星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

最良の芸術だけが…

2024-06-27 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)
『生き延びるために芸術は必要か』森村泰昌・著

先週、 この本のことを少し書き(>>)、 別のもうひとつの本を読んでから続きを書くと記しました。 パンデミックについての本のことだったのですが、 自分が考えていた内容とは余り関係しなかったので、 森村さんの本のことだけ続きを書きます。

森村さんの本を読み終えて 今、、 この3年余り コロナ禍のあいだに考え続けていたもやもやの事は、 そろそろお終いにしてもいいかな… と思い始めています。

この本の目次は前回のほうにリンクを載せました。 森村さんのこの本のもとになっている 大学での講義、 その最も古いものが 第五話「コロナと芸術」2020年7月の大学のオンライン講義です。 そして、そのほかの章も コロナ期間中の講義だったり、 書きおろしだったり、 それらがまとめられ、 「あとがき」が書かれたのが今年2024年1月となっています。

おそらく、 森村さんもこのコロナ禍のあいだずっと もやもやされていたのでしょう。 パンデミックと芸術のあり方、 芸術の必要性、 芸術とはそもそも、、 この3年余りのお考えがこの本にまとめられたと思っても良いのでしょう。

読みながら 森村さんはとても正直な方だと思いました。 そして優しい方だな、と。 決して決めつけようとはしない、 芸術家としてのご自分のスタンスというもの(それらは文章のそこかしこにきちんと提示されつつ)、 その考えを押し付けようとはしない。 

特に私が興味深く感じたところは、 コロナ禍でいろんなイベントや展覧会が中止に追い込まれた時に、 芸術と鑑賞者(お客さま) について考える部分。。 森村さんがどうお考えになったかを此処で書くのはよしますが、 「お客様」についての部分はある意味 眼から鱗でした。

私も、 2020年の法隆寺展が中止になった時、 百済観音様は誰もいない国立博物館に会期中ずっと立っておられるのかしら…などと考えましたが、、 訪れる人がどれだけいようと誰ひとりいなくとも、 百済観音さまの価値が変わるわけもなく・・・

 ***

この数年の、 私のもやもやの一部には 「不要不急」とされたものの存在価値と、 経済的価値とが、 並列で語られてきたことがあります。 コロナ禍で中止にされたイベントや展覧会やコンサートや映画館や、、 それらを止めてしまったことで 「文化が失われる」とまで叫んでいた声もありました。 「コロナによって失われた」「コロナの犠牲になった」等の声・・・ 犠牲になったのは 文化か、 経済か、、

もちろん経済的な損失の重さはわれわれ鑑賞者(お客)の立場でも理解はできます。 けれどもそれによって芸術(文化)が損なわれてしまうのか否かの責任も 鑑賞者が共に負うべきなのか、 そもそもコロナ禍でその存在が、その価値が、失われる芸術(文化)とは? 

 ***

単なる一般人の私でも なかなか出口の見えないこの3年余りの生活の間、 世の中の経済、 医療、 「不要不急」と見なされたもの、 必要不可欠なもの、 家族の健康と仕事、、 それらのあいだで精一杯考えたり心を痛めたりしてました。

芸術に携わる当事者の森村さんが やはりこのコロナ禍の間、 どんなことを思って迷っておられたのか、、 それが読めたことが何より良かったと思っています。 結論が出たわけではないし、 何が正しい、正しくない、そう森村さんは言っておられるのではない、、 それでも。。

 ***

昨日、、 思わぬところから 私に(私にとっての)答えにつながる言葉がみつかりました。 まったく別の意図で読んでいた本、、 カナダの移民について思い出して読み返していた本 マイケル・オンダーチェの『ライオンの皮をまとって』の中から


  最良の芸術だけが、 出来事の混沌とした乱雑さをまとめることができる。 最良のものだけが混沌を並べかえて、混沌とそれが持つだろう秩序の両方を示すことができるのだ。

 これは、小説中の登場人物のことばでもなく、 登場人物が考えたことでもなく、おそらくオンダーチェ自身の思いのあらわれている部分(訳者あとがきにあるが、このゴシック体の文は詩人アン・ウィルキンスンのノートからの引用らしい)で、 オンダーチェはつづく文章のなかでこう付け加えている、、 まるで自身が小説を書く意味を述べているかのように・・・

  (略)どんな小説も、最初の文はこうなるべきなのだ。「私を信じなさい。この本は時間がかかるが、ここには秩序がある。とてもぼんやりとだが、とても人間的な秩序が」 (略)


ここでいう「秩序」とは、道徳的な意味でも、社会規範的な意味でもないと私は思っています。 森村さんの本のタイトル「生き延びるために芸術は必要か」と問われた時に、私は「必要」と答えるしかない、、 なぜ? 必要だから。。 なぜ必要になるの? なぜ欲するの?

そう自問した時に このオンダーチェさんの言葉が響いたのです。 そう、 混沌のままでは苦しくて堪らないから。。 この世界の、人間の、自分の、、カオスに 一条の道すじを見つけたいから。。 

「最良の芸術だけが・・・混沌とそれが持つだろう秩序の両方を示すことができる」から。


オンダーチェさんの(アン・ウィルキンスンの)言う 「最良の芸術」、、 ただの「芸術」じゃない、、 なにが「最良」の証しなのか、、 どうやったら見極められるのか、、


、、よくわからない。。 でも、 ふたたびパンデミックがきて、 「不要不急」と叫ばれた時、、


自分をささえてくれるものは きっとそれなんだと思う。。

ちいさな miracle

2024-06-20 | MUSICにまつわるあれこれ
またまた ちいさな驚きと共にうれしいお知らせがありました。

音楽ニュースを見ていたらこんな記事が
 ローリー・アンダーソン 6年ぶりの新アルバム『Amelia』発売(https://amass.jp/175964/

、、アメリア?? って・・・ と 続きを読んでいったら、 やっぱり女性飛行家のアメリア・イアハートのことでした。 アメリアの飛行日記などからインスパイアされたアルバムだという…

今月のはじめにアメリア・イヤハートが遺した手記『ラスト・フライト』のこと書いたばかりです(>>) うれしい偶然。 ちいさなミラクル。
しかも ルー・リードさんの奥さま ローリー・アンダーソンの作品だというのがなんだか嬉しい。。

昨年あたりから 自分でもよく理由はわからないけれど、女性の作家への関心が続いています。 イーディス・ウォートンやエルザ・トリオレ、、 百年も昔の、 女性が家庭の守り手か男性のお飾りの役割しか求められていなかった時代に、 「女性」という肩書が不必要なくらい 力のある作品を生み出していた作家たち…

前に書いたように エルザ・トリオレの小説『ルナ・パーク』から 女性飛行士のアメリア・イヤハートにたどり着いたのでしたが、、 
小説『ルナ・パーク』の内容にちょっと踏み込んで語れば、、 失踪した女性ブランシュの館に残された彼女あてのラブレターでこの小説の大部分はできているのですが、 男たちからのラブレターの内容と言えば、 貴女に首ったけであること、 貴女に恋して自分はこんな風にダメになっていること、 貴女がべつの男と話していたのを見て嫉妬に苦しんでいること、、 うんぬん・・・

男たちの手紙からは ブランシュがパイロットで宇宙飛行士をも目指していることはわかっても、 彼女の心のなかのことはなにひとつ見えてこない。 ブランシュ、という名前は blanc 空白の意味も込められているのかな、と思うけれど エルザ・トリオレは男たちの眼からは何も見えていないブランシュ像というのを書きたかったんじゃないかと想像する。。 それは最後に明かされるけれど、 彼女は現実世界の争いや苦しみを看過できず旅立っていた…  男たちの想う恋やロマンスの世界とは全く違う世界へ、、

アメリア・イヤハートの『ラスト・フライト』の中にも、 決して強い言葉ではないけれども、 この世界で男性がやっていることを女性も当たり前のように同じに出来るということ、 その実現のために自分は飛ぶのだと、 そういう言葉が繰り返し書かれていた。。 その姿勢は、 たたかう、とか 抵抗する、とかではなくて、 本当に当たり前のように自然に、、 あのアメリアのキュートな笑顔のままで…

話がそれてしまったけれど、、
ローリー・アンダーソンさんが そんなアメリアの遺した言葉たちを どんな風に音楽にして 作品にしているのか、、 アルバムが出たら私も楽しみに味わってみたいです。 この不思議な偶然を 私への空からの贈り物として・・・

 ***

ところで、、

ローリー・アンダーソンさんの最近の活動をちょっと知ろうと検索したら、 こんな記事がガーディアンに…
Interview Laurie Anderson on making an AI chatbot of Lou Reed(.theguardian.com)

いやだ、、 ルー・リードさんのAIチャットボットに夢中になっているのですって。。 記事を読むと、 なんだか お題をあげると そのAIチャットボットがルー・リード風の詩を作ってくれるんだとか・・・ 読んでみましたけど、 まぁ雰囲気はあるというか…

でも、 生身のルー・リードさんだったら、 (くだらないことをさせるんじゃない)とか (今日はそんな気分じゃない)とか、、 簡単には答えてくれないような気がします。。 AIは文句言わないものね…

それに、、

人工知能さんには ふしぎなちいさなミラクルに胸ときめかせたり、 誰かのことを想っていたら偶然にうれしい知らせが届いたり、、 そんな歓びは感じられないハズ… と思いたい…



きっと遠くで誰かさんがくしゃみしている… 笑



空はつながっているから ね。

現在地から歩んで…

2024-06-18 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)

『生き延びるために芸術は必要か』森村泰昌・著 光文社新書 2024年4月


この本のことは たぶん新聞の出版社広告のなかで見たのだと思います。
森村泰昌さんはTVなどでお話になっているところはよく拝見していましたが、 そういえば文章を読んだ事がなかった、と気づきました。 

21年11月の日記に「現在地」ということを書きました(>>) そのときに森村泰昌さんと横尾忠則さんのその当時の(コロナ禍での)お仕事をTVで見たと書きましたが、、 そのことも想い出しました。 だから、 森村さんのこの本のタイトルを見た時に、 なにかその頃のこと(自分もふくめて)と通じるものを感じたのです。

本が先週末に届いて、 (タイトル以外なにも知らないまま)目次を開いて見て、 びっくり、というか思わず笑ってしまいました。。 目次が載っているサイトにリンクしておきます(紀伊国屋書店>>

「コロナと芸術」、、コロナと不要不急といわれたエンタメ、芸術、音楽、展覧会のこと、、 そういった、当時(上記の日記のころ)の私のもやもや(苦悩と言ってもいいかもしれない)とも通じますし…

さっき、笑ってしまった、と書いたのは、 夏目漱石、青木繁、坂本繫二郎 についての章があったからです。 森村さんが漱石について語っておられる、、 そして青木繫と坂本繫二郎というのは、 コロナ禍で森村さんの「M式「海の幸」展を観に行くことができなかった私が、 22年にやっと外出して観に行った美術展が「ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎」展だったのでした(そのときの日記>>

あのころ、 そしてコロナ禍から脱した今にいたるまで、 ずっと考えてきたこと、 考え続けていること、と 森村さんがこの本のなかで語っておられることがどう結びつくのか、、 目次を見ただけでなんだか不思議なくらい (まるで私に用意されてたみたいな)そんな気持ちになりました。


本は ほぼ読み終わっています。 が、 もうひとつ一緒に読もうとしている本があるので、 この先はまたいずれ書くことにします。


お天気が急変したり 気温も湿度も激変で、 ちょっと頭痛に悩まされています




お元気でいてくださいね

水の中の環

2024-06-14 | …まつわる日もいろいろ
フランソワーズ・アルディさんの訃報を今朝知りました。

6年前に買ったアルバム、 あれが最後のアルバムになったのでしょうか…(そのときの日記>>) 
あのアルバムを買ったきっかけの曲 「You're My Home」、、 英語の歌詞だから 私にも聴いていて意味がわかることが出来たというのと、 私も当時 身体の不調や 加齢や よくわからない症状?のなかで 毎日すべきことをなんとかこなそうと頑張る自分と この歌の歌詞を重ね合わせていたのでしょう… 

フランソワーズ・アルディさん 年齢でいえば まだそんなにご高齢ではなかったけれども、 数年来ずっとご病気に苦しんでいるという報道を知っていて、 仏語の報道だったけれど 苦痛のために尊厳死を求めているという程の記事も読んでいたので、 フランスでも緩和ケアの医療は進んでいるだろうに、 どうにかもっと苦痛のない生活を送ることができないものかと、 海の彼方のこととはいえ ずっと気懸りでした。


フィガロジャポンのサイトに 訃報とともに フランソワーズ・アルディさんの60~70年代の写真がたくさん掲載されていました (写真で見る永遠のファッションアイコン、フランソワーズ・アルディ。>>

60年代のアルディさんを同時代で見ていた筈はないけれども、 70年代の姿はたぶん雑誌や何かで目にしていたんだと思います(フレンチポップも大好きな子供だったし)

ジェーン・バーキンやマリアンヌ・フェイスフルや、 ファッションアイコンとなった当時の女性シンガー&モデルさんの中で、 フランソワーズ・アルディはどこか真面目な女学生風というか、 タートルネックのセーターにひざ丈のスカートとか、 飾りのないワンピースとか、、 それで前髪をちょっと斜め分けにして唇を結んで…

今それらの写真を見ると、 驚くほど自分たちの小学生時代のお洋服が影響を受けている事にも気づきます。 そして髪を斜め分けにした真面目そうなアルディさんが、 自分の親友の とても賢く美しかったお姉さまにとても似ていると 先程びっくりしたところです(親友の話は4月に書きましたね…)


Françoise Hardy - You’re My Home (Studio Session)



お年を召してからのアルディさんも とても美しい方でした。 このMVで歌われているように、 私もまだ これからも 毎日闘っていくつもり…。 ね、 私がんばってるでしょう…? そう貴方に示すために…


今日のタイトルは 67年のアルバム『もう森へなんか行かない』のなかの 好きな曲 「Des ronds dans l'eau」の日本語タイトル。 川面に石を投げて水切りをする遊びのこと。 その川面にできるたくさんの水の環 のことらしい。。 


おとなになって、



頑張り過ぎてしまう誰かさんへの


そんな歌なのかもしれない…

Re set

2024-06-12 | …まつわる日もいろいろ
・・・ すこし落ち着こう… 笑


春以降、 コンサートに出かけたり、 古い知り合いに思いがけないことが起こったり、、 それは良いこともそうでないことも あったのだけれど、、

自分の日常とは異なった時間のながれで いろいろ考えたり連絡したり決めることがあったり、 動かなくてはならなかったり、、 それに伴って こころのUP&DOWNが激しくなって、、

、、 こんな私とは比べ物にならないくらい さまざまな事を同時にかかえて 忙しさで一杯で、、 それでしっかりと自分を見失わずに クリエイティブでいられる方の事をほんとうに尊敬します。。 どこか 自分は この世界、、 この惑星 での時間には一緒についていけないクリーチャーなのじゃないか と… 

 ***

アメリア・イヤハートの本も すこし作用を大きくしてしまったのかも…

、、あったかもしれない人生、 などという考えは無意味だとわかってはいても、 アメリア自身の言葉が 夢と願いを生き生きと謳えば謳うほど こころは揺さぶられて、、 そのあと不意に その心の行き場がないことに気づく…

やっぱり私には 物語の世界のほうが合っているのかも。。  ・・・そう考えたところでまた戸惑う、、 どうして近頃の小説は 現実世界でいやというほど見せつけられているテーマばかり追うのだろう… どうして自分や自分のまわりに起こりそうな問題や事件を読みたがるのだろう…


ひとは 自分が知っていることしか知りたくないのだ


そんなことを言った作家さんが たしか いた。 

 ***

80代の先輩から 半年前の私の手紙に対するお返事がとどきました。。 とおいとおい惑星との会話のように。。

お手紙を書く、、 という行為は こころが純粋になった瞬間でないと書けないものです。 だから時間のかかるものです。 わたしが純粋におちついていた気持ちで書いた手紙に、 純粋なお心のお返事が返ってきたなら、 半年でも 一年でも こころの隔たりはありません。 


私の乱れていた体内時計もリセットされました。


つぎに読みたい本も決めました 何冊か。。 森と、 滝と、 夜のあいだに降りた霜のかがやきと、 薄い透明な大気の…


そんな世界。




心配ごとは 雪融け水とともに 地に浸みたの・・・?


my life my world...

2024-06-06 | MUSICにまつわるあれこれ
6月6日、、 雨ザーザー… の絵描き歌とちがって、 今年は梅雨入りが少し遅いようです。 猫なみに湿気に弱いワタシにはありがたい6月の始まり…

月初めに左サイドバーの音楽を替えてありますが(PC用) 何もまだ書いてなかったので・・・ 今月は THE YELLOW MONKEY のアルバム「Sparkle X」が発売になって、 新しいMVの「罠」も公開されたので それにちなんで (…ぜんぜんちなんでないですが・笑)

Ramones - I Wanna Live (Official Music Video)
 最初は 大好きな曲「I Wanna Be Your Boyfriend」にしようかと思ったんですが、 いまの気持ちにはこちらの方が合ってるかな… と思って。。

Extreme - "Hurricane" (Official Video)
 ひさしぶりにヌーノのヴォーカルが聴けてめちゃ嬉しかったので、同世代イイ男代表として…。 本音はゲイリーよりヌーノの歌声のほうが好きかも。 艶といい 低音部の響きといい…

Paul Weller - Nothing (Official Video)
 先輩世代イイ男代表。。 今回のアルバム「66」 兄貴のこれまでのサウンド、ロックンロールもモータウン系もジャズ系も、 みんな素敵にまじわってる。 そしてこの兄貴のしぶいお顔! イイ男はほっぺの皺まで美しい。 あのね、頬っぺにほうれい線の他にYの字みたいな皺というか溝がくっきり出来てるのが好き。 猿兄さん達もあと十年後にはY字皺のあるイイ男になってる気がします♡

Duff McKagan - Tenderness - Live at Easy Street Records
 もう一人同世代イイ男から。 ダフ・マッケイガンは歌は正直そんなに上手くはないけれど、 この人の音楽を愛する姿勢というか、 音楽への携わり方がなんか好きです。 そしてこの歌はほんと良い。 このライブのバンドにもやられました。

Mk.gee - Candy (Live)
 脈絡なく、、 クラプトンさんに教えていただいた新しいギタリスト君(https://amass.jp/175407/) 、、いくつか見てみましたが フェンダージャガーとかで指弾きでエフェクター効かせて、面白いとは思うけど、、 う~ん、、まだ様子見。。

Arctic Monkeys - I Wanna Be Yours - Session
 ワナつながり。 アコギを普通にストロークしてるだけでも アレックス・ターナーの歌声はクール&艶めかしいね。
 
Daryl Hall and Cheap Trick - I Want You To Want Me
 ワナつながり×2。 すべてが好きです ロビンの声も リックのソロも トムのバリバリのベースも 歌そのものも歌詞もぜんぶ。

THE YELLOW MONKEY - 罠(Official Music Video)
 前々回にも少し触れたけど、(この歌の歌詞にもちょっと関係あるけど) 、、コロナ禍のこの丸4年という時間は、 ただ何かが出来ない、 出来るようになるのを待っている、 という空白の時間だったというよりも、 その空白のあいだに確実に自分を取り巻く環境が変わってしまった、という影響の大きさを(これはあくまで自分の問題として…)今感じています。 
高校生、大学生だったとしたら、 卒業して次の環境になっていて友達も変わっている。 もっと上の世代だとして、 親世代、働き世代ともに 4年という時間は加速度的に人を変える。 それは誰かに強制された牢獄みたいな時間だったというより、 ちょっと出掛けなければならなくて留守して来たら、いろいろ変わってしまっていた浦島的な空白というか、、. だから世間でよく(コロナ中の)リベンジ、と言うけれど 自分ではリベンジというのは有り得ないと思ってて。。 新しい段階、 変わってしまった世界、 自分よりも益々荷重の増すひと、 そのなかで なにができるか どう向き合うか 自分はどう生きてくか・・・

全然モンキーと関係ない事書いてる気がしますが、、 だから… 何だろ、、 (こんなにエネルギーに溢れて、力のあるアルバムが届けられたというのに)…自分も戻って来た、 元どおり、、という感覚よりも、 ここから先の自分とTYMとの(TYMだけでなく自分の好きな音楽すべてへの)向き合い方、、 という風に「Sparkle X」を聴きながら感じる 嬉しさと 厳しさと (また会えたね、と思うままに喜び合えない)少し苦しさも… 

きょうはアニーさんのお誕生日です。 おめでとうございます☆
「Sparkle X」 ほんと聴くたびに感動するのは、 4人それぞれの楽器+キーボードやハンドクラップ、、 すべての楽器の音色が曲によってぜんぶ違って それがじつにみごとに考えられていること。 だから聴いていて嬉しくてたまらない…
アニーの音色で言えば、 ボスボスっとした柔い、アーシーな音色とか、、 珍しい気がしたけれど、 でもすごく効果的。
アニーのドラムでとても好きなのは ホテルニュートリノ。 キーボードの手数も凄いんだけど、 アニーの七変化するドラムも凄い。。 てってれってーー♪ってなるのも あぁアニーだー、、って思うし。。 すべてのなかで一番好きなところは 最後の曲の後半、 ギターソロがあって ピアノがここで前へ出てきて ベースが歌い始めて、 それでアニーのドゴゴゴ…  って(もちろん吉井さんの歌も)、、 もう何回聴いても泣く・・・

【Digest】THE YELLOW MONKEY - BELIEVER.Meeting Live Session
 アルバムを聴くのに忙しくて DVDの方はあとでゆっくり… と思っていたら 動画が公開されてて、、 先に動画を見て(これ、見たい!)と狂喜しました。 特に shine on  三国さんいらしてこそのこのアコースティックバージョンの豪華さ。 エマさんのギターソロも他では聴けない…
いつか、、 今度のツアーが終わってその先で良いから TYMアンプラグドというライブ作品出して欲しいです。 テレビでも良いです。 エルヴィスのカムバックスペシャルみたいに周囲にお客さん座らせて、、 
・・・なんて、 そんなライブがあったら行きたくて(行けなかったら)死んでしまいそうだけど。。

 ***

きょうはひとりごとを長く書き過ぎました・・・



リベンジはしない…


on and on and on...



花水木の似合う女性…:アメリア・イヤハート著 『ラスト・フライト』

2024-06-04 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)

 「オーケー! 出発するわ」
  ・・・ 略
 わたしは夫に、これから大急ぎで飛行服と地図を取りにライに帰らなければならないからと話し、午後二時にジョージ・ワシントン橋の、ニューヨーク市側のたもとで落ち合うことにきめた。 ・・・略・・・

 交通巡査もなんのその、わたしはライまで二五マイルの道を全速力でぶっ飛ばして家へもどった。持っていく物をまとめるには五分間で十分だったが、その後ほんの二、三分間だけ、思わず足を止めて、わたしが日ごろ大好きな、美しい眺めをもう一度つくづくと見なおした。寝室の窓ぎわや、窓の下に、ドッグウッド(ハナミズキ)の茂みがあって、その花がいまを盛りと咲き誇り、えも言われぬ白やピンクの花群のそこここに春の日射しが輝いている。・・・



アメリア・イヤハートの手記の中でとても好きな部分を引用させていただきました。 これは〈ラスト・フライト〉となる赤道上世界一周飛行に出発する場面ではなくて、 それ以前に単独大西洋横断飛行を成功させたことを振り返っている部分ですが、、 天候が回復するという報せに即座に出発を決め、 その慌ただしいさなかに、自宅へとび帰り、自宅の一番好きな光景を眼におさめようとしている場面がとても愛おしく感じられました。 
そして、 アメリア・イヤハートという女性には、くっきりと可憐な白やピンクの花が咲くハナミズキがとても似合うとも思いました。 風にひらひらと翻って咲く様子はまるで小さなプロペラのようだし…



『ラスト・フライト』アメリア・イヤハート著 松田 銑・訳 作品社 1993年

アメリア・イアハートという女性飛行家のことを知った経緯は、 この春 エルザ・トリオレの小説『ルナ=パーク』の読書記を載せたときに触れました(>>

アメリアの伝記や、 失踪の謎について、 そういう本はいろいろ出ているようですが、 この本はアメリア自身が書いた飛行記録と アメリアが飛行士としてのこれまでを自分で振り返っている文章で構成されているので、 彼女自身の言葉を読むことが出来てとても良かったです。

遭難したあと、飛行機さえ見つからなかった彼女の飛行記録がなぜ残っているのだろう… と、 この本を知った時に不思議に思ったのですが、 それはこの本のなかにも書かれている通り、 アメリアは飛行中にも機体からアンテナ線を外に垂らして、それを地上のラジオ局や 洋上の船に電波を拾ってもらって逐一飛行の経過を知らせていたからなのでした。

そして、 給油などで地上に降りた時には、 追加の記述をまとめて追々送り返していたのでした。 だから、赤道上世界一周飛行のほぼ最終段階、 ハウランド島へ飛び立つ〈ラスト・フライト〉の前日の7月1日の記録までが載っています。 この本は、アメリアのその飛行記録を のちに夫のジョージ・パットナムがまとめて出版したものです。

さきほど書いた飛行機からアンテナを垂らして通信する様子とか、 飛行機本体のタンクに入りきらない予備の燃料を空を飛びながらどうやって給油するのかとか、、 そういう技術的な内容もとても興味深かったです。 

飛行機の事をなんにも知らない私だけど、 アメリアの手記は本当にわかりやすく、 空から見る風景のこと、 知らない場所へ着陸した時の現地のひとびとの面白い反応、 女性飛行家に向けられる当時の注目や、彼女自身が想い描いている目標、、 包み隠さず ユーモアにあふれて、 時には反発も込めて、、 じつにアメリアらしいと思える生き生きとした手記でした。 なによりその前向きな精神、 不安や怒りもユーモアに変えられるそこにこそアメリアという人の本質があるように思えました。

アメリアが眺めた自宅のハナミズキ。 花水木(dog wood)の英語の花言葉を検索すると、 厳しい気象に耐えることから、 耐久性、とか永続性という意味や、 逆境に耐えて続く愛、 という意味があるそうです。 そんなところもやっぱりアメリアに似合っている気がします。。

 ***

だけど、、 この本を読んでいて思った事・・・

アメリアの赤道上世界一周飛行への挑戦は、 計画通りにすべてが進んだのではなかったのでした。 大きな計画変更を余儀なくされていたことがいくつか・・・ 出発前の突然の機体の事故、、 それによる出発の延期、、 そのあいだにも世界の気候・気象条件は移り変わってしまう、、 そのために計画を曲げて当初の西回りコースから逆回りへと変更。。

私は飛行機や気象のことなど何もわからないけれど、 でも そういった幾つもの変更が良い方向へ作用したとは思えない。。 手記のなかでアメリアは持ち前の前向きな思考で解決策を手にしていくけれども、 すべての条件が最初の計画のままだったら・・・ と思わざるを得ない。

そして、、 ほんとに世界一周飛行がもう達成目前だったラエの地点で、 アメリアもその他のたぶんすべての関係者が、 7月4日の独立記念日にアメリアがカリフォルニアへ到着することを強く望んでいた、、 そのプレッシャーは無かったか…?

 ***

アメリアは優秀な人だと思うし、 どんな時にも どんな困難が生じても、 その時点での最善を尽くしたことは間違いないと思う。。 だけど本を読むと、 その過程にはやはり〈兆候〉というものがあったように思う。 いろいろな変更とか、 あらかじめ決定されている期限とか、 予定とか、、

、、そして これをどうとらえるかは人それぞれだし、 私の解釈に過ぎない部分もあるけれども、、 〈報せ〉というものもあったんだ…と思う。。 私は神さまがいるとか、 予知能力とか、 何も確かな事はわからないと思っているけれど、 説明できない〈不思議な報せ〉も、、 あったんだな… と思ってしまう、、 それに気づくことが出来るのは たいがいは物事が起こってしまってからなのだけれど…

、、当初の計画が すべて計画通りにすすんでいたならば… やっぱりそう思ってしまうし 計画通りに達成できたアメリアであって欲しかった…


どんな冒険でも、  どんな挑戦でも、、


なにか予期できない困難に直面した時にどう行動するか。。 前向きなチャレンジャーであるべきか、、 石橋を叩いて しかも渡らないという決断ができるものなのか、、 歴史はチャレンジした者だけを崇めるものだし…

 ***

ハナミズキは 葉が芽生える前に、先に花だけが咲く

アメリアはやはりハナミズキのようなひとかと思う…



じぶんはどんな花なんだろう…


どんな花になりたいんだろう…





もうすぐ 雨の季節ですね…