星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

架空の vacances...

2018-08-26 | …まつわる日もいろいろ
窓越しの空は真っ青に澄んでとてもとても気持ちの好い空だけど

暑いっっっ …(* *;; ですね、、


… 日本はずっとこれからこんな夏になってしまうの?

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スウェーデンとか 英国とか いろんな国のミステリを読んでいますが、、 どんな大変な事件が起こっていても、 警察でも お医者さんでも 4週間のバカンスをちゃんと交代でとっていて、、
沿岸の島に滞在したり、 湖のほとりの別荘で過ごしたり、 もっと遠くの外国のリゾートでアバンチュールを楽しんだり、、(小説の中では)してる。。

4週間、、 いいなぁ。。

スウェーデンなど 国の人口が東京都よりもずっと少ないのに、 国際的に有名な企業もいくつもあって、 文学や音楽の文化面も英米に全然劣っていないし、、 一人当たりの生産性の高さで言ったら、 東京などと比べ物にならないほど高くて、、 (これで4週間のバカンスを取れるなんて…)

、、 生産性 って言葉が先ごろ嫌~な意味で話題にもなった我が国ですけど、、 こんなにみんな働きづめで、、 熱い暑い真夏でもね、、 満員電車で、、
生産性の低い国なんだゎ、、きっと。。 、、一国の将来を担う人間の数が必要なのは確かなことかもしれないんですが、、 この小さな島国に こんなにたくさんの人間… ほんとうに必要なのかしら、、 と 浅薄な考えだけど正直思ってしまう、、 

、、と、、 暑さのせいで妙な思考回路です。。

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このところ、 フランスの ARTEというTV局のコンサートアーカイヴのサイトで クラシックや ジャズのコンサートを見たり、 ファドなんかを聴いたりしています。。
https://www.arte.tv/fr/videos/arte-concert/

プログラムもとても充実していて、 外付けのスピーカーに繋いで視聴すれば そこそこの音でコンサートが楽しめて、 読書の傍らで楽しめます。

この メラニー・デ・ビアシオという女性のコンサートも、 素晴らしかったです⤵
https://www.arte.tv/fr/videos/083015-000-A/melanie-de-biasio-au-theatre-de-l-odeon/

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暑さには 少々参っていますが、 6月ごろのほうが体調がすぐれなかったみたい。。 すくなくとも今のほうが、 読みたい本も 聴きたい音楽も 引きも切らず… 興味がつきないことは嬉しいことです。。

、、 いろんな国の物語を読んで いろんな国のいろんなタイプの音楽を聴いて、、

、、 美味しいパテや コンポートをのせた カナッペなどつまんで栄養不足にならないように、、 (出来れば軽いアルコールも一緒だと良いけれど、、)
、、 今のところの 架空のバカンスはそんな感じ… 心の、ね。。



昨夜の夕暮れ時のお月さま…




虫の声が聞こえる季節も、、 もうすぐ… ?

秋の風…

2018-08-18 | …まつわる日もいろいろ

…に誘われて










罪なき人はいない…:『さよなら、ブラックハウス』ピーター・メイ

2018-08-16 | 文学にまつわるあれこれ(鴉の破れ窓)
お盆休み、、 久しぶりに故郷へ帰られた方も多いかと。。。

自分が育った町や村、、 変わらない風景や すっかり変わってしまった場所、、
ずっと会えずにいた友、 或は できれば会いたくなかった人… 
、、離れていた年月が長ければ長いほど、 故郷へ帰る時の想いは複雑になっていくものかもしれません。。 そんな物語を読みました。

日本では十数年ぶりに昔の同級生が帰って来たりするのも こんなお盆の季節かもしれませんし、 海外では逆に、 今の季節、夏の終わり… 9月からの新年度へ向けて故郷を去ろうとしている別れの季節なのかもしれません。。
今年はお盆の帰省はしませんでした、、 同級会も今年は無し。。 故郷を離れて私ももう二十年余、、 この物語を読みながら、 心にちくちく… 針の疼きが止みませんでした。。



『さよなら、ブラックハウス』ピーター・メイ著 青木創・訳
(ハヤカワ・ミステリ文庫 2014年)

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スコットランド エジンバラ市警の刑事フィンは、 ある殺人事件の捜査にあたる為 十八年ぶりに自分が生まれ育った島へ派遣される。 ヘブリディーズ諸島のアウター・ヘブリディーズと呼ばれる西側の群島の中で、 最も北に位置する「ルイス島」(Isle of Lewis)が彼の故郷だった。

、、ヘブリディーズ諸島で思い出すのが、 5月に書いたアン・クリーヴスさんのシェトランド諸島を舞台にした ペレス警部シリーズの事(>>)。 『水の葬送』の中でヘブリディーズ諸島が出て来ました。 重複になるけれど、 サンディが言っていた言葉…

「…われわれとはまったくちがいます。かれらはゲール語をしゃべるし…文化もちがう。ヘブリディーズ諸島では、日曜日に酒を飲めない。ヘブリディーズ人とシェトランド人に共通点があると考えることができるのは、イングランド人だけです」

、、まさにこの 《全く違う》ヘブリディーズの島の文化や暮らし、、 それを読んでみたいと思ってこの本を手にしたのです。 それにぴったりの本でした。 ルイス島の厳しい自然環境、 古くは中世から受け継がれてきた暮らしぶり、 厳格な宗教に根ざした規律、、 そして世界でこの島の男たちだけが晩夏に行う《グーガ狩り》(guga hunt)という「シロカツオドリ」の幼鳥を狩る猟… 

これら初めて読むこの島の文化が、 主人公フィンのこれまでの人生や 彼の幼友達らの成長の過程にとてつもなく大きな影響を与え、、 少年時代の記憶抜きには この島で起こった現在の事件も解くことは出来ないのです。。 
そして、 18年前に《故郷を捨てた》ように離れたフィンにとっても、 この帰郷は自分のこれまでの人生と再び向き合わざるを得ない《事件》となっていきます。 ルイス島という小さな地域で共に育った者たち… その子供たちがどう大人になっていったのか、、

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上の写真でもわかりますが、、 ちょっと早川書房さんへ苦言。。 この表紙のイラストは作品のイメージに全く合っていません。 私もヘブリディーズ諸島への関心が無かったら、 このイラストを見て本を手に取ろうとはまず思わないです。。 ライトノベルではないのですから… 殆んどの男性ミステリ読者はタイトルと表紙で避けてしまうでしょう…

この本の舞台、 ルイス島のあるアウター・ヘヴリディーズについてはウィキを(>>) 厳格な宗教のことなど載っています。

そして、 ルイス島の風景を探していて、 なんと この本の著者さんによるルイス島紹介映像があって吃驚しました。 本のプロモーションでこういう事もするのですね。 見てみたら、 本当に (あ、あの場面、 あの場所)という所が一杯だったので 読んでいない方も 読み終えた方もぜひどうぞ…
The Blackhouse (2011) by Peter May
流れている音楽は、 スコットランドの民族音楽のバンド「カパーケリー」だそうです。 言葉はゲール語でしょうね…

、、以前読んだ J・M・シングの『アラン島』(>>)にも少し似ている気がする。 あちらはアイルランドの西だけれど…

ルイス島の映像を見ていると、、 なんだか泣きそうになってしまいます。。 なぜかはわからないけれど、、 自分が決して行けない場所、 どんな憧れを持っていたとしても私には決して暮らしていけない場所、、 だからかな。。 だから、 この島から逃げていくようにエジンバラへ行ったフィンの気持ちもわかるような気がする… でもこういう場所で育ったら、 どこへ行って記憶から締め出したとしても 決して忘れることは無い場所だろうなと思う。 自然の厳しさや人間関係も含めて、、きっと。。

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事件を追う現在のフィンと、 子供時代の回想とが交互に現われ、、 それによって読者はこの島の多くのことを知っていく… ミステリとしても成長物語としても読み飽きないドラマティックな展開ですが、、 読後感は苦い、、です。

前に書いたM. L. ステッドマン『海を照らす光』(>>)が、 どこにも「悪人」はいないのに 「愛」のために、「相手への想い」のために 誰かを傷つけ裏切ってしまう… そういう悲しみに苛まれる物語だったとしたら、、 この『さよなら、ブラックハウス』は、、 出てくる全ての人がなんらかの「罪」を犯している、と言えるかもしれない。。 それも身勝手な 自分の為の「罪」。。 キリスト教の「七つの大罪」にも当て嵌まるような… 主人公フィンでさえ。。

、、 子供から大人になっていく時代、、 何故あんな事を言ったのか(或は言えなかったのか)… どうして心に反する行動をとったのか… 誰にでもある事だと思う。 でも それは自己本位の身勝手な罪。。 殺人事件とは関係がなくても、、 そんないろんな人の隠された罪が見えてくる、、 だけどほんとうに罪のない人間などいるだろうか(自分も含めて)、、 と 息苦しい気持ちにもなる。

、、物語の重要な部分を占めるのが先に書いた《グーガ狩り》の場面。 営巣地の幼鳥を捕まえて殺す、、というこの伝統の猟も「罪」であると非難する動物愛護の運動家も登場します。 実際、 動物保護か、伝統継承かの議論の末、 一年に2000羽の捕獲だけが許されているそうです
Western Isles' Sula Sgeir guga hunt 'sustainable'(BBC)

生きていく為の食糧がほかに選択できる現代、 guga huntが必要なのか、 食べたいという身勝手な欲望なのか、 それとも先祖から受け継がれた伝統を消さない為なのか、、。 日本人にも無縁でない問題ですが、 それは置いて、、 この《グーガ狩り》の場面と《事件》とが見事に絡んで結末へ至ります。

 ***

だけど、、 ミステリとはいえ、、 (それはあまりに身勝手じゃないか)と思ってしまう人物が多くて… (刑事フィン、、君もだ)

(読んだ人だけわかるように書きますが)、、 物語の最初に出てくる「女の人」と、 物語の最後に出てくる「青年」、、 なんだか あの二人だけが全く罪が無いのに、、 なんにも悪くないのにあんなに心に傷を負って… 可哀想でならない。。 あんな扱いで終わってしまっていいの…? あの二人のこれからの人生が心配でならないよ。。。 

もし 続編でこのひとたちの「その後」が判るなら良いけど、、 このまま物語から消えてしまったら つらいなぁ。。

、、 きっと 作者は こういう思いも含めて、、 人が生きる「罪の深さ」を、 島で生きる厳しさと共に 考えさせてくれているのだと、、 そう思いたい。。 (けど、 この著者さんは脚本家でもあるそうなので、 不幸なドラマティックさが過剰な気も ちょっとする。。 いつか続編読んで考えよう…)

 ***


 「わたしの子供時代は虹だらけだったように思える。 たいていは二重の虹だった。 その日わたしたちが見たのも、泥炭地の上ですみやかに形を結び、藍色の空のいちばん暗い部分を背景にして鮮やかに輝く虹だった」


上に書いたルイス島の動画でも 「虹」がちらっと映っています。 Isle of Lewis と rainbow で検索すれば二重の虹の画像もたくさん見られます。。 

やっぱり、、 見てみたいなぁ、、 本物のルイス島の虹。。



こちらは都会の切り取られた空…


上層の雲にすこしだけ 秋の気配…

どこか棄てきれない…『楽園の世捨て人』トーマス・リュダール

2018-08-11 | 文学にまつわるあれこれ(鴉の破れ窓)
立秋も過ぎ、、 お盆休みに入る週末ですね。。
、、けど、 お盆にもお休みにも縁の無いわが家なのでごく普通の毎日が続いております。

読書記録、、 ほんとうは7月に書いた『奥のほそ道』リチャード・フラナガン著 について書いておきたいのだけれど、、 第二次大戦時の重いテーマの物語。 筆力も、 構成も、 ブッカー賞にふさわしい力作と解りつつも、 私には大きな疑問ばかりが残る作品でした、、 日本軍による戦争犯罪行為、残虐行為を否定も正当化もする気は私は全くないし、 犯罪行為は償わねばならず、 人を虐げて生き長らえる人間ならば罪を背負い 悔やみ 苦しまねばならないと そう思う。。 けれども、 この作品にはあまりに疑問に思う部分が多く、 著者の意図するものは何だろう… 著者はここからどのような文学的視野を(効果を、 展望を、と言ってもよい) 読者に求めているのだろう… と ただただ疑問で、、

そのことを年長者のかたに(先にお読みになっていたし…) メールで問うてみたのだけれど、、 まだまとまった感想を書くには至れない。。 だからまだ書きたくない。。 、、Amazon.com(英語版)の読者レビューなどを見れば、、 なるほどそうだろうな、、と思われる感想が読めるけれども、、 戦争文学の意味を考えた時、 やはり私には疑問が残る。。 誰かに訊いてみたいとも思うし、、 著者の発言とかいずれ読める機会とかあれば、、 だから今はまだ…

 ***

そんなことでずっと頭を悩ませていて何も書けないまま、、 でも ほかにミステリなどとうに読み終えているものが数冊あるので、 ちょっと書いておかないと何を読んだか忘れちゃう。。。



『楽園の世捨て人』 トーマス・リュダール
(ハヤカワポケットミステリ 木村由利子訳、2017年)

北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞 受賞の傑作! と裏表紙にはあります。 内容は… 「母国デンマークを捨て、大西洋に浮かぶカナリア諸島で暮らすタクシー運転手兼ピアノ調律師のエアハート。…」(ハヤカワオンラインより>>

カナリア諸島(The Canary Islands)ですよ、、 楽園の島々、、 その中のフエルテベントゥーラ島が舞台(こんなところらしいです、、ウィキ>>

真夏のビーチでの読書にぴったりでしょう…?(←ほんとか? 笑)

、、でも、 さきほどの内容紹介の一文だけでも 「母国デンマークを捨て?」 「タクシー運転手兼ピアノ調律師??」 なにそれ…、、 このおっさん 年は68歳くらいだったかしら? なぜこのような世捨て人になってカナリア諸島にいるのか、、 なぜピアノの調律が出来るのか、、 だって パソコンも使えないし、 メールも打てない、 携帯も持ってないし、、、 しかも、(ちょっとネタばれだけど) この人 手の指が一本無い。。 何故かわからない、 デンマークにいた時に何かあったらしい、、

わからないこどだらけ。。 でも何故かタクシー運転手なのに ある事件の謎を追おうとする。 それは生後三か月の乳児が遺棄された事件、、。 なぜこの事件が引っ掛かるのか、 そこもよくわからない。。(乳児遺棄が特別に凶悪な事件だとも思えないところが逆に自分のその認識がおかしいのか、とか思ってしまう…)
きっとこのおじさんの過去と何か繋がりが??

… と思って読むのだけれど、、 デンマークのこと、 指のこと、 ピアノのこと、、 それからこのおじさんのよくわからない人脈… 、、 思いつくままにおっさんは行動を開始する、、と また新たな謎や事件が周辺にずるずると…

、、 上下段組みのポケミスで580頁という ひたすら長いミステリなのですが、、 おっさんの謎がわからないばかりに、、 だんだん意地になって読み続け、、 後で考えたら、 このおっさんがパソコンが使えていたら 途中300頁は節約できた、、ということに気づきました(笑) おっさんが魅力的なわけでもなく、、 でも裏に何かがありそうで、、 この島も美しいリゾートの裏面がありそうで、、 
おっさんが愛飲する デンマーク仕込みのカクテル「ルムンバ」 ココアとラムのカクテル? (Wiki>>

そして おっさんがこの島の大富豪に指名されて毎月調律をする高級ピアノ、 ファツィオリ(Wiki>>) この一族がまた謎…

次々に出てくる謎と、この島のどこか怪しい無国籍な熱気と混沌… そういう描き方がきっとうまいのでしょうね、、 おっさんにまんまと巻き込まれてイライラしながらも意地のようにひたすら読み続け、、 結局…… !!


、、 事件は解けた、が おっさんの謎はなにひとつ解けなかった…!!

どうやらこの作品は三部作になるそうで、 デンマークでは2冊までは出版されているそう。。 もし、 このまま翻訳されなかったら、 こんなに長く付き合わされたおっさんの謎が… 

、、 それはあまりにも悔しいので どうかどうか出版・翻訳されますように。。


著者トーマス・リュダール氏のエージェントの紹介ページがありました⤵
http://www.nordinagency.se/clients/fiction/thomas-rydahl/

 ***

アン・クリーヴスさんのペレス警部シリーズ、、 ヘニング・マンケルさんの刑事ヴァランダーシリーズ、、 大御所P・D・ジェイムズ女史による警視ダルグリッシュシリーズ、、 いずれも中年独り者のおじさん達、、 警視ダルグリッシュシリーズはまだ読み始めたばかりなので あと十数冊は楽しめます。。 今年いっぱいは《独り者のおっさん》達が 我が心の愛人、でいてくれます… 笑

、、 スコットランドのシェトランド諸島、 厳寒のスウェーデン、、 ロンドンスコットランドヤード、、と 土地柄や人柄を知る楽しみも、、。 今回のカナリア諸島も、、 大瀧詠一さんの歌のイメージとはまた違った不思議な一面を見せてくれました。。


、、 もうしばらくの よい夏を・・・
 

PMFオーケストラ東京公演@サントリーホール

2018-08-03 | LIVEにまつわるあれこれ
PMFオーケストラ東京公演 ― 世界の若手音楽家を育てる国際教育音楽祭

PMFオーケストラとは、 オーディションで選ばれた18歳~29歳の若手演奏家さん達が 今年は札幌に集まり7月から指導とリハを重ねて 最後にその成果をコンサートで披露してくださる という音楽祭。
https://www.pmf.or.jp/jp/2018/

その最終公演、 「ゲルギエフ、マーラーを振る」という東京公演に行って来ました♪ 私にとっては 初めての 念願の ワレリー・ゲルギエフさんの指揮‼ 




もちろん ゲルギエフさんの指揮がしっかり見える ステージ後方席を選びました。。 お値段のことを言うのは品が無いかもしれませんけど、、 サントリーホールのP席は私でも手が出せる しかも指揮者さんの様子をずっと見ていられる大変うれしい席。 音のバランスでは正面から鑑賞したほうが良いのでしょうけど、、 私が見たいのは指揮者さんの様子と その指示にオケの皆さんがどう反応するか そういうのを間近で見られるのがすごい楽しみなので、 今まで見た ウルバンスキ君も ノットさんも ステージ後方から。

 ***

ウチにマーラーの7番のCD、 ゲルギエフさんのと アバドさんのがあったのですよね、、(さっき知りました・笑) でもゲルギエフさんのは聴いた記憶無し…

予習には(また付け焼刃的に) アバド、 ブーレーズ、 ハイティンク、 バーンスタイン、、と いろいろ聴いてみたんですけど マーラー7番… 理解不能。。 マーラーっぽい所も確かにあるけれど、 この曲は 壮大なの? 重いの? 軽いの? 陰鬱なの? 明るいの? 全部当て嵌まらず全部当て嵌まる… 全然わからない… とにかく《とっちらかった曲》だなぁ… と。

、、でも 私に理解不能なのはそれで良かったみたいです。。 プログラムにも 「破天荒な内容で、1908年の初演当時は理解不可能とさえ評された」って書いてありました、、 本当にめまぐるしく色んな要素が出る第一楽章、 ウィンナワルツのように優雅かと思いきややっぱり一筋縄ではいかない第三楽章、、 最後の第五楽章は 聴いた指揮者さんそれぞれ全部が 全然違う速さで全然違う雰囲気で 結局ゲルギエフさんがどんな風に振るのか さっぱり掴めず、、 でも 若手さんの教育プログラムだからこそ こんなよくわからない曲をやらせるのかな… とか思いつつ とっても楽しみに出掛けました。。

、、 ほんと 行って良かったです。
今 やっとウチにあったゲルギエフさんのロンドンシンフォニーのマーラー7番を聴いてますが、、 やっぱりその場で聴く音って最高ですね。。 そして若手さん達が ゲルギエフさんのあの指のひらひらと竹串棒の動きに喰らいついていく様子がなんともエネルギッシュで若々しくて、、 特に金管、 木管、 打楽器さん達にぴっぴっ、、と 細かく的確な指示を出すのに応える様子がほんと素晴らしかったです。 音も若々しくてヘンな遠慮など無くて。。

曲目は

ヴェルディ:歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲

バーンスタイン:ハリル


≪休憩≫
 
マーラー:交響曲 第7番 ホ短調


バーンステインの「ハリル」は、 フルートのソリストさんが美しい そしてちょっと尺八のような幽玄な音色も奏でつつ、 後半は様々な打楽器さん(銅鑼もあった)達との競演の盛り上がりが楽しかったです。 もう一度聴きたい♪

マーラーの7番は、、 やっぱり生音で聴いたせいか 予習の誰よりも輪郭がはっきりしていました。 第一楽章の《とっちらかり》ぶりも生き生きと (あぁやっぱりとっちらかった曲なんだなぁ)と、、 《夜の歌》と題されている第2、第4楽章はゆったりと、、 各パートさんへゲルギエフさんのあのギロっとした眼と竹串がぴっと動くたび、 本当にそのパートさんの音がぴゅん!と引き立つから凄い。。
トランペットさんも上手かったなぁ、、 あんなキラキラした音は若いからこそなのかも。。

そしてそして第4楽章から間髪入れず凄いスピードで始まった第5楽章…!! 怒涛の超速に思わず吹き出しそうになって、 慌ててタオルで口を押えました。。 (なんじゃこりゃぁ…‼) CDのロンドンシンフォニーでさえもう少し溜めが入っているのに、 どこまでついて来れるかまるで試してるみたいな超速。。 全体の音的には崩れるぎりぎりの感じもあり、、 でも懸命に喰らいついていくオケと なんだか絶対にいけるという確信を持って進んでいくようなゲルギエフさんの目力。
もうティンパニーさん雷神のよう… そして大概の交響曲ではそんなに忙しくないパーカッションさんがもう、もう、、3種類くらいの楽器を次々持ち替え必死。。
最後の盛り上がりはもう少し溜めてもいいんじゃないかと、、 (CD位には)、、 今では思うけれども そんなこと思うヒマも無いほど 全力で駆け抜けたフィナーレでした。。 その瞬間、 (すげーーー)という心の声と共に割れるような拍手、、 

ほんとうに素敵でした。。 終わった後のゲルギエフさんの笑顔や、 最後にみんなで隣同士抱き合って笑顔で健闘を称え合う演奏者の方々、、、 ほんとやり切った夏! っていう感じで 良いものが見れたなぁ、、と思います。

 ***

どんな席でもいいからその場で会場の興奮を一緒に感じたい…と思うロックコンサートもあるにはあるけれど、、 今や来日アーティストのチケット代もどんどん上がっていくばかりだし、、 やっぱり演奏者の様子が見れてこその ライヴだし。。

クラシックコンサートのP席の魅力にどんどんハマり込んでしまいそうです。。 会場で重いほど配られる今後の演奏会のチラシを見るのも楽しいし、、 早速また秋の予定を入れてしまいました。。 また新しい指揮者さんとオーケストラ。
、、ゲルギエフさんの交響楽団の指揮は P席でもなかなか手が出ないし あっという間に完売してしまうので、、 またいつの日か行けるのを期待しましょう。。

、、あ そうそう。。 
ゲルギエフさんといえば、 何も持たず両手でひらひら指揮をするか、 短い爪楊枝のような指揮棒を持つか、というのが有名ですが、、 あれって 本当に爪楊枝とか、 焼き鳥の串だったんですね。。
今回の竹串は… 見た感じ 1曲目―串カツ、 2曲目―焼き鳥、 3曲目―串団子、、 みたいな長さに見えたんですけど… 

twitter でゲルギエフさんの検索をすると竹串の写真もいっぱい、、笑
(海外公演では 竹串どうやって調達するのかしら…)

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火星と百日紅

、、 火星 見えましたか…?


あまりに暑い日が長くつづいてちょっと弱り気味です… でも西日本はもっと大変、、


、、 せめて睡眠と栄養はたっぷりと…  元気を取り戻しましょう。。