星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

もっと良い日へ…

2020-10-29 | …まつわる日もいろいろ
カーショーおめでとう! ロバーツ監督 おめでとう! シーガーおめでとう!

ベッツありがとう~  ウリーアス ほんとにありがとう~。。

カーショーの嬉しそうな笑顔が見られて ほんとに良かったです。 昨年の10月に書いたせつない話題を思い出しつつ、 ずっとワールドシリーズを見守っていました。 去年号泣していた坊やも、 今年のカーショーの雄姿、 見ていてくれたかしら… 喜んでくれているといいね… ちっちゃな坊やを持つカーショーだし、 今度こそみんなが喜んでくれて嬉しいだろうな、、

去年の10月には病院のベッドの上で試合を見てました。。 でもまさか 年越してまた入院・手術するなんて想像もしてなかった。。 ましてや、 世界中がこんな感染症に襲われるなんてことは…

世の中はすっかり変わってしまいました。 けど、 変わらない感動や歓びも残っているとわかるとやっぱり嬉しいし、 力になる。。 今ふたたび ヨーロッパで感染が増えてきて、 日本でも終息する気配はまだ見られないけれど、 もっと もっと 良い日々が これから先やってくることを信じていたい。。 今よりもずっと明るい日々が、 誰のもとにも訪れますように…


美しい朝空がみれました。。






私の暮らしも すこし変わろうとしています…


もっと もっと 良い日へ…


新しかったイギリスの小説は…

2020-10-17 | 文学にまつわるあれこれ(ほんの話)



前回の ジュリアン・バーンズ『人生の段階』を読んで以降、 ジュリアン・バーンズ氏の作品をまとめて読み直している。 、、と同時に、 なぜか A・S・バイアット(アントニア・スーザン・バイアット)女史の作品のことも想い出して まだ読んでいないものもあるので読みたいなと思っている。。

どうして一緒に思い出したかというと たぶん、 かつて白水社の《新しいイギリスの小説》シリーズでバーンズとバイアットが並んでいたからだと思う(上のフォト)。。 この《新しいイギリスの小説》シリーズの装丁は印象的で、 バーンズの『太陽をみつめて』の飛行機乗りのゴーグルも、 バイアットの『シュガー』の薔薇と本も、 とってもセンスが良い。 それに比べて文庫の『抱擁』はいくら映画化された作品とはいえもうちょっと詩的な装丁が出来なかったのかしら…と残念な、、

でも《新しいイギリスの小説》シリーズは90年代前半の出版だけれど、 今となっては早くも絶版なのか Amazonに書影すらない。。 

 ***

前回、 『人生の段階』で、 奥さまを亡くされてからのバーンズ氏の想いを読んで、 訳者さんの解説などを読んで、 そのあとで『太陽をみつめて』(86年著)を開いて見て、、 それから『10 1/2章で書かれた世界の歴史』(89年著)も開いて見て、、 あと『ここだけの話』(91年著)も開いて見て、、 全部、 献辞が奥さまの名前になっていることに気づいて胸がつまった…

言うまでもなくジュリアン・バーンズさんはすごく知的な作家で、 語り口もシニカルというか、 ユーモアたっぷりだけど皮肉っぽいいかにも英国の知識階級の文学者、という感じで決して好きな作家ではありませんでした。。 献辞「~~へ」という言葉だって今まで気にしたことすら無かったです。

けど、、 バーンズさんは全ての作品をもしかしたら奥さまたった独りの為に書いていたんじゃないかなと今は思う。。 言い方は悪いけど、 一般の読者や ましてや翻訳されて読む海外の読者とか、 そんなことは全然念頭に無くて、 あの一風変わった作品を奥さまが読んでくれて (エージェントを務めていたというからには)有能な読み手だった彼女が辛辣な感想とか言ってくれる、 或はヘンテコなウィットに笑ってくれる、 それだけを楽しみにして書いていたんじゃないかな、、と そんな気がした。。

昔(バーンズ氏がデビューした頃)はね、、 書き手のプロフィールとか 執筆時の個人的な出来事とかを作品に投影するなんて小説としてすごーくつまらない事、と思っていて、 あくまでフィクションはフィクションでしょ、、 という感じで 献辞だの 謝辞だの、 解説だの、、って全然関心を持って読むことがなかった(いじけた読者でした)

でもバーンズさんの本に書かれている 「パットへ」 「カヴァナへ」 という短い献辞が、、(奥さま亡きあとの『人生の段階』にも書かれている) 、、これから先 どう書かれるんだろう、、 この先もパットの為に本を書いていくんだろうか、、と、  来年75歳になるというバーンズさんの(個人的な背景の)ことを 今は想っている。。

 ***

A・S・バイアット女史もすばらしく知的な作家さん。 『抱擁』は19世紀の架空の詩人の、 誰も知らなかった恋文を現代の研究者が偶然見つけ、 その恋のミステリーを解き明かしていく、という 英文学に興味がある人には断然オススメの 文学ミステリー&ラブロマンス小説。 この作品も20年近く読んでないから 再び読み返したいと思っているところ。。

、、 バーンズ氏が75歳になるのだから バイアット女史はおいくつになるのだろう…と 検索してみたら、 もう84歳と、、


《新しいイギリスの小説》は、 20世紀の英文学としてもう新しくはなくなって、、 (図書館では地下とか書庫とかに保管されて、もう開架書棚にすら置いてなかったりして) 翻訳書も淘汰されていくのでしょう。。

でも この秋は ジュリアン・バーンズ氏と A・S・バイアット女史の作品をあらためて読みたいと思っています。

と同時に、


自分の過去の30年間くらいも、、 そこに読むことになるのかもしれないと、、

思ったりしています。



寒くなってきましたね、、



よい週末を。

A+B>∞ かも…:ジュリアン・バーンズ著『人生の段階』

2020-10-07 | 文学にまつわるあれこれ(妖精の島)

『人生の段階』ジュリアン・バーンズ 土屋政雄・訳 新潮クレストブックス 2017年



ジュリアン・バーンズが66歳で書いたこの本は 次のように始まります

  組み合わせたことのないものを二つ、組み合わせてみる。それで世界が変わる。…

このフレーズですぐに思い出すのが シュルレアリスムの定義のように取り上げられるロートレアモンの詩集『マルドロールの歌』の中の名文句、、

  解剖台の上でのミシンと蝙蝠傘の偶然の出会いのように美しい

、、ジュリアン・バーンズさんは別に『マルドロールの歌』に触れているわけではないので この詩句のことが念頭にあったかどうかはわかりませんけれど、 《組み合わせたことのないものを》《組み合わせてみる》… それが詩であり 芸術であり 創作となって そうして生まれた《世界》が作品として私たちにもたらされる。。 創造の可能性ってそういうもの。。 本を読む歓びも其処にあるのだと常々思っています…

《組み合わせたことのないもの》同士の結びつき、の 最も身近な例で、 しかも時間的には極めて長いものになり、 状態的には常に変化して一瞬も同じ形ではないながらも続いていく、 そんな究極の《組み合わせ》が《結婚》というものなのでしょう。。

この本には、 ジュリアン・バーンズさんの《結婚》というパーソナルな事例が書かれています。 第三部から…

  …三十二歳で出会い、三十年間一緒にいて、六十二歳で亡くした…

たったひと言で言えばこのひと言になる、奥さんとの結婚、そして死別、、 というきわめて私的な思い出、悲しみ、、 それを 作家ならではの《組み合わせたことのないもの同士を組み合わせる手法》で書いた本。 パーソナルな愛と悲しみが、 誰もが大空に浮かび上がる熱気球を見るように一緒に胸をときめかせ、目を見張る感動として伝わってくる、、 ジュリアン・バーンズさん さすがに凄い作家、、 『101/2章で書かれた世界の歴史』を書いた作家さんだものな、、と感動しました。。

その《組み合わせたことのないもの同士を組み合わせる手法》 というのが 三部構成になっているこの本の構成で、、

 第一部「高さの罪」は 気球乗りにまつわる歴史上のエピソード
 第二部「地表で」は  第一部に出てきた歴史上の二人が恋におちる、という架空の物語

そうして 第三部「深さの喪失」でようやく、 ジュリアン・バーンズさんの奥さまの話が語られ始める。。 でも、 でも、、 読んでいくと、 この方法でしか書き得なかった本、 この手法でしか伝えられない感情、 だというのがわかる。。 それはこういうこと、とは説明できない… でも、 何度も泣き笑いしつつ 胸いっぱいになりました。。
、、 とても愛していたんだなとも思うし、、 奥さまを亡くした後のどうしようもなさに、 困ったちゃんだなぁ、、と苦笑してしまう。。 でもその怒り、 その悲しみ、、 ぶつけるのも仕方ないよ、と思える…

さきほど引用しましたが、、 《三十年間一緒にいて、六十二歳で亡くした…》 、、それは短すぎるもの。。 
愛する時間や人生の時間は《長さ》では決められない、と言う。。 でも、 積み重ねてゆく時間というのは、 誰にもそしる権利は無いし その積み重ねの中に他者が入る余地は無い。。 誰にもわからないし 二人にしか築けなかった世界がその時間のなかにある。。 だから結婚というものが 《組み合わせたことのないものを二つ、組み合わせてみる。それで世界が変わる》という究極で最高の事例になる…

見知らぬ人と人とが出会い、 ともに生きることが 無限大の世界へ舞い上がる可能性につながる…


よい本でした。 素敵な読書でした。



だからこそ、、



この本、  ほんとうにたいせつな人には勧められない。。 今は…



わたしが死んだら読んでみて


としか、、  今は言えません…


 ***


昨日、 インフルエンザの予防接種をしてきました。 心疾患の優先枠で受けられると先生に言われて…。


オフィス街にあるクリニックまでの道、、 ようやく背筋を伸ばしてしゃんと歩けるようになったみたい。。 今年の春、 三月~四月と安静の生活で筋力がすっかり衰えてしまって、 腹部の術後もへっぴり腰でしか歩けなくて、、 ほんの少しずつ お家の中でできるトレーニングをちょっとずつちょこっとずつ続けて、、
やっと5カ月近くかかって まともに歩けるようになってきたみたい。。

何度も 何度も、 年を重ねるごとに身体が元に戻るのは大変になっていくけれど


まだなんとか頑張ってる

 

 ***

、、 わたしたちの 70~80年代を彩ってくれた二人の訃報がありました。。  KENZOさん、 お花をありがとう。。 エディ、 笑顔をありがとう。。 みんなが君を真似したよ…