星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

殺人ちゆうりつぷ

2001-12-19 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)
 言葉は氾濫しつつ、失われていく。
 街はクリスマス。デパートやら、スーパーマーケットやらで繰り返し聞かされるジョージ・マイケルやマライア・キャリーにすでに頭は麻痺しかかっているところへ今年はもうひとつ耳を塞ぐものが増えた。山下達郎さんのだけれど山下さんではないあの歌。ぼそぼそごにょごにょと呟かれるあの歌。なんかあれを聞きながらスーパーで野菜を選んでいたりするとおかしな気分になってくる。いえ、あの1曲を責めているわけではなく曲を垂れ流す状況のこと。日本人は聴覚を刺激されつづけることとイマジネーションとを遮断するような術を身につけて、それで辛うじて日常を保っているみたいだ。駅のアナウンスから、エスカレーターのアテンションから、コロッケの歌から魚の歌まで(共通項は「フラットな反復」)いちいち受け入れていたら気が狂うから。私はスティーヴン・タイラーがJust Push Playで歌うパトワも、吉井さんが歌うStone Butterflyもかっこいいと思うんだけどね、決して一緒じゃないと思うんだけどね、それって贔屓耳?

 いじわるを書いてないで、美しい言葉をあげましょう。
 
   かみげはりがね
   ぷらちなのてをあはせ
   ぷらちなのてをばはなれつ
   うちけぶるまきたばこ。
 
     (山村暮鳥『聖三陵玻瑠』より「大宣辞」)

 いきなり暮鳥の詩にとらえられていて。。この人はあの(いちめんのなのはな・・)のリフレインで知られる人。リフレインがいかに人を惑わし、この『聖三陵玻瑠』という詩集がいかに酷評されたかは、また考えてみたいと思います。(今日の題も暮鳥の言葉です。) 

鳥のさえずりから、恋の病いへ。

2001-12-16 | 映画にまつわるあれこれ
 冬になると何故だか部屋に黄色い花を飾りたくなります。クリスマスだから、といって別にライトアップなどするわけでもないけど、黄色は待ち人の色ですよね、幸せの黄色いリボン、幸せの黄色いハンカチ。。。

 先週買ったPULPが気に入って、おととい95年のものも見つけたので聴きました。好きな音ですけど昔から音楽は同時代的に聴きたいほうなのでやっぱり今の方が好きかな。

 この中の「the birds in your garden」という曲を聴いていたら好きだった映画を思い出しました。(午前6時、鳥たちが歌ってる・・・君は眠ってる、僕は君の庭へ出る、太陽は輝き、空気は冷たく、僕はそこで聴くんだ、君の庭で鳥たちがこの歌を歌い出すのを・・)っていう感じの歌詞です。

 映画の始まりはボルドーへ向かう列車の中、4人掛けの座席に見知らぬおばさんなどと一緒にナスターシャ・キンスキーとジャン・ユーグ・アングラードが乗り合わせていて、別にただそれだけで言葉を交わすこともなく、ただ何となくお互いの事が目に留まり、でも駅でふたりは別々の方向へ去って行きます。彼女の方はとあることから病院の教授の愛人となり、彼は偶然、教授の下で働く青年医師でした。・・物語はいいとして、ふたりは逃亡して仏の片田舎でひっそりと村の診療医として暮らすのですが、その家に、、、私は棲みたいな。。。ある休日の午後、ふたりは庭に並んで座り、鳥のさえずる梢を見上げ、木漏れ日に目を細めます。彼女は医師の眼鏡をはずして自分で掛け、「あなたの眼で見たいの」と言うのです。

 このシーンを思い出したのです。単純に、森よ、小鳥よ、と歌っているわけではない所に、紆余曲折を経てようやく平穏に辿り着いたこのワンシーンと勝手に共通するものを感じて・・映画は余り幸福には終らないですけど、いえ、彼女なりに幸福をずっとずっと求めつづけたのですね。淋しそうなナスターシャ・キンスキーの笑い顔が忘れられません。
原題は、MALADIE D'AMOURでした。

someday...

2001-12-14 | …まつわる日もいろいろ
 私は誰かのことを考えている時、その人が同時にメールをくれたりすることがよくあります、と前にも書いたりしましたが、前回の妙に懐かしい時代の書き込みをしていた間に、そのMoonlight surfer(↓の日記の)を聴いていた貴重なお兄様からメールが来ていました。このHPのことは知らないのに、メールだって初めてだったし・・。

すごく心配していたんだよ。いつかお見舞いに行った時、兄さんはももの顔を見るや否や「おい、これいいベースだと思わないか?」と雑誌を開いたんだよね。で、今度のメールには、ジョージの事と、while my guitar.....が弾きたいって書いてあったよね。ももは、涙があふれたよ。
ももは何にも変わって無いな、と言ってくれたけど、ホントに何にも変わって無いです。音楽畑から文学畑に専門が移って、今頃になって大学生になったり、試験に追い立てられたりしてるけど、人は心の底から愛した物はそう簡単に手離せないです。兄さん達から貰った愛は、男だとか女だとか、誰かのものだとかまるで関係なく、一生ももの物です。春になったら飲みに行きましょう。だからきっときっと元気でいて下さい。
 

夜の海が好きだった貴方のために~♪

2001-12-11 | MUSICにまつわるあれこれ
とあるお友達と過去の音楽歴を話題にしてたら、思わぬ共通点を見つけて、忘れていた音楽たちが一気によみがえってきました。周りはヴァン・ヘイレンやらランディ・ローズやらゲイリー・ムーアやらをコピーするバンド野郎だったけど、私が独り淋しく聴いていたものの中には結構女性Voが多かったかも。Everything but the girl や、Alison Moyet、Fairground attraction のエディ・リーダーや、もちろん昔からのニコやマリアンヌ・フェイスフルも。仏ではフランソワーズ・アルディやクレモンティーヌもいましたね。

でもでも一番好きだったのは日本の石川セリさん。
 
いつからセリさんを知っていたのか記憶がないのに、はたちの時、就職して先輩たちに連れられてカラオケのある飲み屋へ行った時、(ここでちょいと説明。この職場は楽器業界だったので男の人たちやたらと歌巧い!)マイクを持たされてドキドキで初めて歌ったのは、セリさんの「Moonlight surfer」でした。これはパンタさんの作った歌ですね。映画「8月の濡れた砂」の主題歌?とか? そこまでは私は知りませんでしたがこれがお兄様方にめちゃめちゃ受けて、以来、ワタクシと言えばMoonlight surferと決まってしまいました。・・でももう歌わないよ(笑)
なんて思い出していたら急にセリさんの「ときどき私は・・」というアルバムが聴きたくなり、カセットを探しても、無い、無い、どこにいったの? あそこには大好きな「遠い海の記憶」や「sexy」なんかが入っていたのに。。。まさか、誰かのカーオーディオに置き忘れたまま?? (笑)なんてことはないと思いますが、ああん、どうしても聴きたくなったので試験終ったら絶対買いに行こう(あと1週間!)