公開時、観に行けずに
パンフだけ買ってきてもらった、「GOD*DIVA」、、、
やっと見れた。
エンキ・ビラルは映画監督である前に、カルト的なコミック作家と言った方がいいのでしょうか。でも私は彼のコミックは読んだことが無いです。映画は「バンカーパレスホテル」も「ティコ・ムーン」も好き。何が素敵かって、セットの人工美と、役者さんの美しさ。ストーリーは何度みてもよく分からなかったりするのだけど、何年か過ぎて、物語も忘れかけた頃、また観たくなる。
今回は何と言っても<ジル>が綺麗! ティコ・ムーンのジュリー・デルピーは真っ赤な髪でしたが、今回は<青>。。。近未来のニューヨークも、仄青いグレーの都市。青い涙の浴槽に身体を沈めるジルと、彼女を抱き上げるニコポル、、、。
「LES FLEURS DU MAL」の詩を呟くのが好きなニコポルを演じるのは、、、こちらも大好きなトーマス・クレッチマン。。ジル=リンダ・アルディがミス・フランスで、クレッチマンが水泳のオリンピック選手なのだから、その姿が美しくないわけがない。彼らと、シャーロット・ランプリング以外の役者が、すべてCGという無機質な世界で、その生身の人間の美しさが際立つ。
「LES FLEURS DU MAL」の詩とは、、、シャルル・ボードレールの『悪の華』
この映画のストーリーが不十分とか、CGの人間が未熟とか、、技術至上主義の方ならいくらでも文句の付け所はあるでしょう、、、でも、、、近未来のNYで『悪の華』を口ずさむ世界観に共鳴できれば、、、好きになれるはず。
***
近未来都市で『悪の華』、、、という感覚は、大正期の東京でボードレールを愛した文人たちの感覚ときっと近いはずです。
そう感じたから、、、北原白秋の「東京景物詩」の中から、、、「雪ふる夜のこころもち」の冒頭部を。
***
今夜も雪が降つてゐる。
Blue devils よ。 / 酔ひ狂つた俺の神経が―― / Sara …sara…とふる雪の幽かな瞬(またたき)を聴きわけるほど―― / ひつそりと怖気づく、ほんの一時の気紛につけ込んで、 / 汝(おまへ)はやつて来る……ふるひながら例の房のついた尖帽をかぶつて、 / 掻きむしつた亜麻色の髪(け)の、泣き出しさうな青い面つきで、 / ふらふらと浮いた腰の、三尺ほどの脚(たけ)うまに乗って、 / ひょつくりこつくり西洋繰人形(あやつりにんぎよう)のやうにやつてくる。
硝子の閉つた青い街を、 / 濡れに濡れた舗石のうへを、 / ピアノが鳴る……金色のせん音の / 潤むだ夜の空気に緑を帯びて消えてゆく。
雪がふる。………/ 湿った劇薬の結晶、/ アンチピリンの、(頓服剤の、)粉末のやうに―― / それがまた青白い瓦斯に映って / 幣私的里(ヒステリー)の発作が過ぎた、そのあとの沈んだ気分の雰囲気に / 落ちついた悲哀(かなしみ)の断片がしみじみと降りしきる。 (長い詩なので以下略です)
***
エンキ・ビラルのコミック、映画の原作にもなったニコボル三部作、こちらもいつか読んでみたいな。
ニコポル三部作〈1〉不死者のカーニバル
パンフだけ買ってきてもらった、「GOD*DIVA」、、、
やっと見れた。
エンキ・ビラルは映画監督である前に、カルト的なコミック作家と言った方がいいのでしょうか。でも私は彼のコミックは読んだことが無いです。映画は「バンカーパレスホテル」も「ティコ・ムーン」も好き。何が素敵かって、セットの人工美と、役者さんの美しさ。ストーリーは何度みてもよく分からなかったりするのだけど、何年か過ぎて、物語も忘れかけた頃、また観たくなる。
今回は何と言っても<ジル>が綺麗! ティコ・ムーンのジュリー・デルピーは真っ赤な髪でしたが、今回は<青>。。。近未来のニューヨークも、仄青いグレーの都市。青い涙の浴槽に身体を沈めるジルと、彼女を抱き上げるニコポル、、、。
「LES FLEURS DU MAL」の詩を呟くのが好きなニコポルを演じるのは、、、こちらも大好きなトーマス・クレッチマン。。ジル=リンダ・アルディがミス・フランスで、クレッチマンが水泳のオリンピック選手なのだから、その姿が美しくないわけがない。彼らと、シャーロット・ランプリング以外の役者が、すべてCGという無機質な世界で、その生身の人間の美しさが際立つ。
「LES FLEURS DU MAL」の詩とは、、、シャルル・ボードレールの『悪の華』
この映画のストーリーが不十分とか、CGの人間が未熟とか、、技術至上主義の方ならいくらでも文句の付け所はあるでしょう、、、でも、、、近未来のNYで『悪の華』を口ずさむ世界観に共鳴できれば、、、好きになれるはず。
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近未来都市で『悪の華』、、、という感覚は、大正期の東京でボードレールを愛した文人たちの感覚ときっと近いはずです。
そう感じたから、、、北原白秋の「東京景物詩」の中から、、、「雪ふる夜のこころもち」の冒頭部を。
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今夜も雪が降つてゐる。
Blue devils よ。 / 酔ひ狂つた俺の神経が―― / Sara …sara…とふる雪の幽かな瞬(またたき)を聴きわけるほど―― / ひつそりと怖気づく、ほんの一時の気紛につけ込んで、 / 汝(おまへ)はやつて来る……ふるひながら例の房のついた尖帽をかぶつて、 / 掻きむしつた亜麻色の髪(け)の、泣き出しさうな青い面つきで、 / ふらふらと浮いた腰の、三尺ほどの脚(たけ)うまに乗って、 / ひょつくりこつくり西洋繰人形(あやつりにんぎよう)のやうにやつてくる。
硝子の閉つた青い街を、 / 濡れに濡れた舗石のうへを、 / ピアノが鳴る……金色のせん音の / 潤むだ夜の空気に緑を帯びて消えてゆく。
雪がふる。………/ 湿った劇薬の結晶、/ アンチピリンの、(頓服剤の、)粉末のやうに―― / それがまた青白い瓦斯に映って / 幣私的里(ヒステリー)の発作が過ぎた、そのあとの沈んだ気分の雰囲気に / 落ちついた悲哀(かなしみ)の断片がしみじみと降りしきる。 (長い詩なので以下略です)
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エンキ・ビラルのコミック、映画の原作にもなったニコボル三部作、こちらもいつか読んでみたいな。
ニコポル三部作〈1〉不死者のカーニバル