかって 言ってると思うんだけど、、、 ねぇ? 非常に個人的な問題よねぇ? 、、あれは。。(笑)(←って何のことかわからずすみません)

映画の内容とか、 ルーク以外のキャラクターもたくさん関係していて、 ほんとに面白くて、 可愛らしくて、 たまりません。


これは本の裏表紙。

 ***

この本の 広告映像があるみたいです。 これもかわいい。(youtube)
Darth Vader and Son -- Book Trailer

↑これを見てて、 そのあと関連映像で こんな可愛らしいのを見つけました。 ちょうど絵本のルークが きっとこんな感じの坊やたちなんでしょうね、、↓
My son fights Darth Vader and saves the galaxy

でも、↑途中からあらわれる 実写(?)のダース・ベイダーは、 やっぱりまじ怖い。。。 ぜったい怖い。。 もし、 自分があのくらいの年で あの舞台に上げられていたら、 固まっちゃう。。


、、でも いいな いいな~。 こんな風に ダース・ベイダーと闘った記憶はぜったい消えないと思うな。。 私もその昔、 ↑の坊やたちの年の頃、 お祭りでバルタン星人のハサミで頭を撫でてもらった時のこと、、 しっかり覚えているもの。


その昔、 ルーク・スカイウォーカーに憧れた少年らも、、 もしかしたらそろそろ孫を持つ年になるかもしれませんが、、 そんな元少年にもお薦めです。

絵本『てぶくろ』

2011-04-13 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
以前、新聞に載っていた記事。

 「てぶくろ」印税 被災者に 画家の遺族が申し出 (asahi.com>>

これを見て注文した本が昨日とどきました。 懐かしい・・・!


人間のおじいさんが落としていった片っぽだけのてぶくろに、 どうぶつたちが棲みつくお話。。 次から次へと どうぶつたちがやってきて、、、 

ちっちゃなてぶくろの中に、 そんなに住めるわけないのに、、 なぜかはいれちゃう。。




「避難所で身を寄せ合っている方々…」と、、 新聞の記事にはありましたが、 助け合って暮らしている被災地の人々に思いをめぐらすようでもあり、、、 ちっちゃな島の上でなんとか頑張ろうとしている この国そのもののようでもあり。。。

そのちっちゃな島は、 地殻の大きな力でまだぐらぐらと揺さぶられ続けていて、、 そんな中で 燃えさかる焔を身体にくくりつけたまま 綱渡りをしているみたいだ。

でも、 でも、 このちっちゃなてぶくろの中でがんばらないと。。 てぶくろがはじけとんでしまわないように。

 ***

この『てぶくろ』は、 幼馴染みの男の子がずっと前に 好きだ って言ってた本。。 同じロシアの絵本だけど、 私は、 次から次に助っ人がとんでくる『おおきなかぶ』が大好きだった。

amazonでこの本のページを見たら、、 『おおきなかぶ』のイラストは 先日亡くなられた彫刻家の、 佐藤忠良さんだったと気づきました。 ラチョフさんの『てぶくろ』の動物たちも可愛いけれど、 佐藤忠良さんの描く 赤ら顔の鼻のおっきなおじいさんたちの絵も すごくあったかい。

てぶくろ―ウクライナ民話 (世界傑作絵本シリーズ―ロシアの絵本)  エウゲーニー・M・ラチョフ (Amazon.com)

 ***

さっきの話にもどるけれど、、 ちっちゃなてぶくろで身を寄せ合っている生きものたちを読むと、、 以前に書いた シュペルヴィエルの 『ノアの方舟』をどうしても思い起こしてしまう。 方舟が狭いものだから、 大きな鰐の口の中で 子豚が眠っていたり、、 ライオンが子羊と隣り合わせて おとなしく子羊を舐めていたり、、、 みんな ほんとうにけなげだ。


、、、だけど、、

ノアの話は、、 今はこれ以上読めない。。 これ書いてても泣いてしまう、、 その後の 「泳ぐ男」の話とか 想い出してしまって、、、 大好きな 大好きな 話だけど、、 今はせつなすぎて。。


、、 また 地震。。。  だけど東京はたいしたことないし、 揺れるのにも慣れてきたよ(笑)

毎日、、 いい話と 悪い話がある。  毎日、、 うれしい事と せつない事がある。  毎日、、 怯えさせるものと 力をくれるものが ある。

力をもらって、、、 



笑顔を返そうね。





マーチ家の父 もうひとつの若草物語

2011-02-24 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
2006年 ピューリッツァー賞フィクション部門受賞作品。 すばらしい作品! 、、だけどとても読むのに時間がかかってしまいました…

『マーチ家の父 もうひとつの若草物語』 (ジェラルディン ブルックス著、高山 真由美 翻訳/武田ランダムハウスジャパン 2010年)


 ***

『若草物語』のことについては、 このブログにも何度か書きましたね。 (若草物語に関する過去ログをいちおう挙げておきましょう>>

あの四姉妹の〈お父さま〉の物語。。 『若草物語』では、 従軍牧師として戦地に赴いていて、 物語の冒頭から一度も登場せず、 最後の最後になって お父さまが戻って 一家の暖かい図が完成するシーンで幕を閉じますね。 その〈不在の〉お父さま側を ひとつの小説にしてしまおうとするなんて、、 うまいことを考えたなぁ、、、 なんて、 『若草物語』の「外伝」を読むようなつもりで 興味津々で手に取りました。

〈お父さま〉が19歳ごろの若き日の思い出などから始まって、(或る女性との出会いや)、、 〈お母さま〉との出会いなども語られていくので、 この辺はけっこうどきどきしながら読むことができます。 牧師さま、、という高潔なお父さまのイメージではなく、 理想と野心に満ちた青年像というのも新鮮で、、、

そして コンコード(オルコットが暮らしたマサチューセッツ州の町)での エマソンやソローといった実在の知識人たちとの交流が描かれ、、、 このことは、 上記の過去ログに載せた 『ルイザ 若草物語を生きたひと』という伝記や、 『ルイーザ・メイとソローさんのフルート』という絵本で書かれていたことを思い出して・・・

こうなると、 『若草物語』のお父さまのことを読んでいるのか、 作者オルコットの父ブロンソンのことを読んでいるのか 頭の中がごちゃごちゃになってきて、、 でも、 1850~60年代のコンコードの町に、 本当に 若草物語の家族が住んでいて、 そこでお父さまとお母さまが出会って恋をして、、、と、 実在した人の話を読んでいるようにしか思えなくなるリアルさ。。。

 ***

でも、

『若草物語』の時代背景には 南北戦争というものがあったのですよね。 それは、 奴隷制廃止をめぐるアメリカ北軍と南軍との 血で血を洗う内戦。

若草物語を読んだ子供のころには そんな戦争の実態などまるでわかっていないし、、 従軍牧師というなら、 たぶん、 戦地の病院かどこかでお医者さまと一緒に 負傷兵を慰めたり、 祈りを捧げたり、、 そんな程度のことをしてるのだろう、、くらいの想像しか できませんよね。 、、、そういえば、、 物語の後半で、 戦地のお父さまが危篤! という知らせが届いて、 お母さまはお隣の家のローリーの家庭教師をしていたブルックさんに付き添われてお父さまの元へ出かけて行くのでした。。。 そうそう、、 その時、 費用の足しにと ジョーは長い髪をばっさり切ってお金をつくり、、 そして 悲しいことに、 お父さまもお母さまもいない間に、 ベスは猩紅熱にかかって死の淵をさまようことになり、、、 もうだめなのかも、、、と絶望的になるけれど、 最後にベスも危機を脱して、 そして戦地のお父さまも還ってくる。。。 あぁ そうだったそうだった、、、 と思い出すのですが・・・

お父さまが 戦地でどのような日々を過ごし、 どうして危篤になったのか、、、 考えたことも無かった。


ここが 本書の本質なのでした。

だから、、 『若草物語』のお父さまの物語でありながら、 語られるのは、 南北戦争というアメリカ史。 奴隷制におかれた南部の黒人労働者たちの 南北戦争当時の実情。。。 奴隷制廃止を支持するお父さまの 南部戦線での苦闘。。。 それは ずっしりと重い 苦しい 悲しい 物語なのでした。 とても とても 読むのがつらかった。

 ***

あとがきに 著者ブルックスが参考にした南北戦争や奴隷制についての文献なども載っていましたが、 本当に緻密で徹底した取材の下敷きがあって、 それを『若草物語』というフィクションの中に じつにリアルに嵌め込んでいった すばらしい力作だと思いました。 ピューリッツァー賞、 当然!

ただし 読む人はほんとうに限られてしまうでしょうね。 まず『若草物語』の内容がわかっていることが前提。 次に、 できればエマソンやソローという人たちのことをちょっとでも知っているとわかりやすくなります。 私は南北戦争の知識も、 奴隷制の知識もぜんぜんないので、 ところどころ人名とか解らない部分もありました。 けど、、

もしも『若草物語』の時代背景や、 作者オルコットの生きたアメリカの時代背景に関心がある方なら、 本書は是非に、 とお薦めします。。 若草物語の読後印象とは まったく違うものですけどね、、 


、、そうそう、、

本書を読んで、 まったく知らなかったことがありました。 それはこの1850年代当時、 南部の奴隷の逃亡を助ける、〈地下鉄道〉と呼ばれる秘密の活動があった、ということ。 奴隷解放を支持する一般の人が 自分の自宅にかくまったり、 移動手段を提供したりしながら、 自由の身になるカナダへと 逃亡を助けたのだそうです。 (『アンクルトムの小屋』の中にもカナダへ逃亡する物語があったらしいけれど、 憶えていませんでした。。。) 

この〈地下鉄道〉という活動のことも 若草物語のマーチ家と結びつくと、、、 ジョーがときどきよじ登って林檎を齧りながら本を読みふけっていたあの屋根裏部屋が、 まったく違った風景として 見えてきたりもします。


素晴らしい作品でした。 、、、後半は 涙でティッシュ箱半分ちかく使ったけど・・・(笑)

 


金木犀の季節を前に、、

2010-09-28 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
このところ 急に肌寒い雨がつづいて、、 そのせいばかりではないけれど、 ちょっと体調悪くて、、 お仕事には行けているけど 、、、お休みの日は ダウン。。。

でも 素敵な本の話を。。

 ***

新聞屋さんが月に1度とどけてくれる冊子。 毎月、なんとなく目を通していましたが、、 そういえば 1年ほど前に表紙が変わって、、 その絵がなんか いいなあ、、 と思ってました。

先日、 その表紙のイラストレーターさんの事が書かれていて、、

MICAOさんという、 刺繍イラストレーターさんなのでした。 布に刺繍で 糸の絵を描いて、 染色して仕上げるという手間のかかるイラスト。 (サイトはこちらです↓ ギャラリーにたくさんの作品が載っています)
http://www.e-micao.com/

布と糸でできた絵が 温もりがあって、 それでいて、 その絵はただ可愛らしいだけじゃなくて、 どこかミステリアスな感じもあって、、 思い付いたのが、 トーベ・ヤンソンのムーミンの原画。。 もともと、 ムーミン大好きな私、 それも 不気味さのある原画のムーミン 大好き、、 なものだから、 MICAOさんのイラストにとても惹かれました。

、、で、 絵本とかあるのかしら、、 と探したら、 「安房直子」という童話作家の本の挿絵を描いてらして、 今年 それが出版されたそう。。。 

安房直子さん、、、 全然知らなかったのです。 もしかして、、 作品のどれかは 知っているのかもしれないけど、 タイトルを見る限り 記憶がありません。。 もっとも、 作品の多くは70年代後半以降に発表されているから、 私の幼少期には重なりませんね。
(wiki>>) 50歳にして亡くなってしまわれたのですね、、 存命ならまだきっと作品を書いておられる年齢でしょうに。。。

略歴をみて、、 (山室静さんのお弟子さんだったんだ・・!)。。 山室さんは、 ムーミンやアンデルセンの翻訳で知られる方、 そして 北欧神話や、 ギリシャ神話の世界にも精通された方。。 大好きな、、 というか 尊敬する文学者のおひとり。

MICAOさんの絵に感じた トーベ・ヤンソンの感じと、 ムーミン紹介者の山室先生のお弟子さん、、というのが 頭の中で繋がって、、 (これは読むしかない、、)と。 予感は、 当たりました。

 ***


ひぐれのお客』 (福音館創作童話シリーズ) 安房直子著、 MICAO (イラスト)

安房直子さんの著作では、 『安房直子コレクション 全7巻』(Amazon.co.jp)というのも出ていて、 そちらのレビューなどにも書かれていることですが、 安房さんの作品はどこか 不思議で、 寂しくて、 せつなくて、 そして 怖くて、、。。 童話、 というより、 そう、、 ファンタジー。

ファンタジーとは自分なりに思うと、、 日常と異界を結ぶもの。 異界への旅であったり、 異界からの使者との出会いだったり。。 本来なら 逢うことのかなわない人、 失われてしまったもの、 辿りつけない世界、、、 そういう世界との通路が、 物語の中でふっと生まれる。 それが、 とってもわくわくするような場合もあるし、、 物哀しい場合もあるし、、 さらわれるような怖さの場合も。。。

『赤い蝋燭と人魚』の小川未明のような もの悲しさや怖さも、 『手ぶくろをかいに』の新見南吉のような けなげさやせつなさも、、 

現代にこんな作家さんがいたなんて、、、 出会えて良かったです。 MICAOさんのイラストにも。

 ***

白いおうむが、 亡くなった人の使者となって別の世界へみちびく話。 「白いおうむの森」から、、、 ほんの一節。


 あたしに、 お姉さんがいたなんて・・・
 みずえは、 そのあと、 幾度も、 このことを思いだして、 そのたびに、 暖かいものが、 胸の奥から、 わきあがってくるのを感じました。 それは、 金モクセイの花の匂いににています。

 ***

、、そう、、、 そんな 金木犀の花の匂いに似たものが、 胸の奥から わきあがってくる、、 そんな 物語たちなのです。


永遠の家族、、永遠の友。: 『ルイザ 若草物語を生きたひと』

2008-02-06 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
このところせっせと読書で現実逃避。 私にはセレブの身の上話なんてひつような~い。

なんて言って、ちょっと前によんだ本は、興味津々の伝記なのですが。。

 ***


『ルイザ 若草物語を生きたひと』(ノーマ・ジョンストン著 谷口由美子訳/東洋書林)

『若草物語』の作者、ルイザ・メイ・オルコットの伝記です。

この本の表紙の絵、、ノーマン・ロックウェルですって。いい絵ですね。。 屋根裏部屋で古いソファとクッションに背もたれて、書き物に没頭するジョー。。いえ、オルコットなのでしょうけど、小説の中の、あのジョーそのもの。

私はウチで掃除する時、、 ソファの上でさんざん使われてぺしゃんこになっている羽毛のクッションを、ぱんぱんと叩いて膨らませる時、、かならず『若草物語』を頭のどこかで反芻しています。。ウソじゃなく、、本当に条件反射的に、、。『若草物語』を読んだ小学生のころには、ウチにはソファもクッションも存在しておりませなかったのですが(笑)、、。 羽毛のクッションが生活に入り込んできたのはいつだったか思い出せませんけど、とにかく、羽毛のクッションをぱんぱんして、並べ直すたびに私はジョーとローリーのことを思い出します。

最初は、ジョーが初めてローリーの屋敷を訪れた時、ですね。風邪ひきのローリーのお見舞いに。。 そこでジョーは、ローリーのお部屋をちゃちゃっとかたづけて心地良くしてあげるのです。

  「きみって、しんせつなんですね! そうですよ、こんなふうにしたかったんです」
   (掛川恭子 訳)

そうして、ジョーとローリーは無二の親友になり、、、でも、、彼らが成長して、<無二の親友>という間柄にはおさまりきれなくなってきたとき、 この<ソファとクッション>の存在がまた大事な小道具となって物語に出てくるのですね。。それは、『続 若草物語』の第九章「やさしき悩み」につづられています、、

  「この由緒ある寝椅子の上にはたくさんのクッションがおいてあったが、、(略)
   、、このあまりぞっとしないクッションはジョーの占有物であり、防御の楯とも
   なれば防壁(バリケード)ともなり、または午睡の夢を適度にさまさせる予防剤
   ともなっていた。」

、、、一体なにからの「楯」であり「バリケード」か?? と言うと、、もちろん、、ローリー。

  「、、このごろになっては自分が最もすわりたい場所、すなわちソファのすみの
   ジョーの隣にすわることをこのクッションで阻止されることがしばしばだったから
   である。」 (吉田勝江 訳/角川文庫)

、、で、、最愛の(はずの)ローリーは、このクッションでかなりさんざんな目に遭うのですよ、、ね。。。 そんなだから、クッションをぽんぽん、としてソファに転がす時、いっつも心のどこかで苦笑してしまうのです。 幼少期の読書の、すごい影響力。

 ***

作者ルイザ・メイ・オルコットの家族は、マサチューセッツ州のコンコードなどで暮らし、ルイザは子どもの頃から、エマソンや、ソローといった超絶主義者の思想家たちや、ホーソンなどの作家たちと親交があった、、ということについては、前に少しだけ書きましたのでそちらを(>>)。
この伝記では、そういったルイザの子ども時代の生活が詳細に書かれていて、エマソンらとの関連も勉強になります(日本では、幕末!という時代。。ルイザの家族、「若草物語」の家族、って本当に永遠の魅力なのだな、と思います)。、、、それにしても、、、
ルイザの<お父さま>、ブロンソンの破天荒ぶり、というか、異端ぶりというか、ダメ人間加減というか、、は、かなりの予想外でした。みずからの哲学のため、、とはいえ、ここまで生活能力に欠けていると家族は本当に大変なだけ、だろうと。。ルイザは、家族の貧窮を助けるため、退路を絶たれた状況で作品を書かなければならなかったのだ、、と。

にもかかわらず、ルイザの描いた『若草物語』には、自分の家族への思いがいっぱいで、<お父さま>の欠点は全く描かれなかったかわりに、第3、第4若草物語でジョーが運営する学校の様子は、まさにルイザの幼少期に、お父さまブロンソンが目指していた理想の学校を描いたものだったということがわかる。困窮を希望に変え、苦難を楽しみにしてしまうルイザのパワーは、やはり紛れもなくジョーそのひと、そのもの。

ルイザの末妹メイ(MAY)が、欧州留学ののちに画家になり、裕福な人の妻となって愛娘をもうけたのですが、、若くして亡くなってしまったという点は胸が痛みました。物語のエイミーは、MAYを入れ替えたもの(AMY)で、物語ではローリーと結婚したエイミーが一番の幸福を手にしたような気がしていたのですが、、そんな悲しい現実が隠れていたなんて、、。 これからはもうエイミーをうらやんだりしません、、ご免なさい。。

MAYの遺した娘さん(AMYでいえば、きんぽうげちゃん、ですね)のその後も書かれています。 『若草物語』を、ジョーの息子たちの物語まで興味深く読んだ方には、このオルコットの伝記もとっても興味深いものになると思います。 お薦めです。

陽射しのような、、、 『ソーネチカ』 リュドミラ ウリツカヤ著

2008-01-31 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
自分が住む場所の第一条件、、
、、 徒歩圏に図書館があること。 できれば複数箇所。

東京23区ならば、たいがい区立の図書館は4~5箇所ずつあるので、どこに住んでもそう困ることはないと思うけれど、でも、やっぱりお散歩がてら歩きで行ける場所がいい。
いまの住居から歩いていける図書館はふたつあって、(もしかしたら3つ目も歩いていけるかも)、、どちらも傍に公園がある。 

このところ、気温は低くても、陽射しは確実に強くなってきたみたい。 昨日は風も無かったから最良の図書館日和。。 去年の手術以降は、長時間本棚をながめて立っていたりするのがまだつらかったので、ネット検索で予約した本を受け取りに行くだけ、というのが多くて、昨日もそのために行ったのだけど、ついでに書棚もうろうろと眺めてみた。

そこの図書館は残念ながら小さい。。 英米文学を除いた外国文学の書棚など、2列で終わってしまう、、 それでも、作者もタイトルも知らない本を、すっと書棚から取り出して、背表紙や内扉に書かれた紹介文とかをチラと読んだり、訳者のあとがきを走り読みしてみたりするのは、不思議なよろこびがある。 絵との出会いは一瞬間でつたわることもあるけれど、 小説は手にとってページを開かなければ一生出会えないものだから。。 しかも、手にとって借りてきただけではまだ〈出会い〉とはいえない。 そのあとの何日、何時間かをじっと向き合って読み終えないと、出会ったことにはならないのだもの。

大学生だった5年間で、うんざりするほど図書館通いはしたけれど、、 
昨日、、冬のちいさな図書館の、うす暗い書棚の間で立ったり座ったりしながら、、まだこの中に出会えていない綺麗なきれいな宝物が隠れているような気がして、、、
、、そんな感じがしてる自分は妙ちくりんな幸せ者かも、、とおもいました。

前置き長くなりましたが、、 そんな風に図書館うろうろしていて、去年よんだこの本のこと、、思い出したのです。 去年は、殆ど本のこと書かなかったから、、。

『ソーネチカ』 (新潮クレスト・ブックス/リュドミラ ウリツカヤ 著/沼野恭子 訳)

退院後、長篇とか読む元気がなくて、、堀辰雄とか、大正期の作家の短いものを読んだりしていて、そのあとチェーホフとか読んで、、 そんな頃、この本を見て、表紙がまず気に入りました。 冬のロシア、、 針葉樹の森と、、 素朴な赤い帽子の女の子。。

本が大好きで、図書館の仕事で本に囲まれているだけで幸せだったソーネチカが、本を探しにきた反体制運動家で流刑の身にあるような男と出会い、そうして男について行くことから、ソーネチカの女性としてのあらたな生涯がはじまる。。 どんな状況で暮らそうと、どんな混沌が待ち受けていようと、ソーネチカの人生は淡々と、図書館で書棚の前にしずかに座って幸福を感じていた時と変わらず、すべてを受け入れていく。

図書館での男との出会いだけが、不思議と鮮烈で、、 ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』で外科医トマーシュについて行ったテレザをふと思ったけれど、時に哲学的な考察の加わるクンデラの筆致とは全然違って、この作品ではソーネチカの心情を何も説明しない。 女として、耐えられないほどの困難な状況に陥っても。。

幸せのものさしなど、 無いのだろうな、、と思わざるを得ない。

、、 この本を読んでもう半年以上も忘れていたけれど、 何事も無い冬の一日、、 図書館でふわっとソーネチカのことを思い出す、、、 ちょっとだけ強くなった陽射しが嬉しく感じられるような、、 そんなのがソーネチカの幸せにちかいものかもしれないと、、 

そんな本です。


絵本グッズと、 早くもクリスマスグッズのおはなし。

2007-10-18 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
新宿の伊勢丹へ行きました。

子ども売場で、絵本と、登場するキャラのぬいぐるみのフェアをしていて、
昔 姪っ子に贈って好評だった 『そらまめくんのベッド』の そらまめくんのぬいぐるみがあったり、

そこでみつけて きゃぁ、、となったのが、
ロシアの絵本&ムービー 『チェブラーシュカ』のチェブラーシュカがいたこと! 可愛い!

チェブラーシュカとはこんなんです>> (Amazon.>>)

3年前くらいに友人宅でDVDを見せてもらって、 可愛いけれどもロシア的もの寂しさもあって
記憶にのこってたのですが、 最近ブームになっていたようで、
チェブラーシュカのぬいぐるみと、 登場キャラのワニ ゲーナもいて、、
ゲーナ欲しくなってしまった。。 (けど我慢した)

ほかに、 映画で話題のピーターラビットの作者 ポターや湖水地方に関する豪華本(英文)や、
フェアリーテイルの絵本の豪華本(これも英文)なんかもあって、、 座り込んで眺めてました。

あ、、 こないだウチで 以前にしまいこんであった箱から、 
可愛い かわいい たわしウサギ(↓)2匹を見つけてね、




いま、松ぼっくりや、どんぐりや、 森をあるくスナフキンたちと一緒のコーナーに仲間入りしてます。

ところで、、 
伊勢丹に出掛けたホントの目的は、 クリスマスグッズの売場が早くも出来たというので
それを見に行ったの。
来月に入ったら もうツリーを飾るんだ~。 今年はクリスマスを待ち遠しく過ごすんだ~。
、、、 という理由は、、 まあいろいろあるんだけど、
去年の12月、 ボス先生の診察を受けて、年明け早々の入院&手術を決めてから 早一年。。
たいへん、、だったかもしれないけど、とてもみじかかったような一年が過ぎて、 
クリスマスを迎えられるっていうことを しあわせに感じたいから。。

それにね、、 とある オーナメントをいま探しているんだ、、。 それと似たようなの探したいの。
いまはまだ、、 内緒、、。

残念ながら 伊勢丹にはそれはなかった、、 けど
街がきらきらしていく これからの季節 どこかでみつけられたらいいな、 いいな。。


どうせ大声をだすんなら泣くより笑うほうがいいです。 : オルコット『病院のスケッチ』

2006-10-28 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
しばらく前に読んだ本と、つい最近、読み終えた本、、。

ひとつめは『ルイーザ・メイとソローさんのフルート』という絵本。
これは、新聞の子供の図書欄で見つけて、
読もうと切り抜いておいたもの。

ルイーザは、『若草物語』の作者ルイザ・メイ・オルコット。
ソローさんというのは、『森の生活』で有名なヘンリー・デヴィッド・ソロー。

ルイザのオルコット一家は、ボストン・コンコードで暮らし、お父さんのブロンソンは、自由教育の学校をつくったりして、エマソンや、ソローなど、トランセンデンタリズム(超絶主義)の文学者らと親交がありました。…という話は読みかじった程度で、以前、ウィノナ・ライダー主演の『若草物語』のビデオを観た時に、ジョーことウィノナが、NYで出会うベア先生に超絶主義について熱く語る、というシーンをみて、ふ~んと思ったものでした(原作にはそんなシーンは無かったと思うな、、)。

でも、若きソローさんと少女ルイザが仲良しさんだったとは、知りませんでした。
ソローさんは毎日森をぶらぶらしている変わり者の若者(森の生活をはじめる前のことです)。。ルイザは、当時の少女にふさわしい縫い物仕事などを、なんとか抜け出して、ソローさんと森の散策や川下りをしたくてたまらない、、。

ルイザの少女時代が読める、ということで興味深く手にしましたが、、う~ん、、オルコットもソローも未知な子供が読むにはどうなんだろ、、? 前もって興味がないと、日本の子供には何もピンと来るものがないかもしれないかも、、と思ってしまいました、が。。150年前の家や服装を描いたイラストもね、、ちょっと好き嫌いが分かれるかなあ、、。
、、(勝手だけど)私の好きなバーバラ・クーニーの絵だったら、もっと可愛かったのにな、、なんてちょっぴり残念が残りました。

 ***

もう1冊は、これも、オルコット。『病院のスケッチ』。
ルイザが1862年、従軍看護婦を志願し、南北戦争の負傷兵を看護したときの体験記録。。これは現地から、家族のもとへ手紙として書き送られたものを、のちに新聞に掲載したのだそうです。まだ『若草物語』を書く前、、作家になる前のスケッチです。こちらはたまたま図書館で目にして読んだもので、もう絶版のよう。
すばらしい本なので、再販されて手に入るようになればいいなあ、と思います。

自分がもうすぐ病人になるっていうのに、苦しむ負傷兵のスケッチを読んだりしなくても、、って思われるかもしれないけど、、手を差し伸べられる幸せよりも、手を差し伸べる幸せのほうが、いいものね。。

設備も薬も、麻酔も整っていない南北戦争時代の負傷は、治癒を待つか、切り落とすか、感染が広がって死ぬか、、手を施すにも限界のあることばかり。。でも、そんな状況に、持ち前の不屈の精神と、使命感と、姉のような愛情で立ち向かうルイザの言葉には、力が溢れてて、、。ここにまさに、ジョーがいる!という感じでした。『若草物語』の冒頭も、お隣のローリー君の風邪お見舞いから親交が始まるのですよね。ルイザには、男の子の心を開いて、すぐにかけがえのない友になってしまう魅力があることが、このスケッチでもよくわかります。

肺を撃ち抜かれ、死を宣告された、誰よりも勇敢な兵士「ジョン」が、故郷の弟「ローリー」に宛てて手紙を書いて下さいとルイザに頼む話など、、つらく悲しい場面もあるけれど、ルイザの筆致は、どんな状況にも屈服しないジョーにつながる萌芽をそこかしこに。。大袈裟な比喩とか、ディケンズや聖書の文句のもじりとか、爆発する喜怒哀楽とか、暴走してしまう行動とか(笑)。

・・・現代の病院風景は、昔とはずいぶん変わったけれど、、それでも、できたら若い人は一度は病院で看護士見習いとか、看護体験とか、してみたらいいのではないかな、、と、ふと思いました。難しいかも知れないけれど、死と向き合いつつある人と、何も出来なくてもいいから、話をしてみたら、、と思う。望みの少ない人が、「看護婦(士)さん、ありがとう」と口にする時、どんな表情をするか、ただ身を横たえるより方法の無い人が、時にどんな崇高な笑顔をみせるものか、知る事が出来たら、きっと生きる力になるはず、と私は思うのですけれど、、。
と、これは余談。

愛と勇気と笑いで奮闘するルイザの筆が、本当に生き生きと、素晴らしいスケッチでした。きょうのタイトルは、本文の兵士の言葉です。。

エドガー・アラン・・・

2006-06-28 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
、、、なんだかまだ落ち着きません。。やること色々あるし。
本当に、肩の荷が下りるのは、
創り上げたものに、ちゃんと反応が返ってきてから、なんだろうな。
それは、本やCDを出すのと一緒ですね、、。

、、今年はどんな秋になるのでしょうか、、。

 ***

乱読きわまりなく、落ち着かないままに、いろいろ引っ張り出して読んでいます。
(それが出来るのは、やっぱり嬉しい)

新しいものでは、
ポーと日本―その受容の歴史
こういう本はなかなか自分では買えない大著ですが、いま、明治20年代くらいに関心があるので、そのころの日本の学生や文人がどんな風にポーを読んでいたか、とか、とても興味があります。でもでも、未だこういう外国文学の受容史は研究途上なのですね。

ポーと言えば、
前にHPの方へ載せた、イギーや、ジェフ・バックリーらが朗読しているCD。
あれも貴重な出会いといえば出会いでした。(よく見つけた、と今では思う)

あ、そうそう。
先日書いた、ターシャ・テューダーの絵本に、こんな素敵なのものが。。
エドガー・アラン・クロウ

これを本屋さんで見つけた時は、もう、きゃああ、でした。
お花を愛するターシャと、エドガー・アラン(・ポー)のイメージが繋がるのもちょっと驚きだけれど、きっとエドガーの中の美をターシャは知っているのかな、と嬉しくなりました。本屋さんで一度ちらっと見ただけなので、いつか自分の為にきっと買おう、と思ってる。

ひさしぶりにジェフ・バックリーのULALUME、聴きましょうか。
(とにかく彼が、他でもなくULALUMEを、、、というのが特別で、、)

萩原朔太郎の詩で「ULA・・・」とつく題の詩があって
それはこのポーのULALUMEから来ているのだけれど
、、その詩は、また見つけておきましょう。。

ほんとうのうつくしさ

2005-11-15 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
とある場所で見せていただいた本。

終わった後、思わず駆け寄って
「それ、もう一度見せて下さい」と言って見せてもらいました。

検索にひっかかると(諸事情により)困るので
画像だけそっと載せておきます。
去年発行だそうなので、お気に召した方は
書店で見てみて下さいね。

よく知られているバージョン(そちらも好きだけど)のではなく、原作に忠実なお話で、内容もとても美しいもの。大好きなお話、、、ほんとうにうつくしい心に出会えるし。。

それに加えて、この絵に引き寄せられてしまいました。バーバラ・クーニーさんがお亡くなりになって、彼女の新しい絵本はもう増えていかないのをとても淋しく思ったけれど、またあたらしい人の絵に出会えてとても嬉しいです。

理想のローリー

2005-06-18 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
最近、、戯曲を読んでいる。
2、3時間の公演を目的に書かれた物だから、当然その位の時間で読み終わるのが結構嬉しい。それらを読んでいるうちに、、、ふと、ボリス・ヴィアンのことを思い出して、、、。ヴィアンのものの舞台、、、いつか観てみたいな。

 ***

話変わって、、、今夜シネマ番組を見ていて、クリスチャン・ベイルが「若草物語」に出ていたと知った。ローリー役。。。ぴったりだと思う!うん、私の理想のセオドア・ローレンス君はまさにクリスチャン・ベイル。ローリーはやはり黒髪でなければね。。

・・・でも、その映画、、ジョー役がウィノナ・ライダーなのですね(複雑)。。。
ウィノナは巧い女優さんだと思うけれど、ジョーには余りにも思い入れが強いので、、、。でも、今度観てみることにしましょう、、、(ジョーは背高のっぽの筈ではなかった?)

「第3若草物語」のジョー先生を、また読みたくなってしまいました。。私はいつまでたってもジョー先生のようにはなれません、、、まだまだ、、、。まだまだ、、、どころか永遠になれそうもない。でも大好きなジョーが、子供時代、屋根裏部屋へ林檎と本を持って立てこもって、泣きながら夢中で本を読んでいたところ、、、そういう気持ちは何処かに忘れないでいたいと思ってる、、いつでも。

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梅雨の季節になりました。。睡蓮の池に降る雨など、、思い浮かべてみたりしています、、ヴィアンを思い出しながら(大丈夫、、まだ蓮の花は浮んで来ていません)。
、、、さて、そろそろまた勉強モードに入ります。

ウィンスロウぼっちゃま♪

2002-10-05 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
 いつも行く図書館・・金色の香があふれています。夕映えの雲のような、朝焼けの湖のような、そんなせつない香りがしばらく街をつつみます。

 毎晩、一杯のミルクにキンモクセイの花をひと枝添えて、、それを飲まないと眠れない甘ったれぼっちゃんが出てくる古~~い漫画があるんです。「この娘に愛のおめぐみを」・・私が尊敬して止まない「おおやちき」さんの'74年の作品です。

 ・・う~む、どうもまた歯車病にとりつかれてしまったみたいで、いけません。でも心配ご無用です。最近ね、とてもいいお薬ができたんですよ(とてつもなく高いのが、べつの意味で頭痛の種・笑)。芥川龍之介さんにも教えてあげたいナ。。というわけで、お薬飲んで寝ます。なつかしい漫画、すこしだけ読んで。。