星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

人から、人へ、優しいecho...

2006-02-22 | MUSICにまつわるあれこれ
トム・ペティ&ハートブレイカーズのギタリスト
マイク・キャンベルが、
Guitaristとして人生で最高だった瞬間は、
ジョージ・ハリスン追悼コンサートでジョージのパートを弾いていた時だった、
というのを何処かで読みました。

ジョージが降りて来てるような、ジョージが弾いてるような、そんな気がした、って。

写真は大好きなアルバム『echo
4曲目、lonesome sundown の優しいギター、アルバムタイトル曲 echo の控えめな、だけど情感溢れるギターも、大好き。
TP&HBに繋がるechoは、ジョージ1人ではないけれど、ジョージを大切に受継いでる感じがする彼らです。

 ***

吉井和哉さんの名曲、my foolish heart。
この曲の2番あたりから聞こえてくるギターが、とってもとってもジョージで、、。
あの心こもった優しいソロを、どんな風に弾いて下さるのかな、、(バーニーさん、エマさんどちらが弾くのか、勝手に想像しているのだけど、、)

いろんな楽しみを心にいっぱい抱えて行きます。

愛蘭の宝石 :J.M.シング『アラン島』

2006-02-19 | 文学にまつわるあれこれ(妖精の島)
 

   来る日も来る日も霧がたれこめて一週間になる。僕は、流刑になって
  寂しさをかみしめているかのような、不思議な感覚をあじわっている。
      ・・・
   雨は降りつづいている。だが、今晩は食堂兼居間(キッチン)に若者が
  大勢集まってきて、漁網のつくろい作業がおこなわれ、密造麦焼酎(ポチ
  ーン)も一瓶、隠し場所から持ち出されてきた。・・・こいつは、霧に閉
  ざされ、忘れ去られた世界に住む住民たちを正気のまま保つために、運命
  が確保してくれた飲料であるように思われる。

                (J.M.シング『アラン島』栩木 伸明 訳

     ***

去年、読みたいと書いた『アラン島』第一部からの抜粋。
このアラン島は、グラズゴーの西にある大きなアラン島(Arran)ではなくて、アイルランドのダブリンの正反対の西の果て、ゴールウェイ湾から切り離された辺りにある小さな3つの島、ここがアラン諸島(Aran Islands)。

この本を読みながら、シングの若き日の先輩、イェイツ先生の声も入ってる「W.B.イェイツを唄う」を聴いていました。イェイツ先生からシングを教えてもらったから。。

百年前、シングが滞在した家は、今は展示館になっているのだそう。。
シングがこの島を訪れたのは、夏の間だけで、島の厳しい暮らしを本当に知った、とは言えないのだけれど、〈本土〉から来た自分たちとは違う階級の〈文士さん〉(当時27才くらい)は、なんだか島人たちから愛されたみたいです、、そんな様子が本から伝わる。

先の引用のつづき、、

    ***

   ようやく雨が上がり、太陽が輝いている。その明るい暖かさは島全体を
  宝石の輝きできらめかせ、海と空を輝かしい青い光でいっぱいにした。
   僕は岩のうえに寝ころんでやろうと思ってやってきた。ここからは北の
  大島(アランモア)の黒い断崖が正面に見え、右手にはあまりに青すぎて
  まっすぐ見ると目に痛いゴールウェイ湾が広がり、左手には大西洋が横た
  わり、くるぶしの直下には切り立った崖が落ち、見上げれば、カモメが大
  きな群れをなしておたがいに追いかけあっている。たくさんの翼が真っ白
  な巻き雲のようだ。

    ***

・・愛蘭土の西の涯て、、、
行けないかもしれないけど、、、行ってみたいなあ、、、。

John Millington Synge についてのサイト(英文)>>

僕たちの下に、、

2006-02-14 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)

                  彼女の眠りはその瞬間、
   とてもデリケートなものであったに違いない。なぜなら
   彼女は目を開け、驚いたように彼のほうを見たからである。
   「何を見てるの?」とたずねた。

    ・・・

   「星を見てるんだよ」と、いった。
   「星を見てるなんてうそつかないで。だってあんた下を見
   てるじゃない」
   「だって僕たち飛行機に乗っているんだよ。星は僕たちの下
   にあるんだ」と、トマーシュは答えた。

     ***


引用元は先日の日記で、、。

トマーシュがこんなことを言っていたなんて、昔読んだ時には
心にひっかからなかった。
真夜中、、、くたびれきった頭で不意にページを開いて、
このくだりが目に入ったら、胸がいっぱいになった。

いまの作業のあいだ、この本、傍らに置いておこうかな、、と思う。

・・聖バレンタインの日ですね、、言葉を贈ります。

sleep together

2006-02-08 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)


    しかし今回は彼女の横で寝た。朝目を覚ますと、まだ寝て
   いたテレザは彼の手をつかんでいた。こんなふうに一晩中つ
   かんでいたのだろうか? 彼にはとても信じがたかった。
    ・・・
    目を覚まさせないかと恐れながら、手をときはなさずに、
   もっとよく彼女を眺めようとそおっと寝返りを打った。
    そのときまた、テレザは誰かがピッチを塗った籠に入れて、
   流してきた子供であると思った。子供の入った籠を荒れ狂っ
   た川に流したままにしておくのは不可能である。
    ・・・
    トマーシュは当時、メタファーが危険なものであることに
   気がつかなかった。メタファーはもてあそんではいけないも
   のである。恋は一つのメタファーから生まれうるものなので
   ある。

          〈『存在の耐えられない軽さ』ミラン・クンデラ
                         千野栄一 訳)


ふとこのシーンを思い出して書棚から取りだしてみた。
この作品には、好きな描写はいくつかあるけれど、
この場面もとても好き。

映画では、トマーシュは、替わりに本か何かを掴ませてベッドを離れるのだったかな、、。