星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

四半世紀前のおともだち。

2003-01-28 | …まつわる日もいろいろ
 去年、母が「お前これを覚えてる?」と言ってエアメールの束を出して来た。物置から見つけたと言う、1976~78年ごろまでペンパルだったCherry(愛称)の手紙。

 ところで、試験明けの今日は、サム・シェパードの『ローリング・サンダー航海日誌』を一気に読みながら、先頃発売されたディランの『ローリング・サンダー・レヴュー・ツアー』を聴いていた。(私に沢山の事おしえてくれた人、資料を送ってくれた友だちに感謝!)・・これは75~76年のツアー。そしてディランが来日したのが78年だったのかな? サムの本を読みながら今度のCDを聴いているとあのツアーの様子が眼前に浮かんでくるよう。見たはずもないアレン・ギンズバーグやジョーン・バエズや、Tボーン・バーネットなどと一緒にブロンドの英国人ミック・ロンソンが歩いている写真が不思議でしょうがない。けれどもサムの詩的な形容と、ウィットに富んだ人物描写のおかげで、ありありと現実味をもって2年にわたる全米各地への旅が想像できるのがとてもとても嬉しい。本の中に盛んにマサチューセッツ州の地名が出てくるので、不意に、そこに住んでいた少女からの手紙を思い出して、中を開けてみる。

 「あなたの国の成績評価はどういうシステムなのですか? 私はオールAをとりました」と書いているCherry。そしてサムの本を読み進めて行くと、ディランとギンズバーグが、ジャック・ケルアックの出身地のロウエルで、ケルアックの墓の前にひざまずいて歌を歌い、詩を朗読する。。ん? ロウエル? Cherryの手紙を見るとまさにそのLowellに彼女は住んでいたのでした。詩人ギンズバーグが瞑想する横をCherryが学校から帰ってくるような、そんな想像さえしてみたり。

 「サタデーナイトフィーバーを先週見ました。この映画は大好き。でも、中で使われている汚い言葉は嫌いです。あなたの好きなシンガーは誰?」・・私はこの手紙に何て返事を書いたのだろう。。PUNKが好き、中でもパティ・スミスとか・・書けなかっただろうなあ。

 サム・シェパードとパティ・スミスはNYで70年代の初め頃、一緒に暮らし、一緒に戯曲を書いて舞台をやっていたそう。サムの当時の妻をパティは追いやってしまったとか。76年にはPUNKのヒロインになっていたパティが、ディランのツアーに訪れた事を、サムは1行だけあっさり書いている。

 「あなたの家にはプールはありますか?」Cherryからの手紙には、こんな日米間のギャップをまざまざと感じさせてくれる言葉がたくさん綴られていて、70年代の田舎の少女は、だんだんとお手紙を書き続けるのがつらくなっていったのでした(笑)。「マサチューセッツにはハーヴァード、イェール、ボストン大ほか、たくさんの大学があります。私もそのうちのどこかへ行くつもりです」と将来を語るCherryは、本当にその中のどれかへ進学したのかもしれません。送ってくれた写真は、オリビア・ニュートンジョンをおちびちゃんにしたような、とても可愛らしく利発そうな女の子だったのだもの。今はきっと素敵なお母さんでしょう。

1947年

2003-01-16 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
 試験が近づくにつれて強烈に本が読みたくなる。しかも学科と全く関係ない本。。この病気はなんとかしないとね。

ゆうべ読んだ『On The Road』中、大西部をめざしてヒッチハイクを始めた25歳のケルアックが「1947年のその頃は、ビーバップがアメリカ中に大流行していた」と書いているのを見て、その同じ時、22歳のヴィアンはパリでそのビーバップに踊り狂っていたんだと思うと地球のあっちとこっちが一遍に見えてドキドキしてしまった。ケルアック=サル・パラダイスに滅茶苦茶なディーン・モリアーティがいた様に、ヴィアンには片目の少佐がいて・・十九歳の知識で読んだ時には見えなかった風景が見えたりするから面白い。

 郵便を出しに行く途中でちらっと覗いたBOOK OFFで、ポーとアーウィン・ショーとイアン・マキューアンを100円で買う。パリに25年住んだショーのスケッチ。仕事前、カフェで15分だけ読んだ。ショーは窓越しに通りを歩く人々から人生と時代を切り取ってくるのがとても上手な作家だ。ショーも50年代のパリに暮らした。サンジェルマン=デ=プレ界隈にはこの上なく薄汚れたカフェがあり・・・と書くショーは決してその薄汚れた内側へは立ち寄らない。あくまで切り取ってくるだけ。その鮮やかな切り取り方と、時代をとらえる敏感さが好きだったけれど、「この上なく薄汚れた」服を着て、車の荷台に飛び乗ってとんでもないことをやらかして廻るビートニクから眼を転じたら、どこかはぐらかされたような気になった。

 でもでもテキストを読まなくちゃ。。

エレガントなダリ。ワイルドなクールベ。

2003-01-13 | アートにまつわるあれこれ
 ダリの絵は全てが「告白」みたいに思えます。ダリは本当のことは何ひとつ語らなかったかもしれないけれど、嘘はひとつも描かなかった、というような気がするのです。だから彼の絵が内在するものを信じられると思うんですよね。どんなにエロティックなもの、ショッキングなものを描いても、エレガントであることに魅了されます。私は女性だから、ダリにとってのガラ、という存在にも惹かれますが。

 ***

 絵の話で思い出しました。暮れに出かけたギュスターブ・クールベ展のこと、そのままになっていましたね。クールベは日本ではそんなに語られることは多くないでしょう。国立西洋美術館に「波」の絵、山梨県立美術館に「鹿」の絵、などがあります。非常に男性的な画風で、今回のテーマも「狩人としての画家」ですものね。リアリスト、クールベは理想化された女性像を描かなかったためにナポレオン3世は彼の絵を鞭で打ったとか。それでもひるまない自信家、革命家。

「醜い」と酷評される女性を描きつつ(でも醜くないと思うんだけど)、なんと自画像は極めてナルシスティックな表情を描くのです(笑)たしかに若き日のクールベはハンサムでしたが。。そんなところにも自信家で、ハンターの眼を持つ姿勢があらわれていますね。今回の会場にクールベのすごい言葉が提示されていました。「ひとりの女はすべての男のためにあり、すべての女はひとりの男のためにある」でしたっけ? これには一緒に行った女性友達と苦笑。どこかのフェミニズム議員さんなどがお読みになったら大変な剣幕で非難されることでしょう。

 でも、レマン湖のほとりにあるシヨン城を描いたものは、本当に美しいものでした。今年は関西方面へも巡回のようです。

詩と小説と音楽と。

2003-01-09 | …まつわる日もいろいろ
昨夜ザ・バンドの中のリーディングの事に触れたばかりだけど、ピンと来た時の私は速いのです(笑)。

ちょうど今日代休だったのでショッピングに出かけたら、ジャック・ケルアックトリビュートが目に入って、日本語盤は高いけど英詩を聴き取れる能力は無いし、自分へのお年玉と思って買いました。スティーヴン・タイラー、パティ・スミス、モーフィーン、ジョニー・デップ、なんとジェフ・バックリーにジョー・ストラマーまで参加しています。ケルアックの『路上』と言えば、19歳の頃に読んだ青春の書って感じでビート族は卒業したような気がしていたけど、去年パティのリーディングにぶつかってから鎖がどんどん繋がってしまいました。

 もう一枚、これは詩とは関係ないけど「Paul Gilbert & Jimi Kidd」を買いました。これ、昨年出た時買いそびれて、私、Mr.Bigはそんなに知らないものだからずっとロックの棚見て「無いな~」って思っていたらHevy Metalなのね、Paulは。。叔父さんのJimiはブルースの人なので、甥っ子との楽しいブルースロックが良いです♪ Paulの新作「Burning Organ」も笑っちゃう位、全曲面白いけどね。

 (日付変わってしまいましたね、昨日)電車の中から青空を見上げて心の中で「ねぇ、今日はものすごくいいお天気だよ」と思わず語りかけてしまうような、そんな日でした。ジャケット(上着)も買っちゃったし。。。もうベランダの黄色いクロッカスが芽を出しましたよ。