星のひとかけ

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ゆっくりと所蔵作品展を… 国立近代美術館

2025-02-26 | アートにまつわるあれこれ
先の三連休の一日、 大寒波との予報のなか いっぱいに着膨れて、 竹橋の国立近代美術館へ行って来ました。

所蔵作品展 MOMATコレクション(2025.2.11–6.15)」です。



展示作品の見どころやお部屋ごとの構成については、 国立近代美術館のページに詳しく載っています。
 https://www.momat.go.jp/exhibitions/r6-3

印象に残った作品のことをいくつか書いてみます(絵の画像は上記サイトに載っています)。 まずは第1室。 大きな作品、ナターリア・ゴンチャローヴァの《スペイン女》1916–20年 が目に留まります。 
ロシアの女性画家、 ウィキには「ロシア・アヴァンギャルド運動の著名な美術家・デザイナー」とあります(>>) 解説では、 ディアギレフの依頼でパリのバレエ・リュス公演のためのデザインをした時のものだそうです。 なるほど、舞台衣装の華やかさと、なんだかロシアイコンの図も思い浮かべさせ、、背後を見ればキュビズムの気配も感じるような…。

そして、 第4室から第5室。 モダニズムの彫刻と、シュルレアリスム100年。 
さきほどのバレエリュスの時代からも繋がりますが、 1920年代、大正後期から昭和初期の芸術は面白いです。 日本の芸術家もその動きのなかにあったのですね。

特に、 仲田定之助の彫刻作品、 まるでターミネーターの半分お顔が壊れた時みたいな…(こんな表現でごめんなさい)、、 国立近代美術館に作品ページがあります(>>https://www.momat.go.jp/artists/ana008) ほかにもこの時代ならではの個性的な立体作品がたくさんありました。

エルンストやイヴ・タンギーとともに、 日本のシュルレアリスム絵画も。。 キリコなどの影響もありありと感じるものの、 シュルレアリスムの動きは作家たちにとって本当に爆発的な何か新しさの一方、 世界の終わりを予感するような終末感もありますね。

ごく個人的には、 ここ数年の戦間期の文学、 第二次大戦前夜の文学への関心がつづいていたので、 この時期はやはり興味深いものです。 

第6室では 思いがけなく「戦争画」を見ることができました。 1月の日記にも書いていた藤田嗣治の戦争画や、 小磯良平、 向井潤吉など、 およそ戦争の情景など描きそうもない作家さんらの「戦争画」。 もともと素晴らしい技術をお持ちの画家さん達ですから、 戦場や終戦時の会見の一場面を描いてもものすごく巧い、の一言です。。 が、どのような気持ちで描いていたのだろうと。。 これは藤田の日記を読んだときの印象もありますが、 兵士達が命を懸けている戦場を自分が描くことへの、そこへ一緒に参加していることへの高揚感、みたいなものがその時の日記には表れてもいて、、 戦時というのは、その当事者でないとわからないものがあります。。 

 ***

新しい作家さんにも出会えました。 第7室の版画家 清宮質文。
まさに「詩情あふれる」作品でした。 駒井哲郎や恩地孝四郎の版画作品はもともと大好きなので、 その系譜にある作品群にとても心惹かれました。
創作時期は、 高度成長期に重なるそうなのですが、 恩地孝四郎などが活躍した大正から昭和初期の詩と文学の空気を感じて、、 好きです。

あと、 第10室まで。。 
「美術館の春まつり」での 日本画の早春のお花に癒されて… そうそう、、 このお部屋にはラタンのスツールがたくさん置かれていて、 そこにゆっくり腰かけて鑑賞したのですけど、 そばには《畳》もあって…!? (ここ座ってもいいのかしら…)
あとでHPを見たら、 「清家清の移動式畳」で、座っても良いのだそうです。。

国立近代美術館といえば、 展示室ごとにとても座り心地の良い、 革の椅子が置かれていて、 いつも(この椅子素敵だなぁ)と思っていたのですが、 マリオ・ベリーニというイタリアのデザイナーの椅子だそうです。 美術館展示室の〈椅子〉は、 弱者にはとってもありがたいものです。 美しくかつ心地良ければ尚更。


唯一、 心残りだったのは 展示替えのある後期作品、 速水御舟の作品が見られなかったこと。。 4月の展示なのですって。。 ふたたび行けるといいな… なかなか御舟さんに逢えない私。。


 ***

ひさしぶりに美術館でのゆったりとした時間が過ごせて嬉しかったです。 常設展示は近代美術館も西洋美術館も いつ出かけてもとても充実しているので またゆっくりした時間を求めて 行きたいと思います。



今週は お天気も一気に4月並みの気温になるそうですね。 街の中も「春まつり」かしら…



もうすぐ 弥生月ですね…
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