ロバート・ゴダード著 『謀略の都』上・下巻 訳:北田絵里子 講談社文庫 読了しました。。
でも、 これは 《1919年 三部作》の第一部で、 あと4冊つづくので、 今回はきちんとした感想ではありませんの。。
前回書いた フォルカー・クッチャー著のシリーズが 1929年からのベルリンが舞台。。 そして、 GWに観に行った クリムトとウィーン分離派などの「世紀末ウィーンのグラフィック -デザインそして生活の刷新にむけてー」展が 主に1900年代初頭の20年間くらいのもの、、 というわけで、 少しこのあたりの時代に凝っているのです。。(ていうか、知らない事が多すぎるので…笑)
『謀略の都』の舞台は、 第一次大戦終結直後の1919年春、 パリ講和会議が行われている場所です。 英・仏・米・伊・日の五か国が中心となって、 大戦後の処理について話し合いが重ねられている年、、 ということなのですが、 ストーリーの主役はその会議とは全く関係の無い 第一次大戦時には英空軍のパイロットだったマックスという青年。
マックスの父親は 英政府の代表団の一員としてパリに出かけており、 そこで謎の死をとげます。。 急遽パリへ向かったマックスは、 父の死に疑問を抱き…
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パリ講和会議のことは ウィキなどを見ても (第一部読み終えても) 今もってさっぱりわからないのですが…(汗) いろんな国の利害やら密約やら スパイやら まさに謀略が入り乱れていて、 マックスにもいろんな危険が押し寄せる… たいへんな目に遭い続けるのですが、 そこは元パイロットの生還者、、 決してめげない、 信念をまげない、、 あきらめない、、 なんとも強い人なのです
そして、 マックスの戦友というか、 部下だったサムという飛行機の整備士がいて、、 このマックスとサムの関係が、、 どうしても どうしても 『指輪物語』を想い出してしまうの、、
もう戦争は終わったから上下関係は無いというマックスに、 サムは今でも敬語を使って 「あなたは・・・ですね」 と喋る口調や、 なんたって名前が《サム》ですもの、、
ストーリーの最初のほうの、 謎解きには全然関係ない部分だから 引用してしまいますが…
「…ドイツ兵を相手にわたしができることはたいしてありませんが、あなたのために抜かりなく点検することぐらいはできますからね」
、、 この台詞読んだ時、、 これは完璧にサム=サムワイズだ! と確信してしまいました。 ゴダードさんもきっとそのつもりで書いているハズ、、 で、 訳者の北田さんもきっと意識して口調を考えているハズ、、 と思って。。 (勝手な想像ですが…)
Samwise Gamgee の名言でしたね、、
“Come, Mr. Frodo!' he cried. 'I can't carry it for you, but I can carry you.”
自分は指輪を運ぶことはできないけれど、 フロド様、 あなたを(背負って)運ぶことはできます! 、、、もう 涙、、 涙、、 どれだけ涙したかわからない あのセリフ (今、本を見て書いてないので正確な訳ではありませんが)
ゴダードさんの主人公マックスは、 フロドのように辛そうな悲しそうな表情は全然見せないタフガイですが、、 でも この後の三部作で まだまだいろんな危険な目に遭うのでしょう、、
で、、 きっと (サム、 君がいてくれてよかったよ)、、 っていう場面もいっぱい出てくるのでしょう、、
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『指輪物語』、、「ロード・オブ・ザ・リング」三部作の 夢のような映画に涙したあの頃から また、、 世界は、、 この国は、、 もっと混沌とした わけのわからない国になっている気がします。。 さまざまな事が起きて、、 気持ちが鎮まらないうちに また何かが起こって、、 気がつくと、、 以前の事を忘れている、、 そのことが無性にせつなくなるときがあります。。
、、 自分は空も飛べないし 走れないし 指輪も運べないし あなたを背負うこともできないけれど、、
せめて、、 あなたがよろこぶような お話を、、
、、それができたらいいのに、、 とせめて思う。。
穏やかな愉しい週末でありますように。。