教育委員会と人権擁護委員会との共催で「人権講演会」が行われました。
「悲しみを生きる力に」~~、という演題で、
2000年12月の大晦日に起きた「世田谷殺人事件」の被害者遺族であり、絵本作家でもある「入江 杏」さんのお話を聞きました。
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入江さんのお話の中で、
《 いまの社会は、悲しむ姿をあまり人に見せるものではない、悲しみ苦しみといった負の感情は“持ってはいけない”とされがちです。負の感情は表に出すものではないという認識のされ方・・・、けなげに元気に振舞うことが要求される・・・。
本当は、つらい気持ちに寄り添ってあげることが大切なのに、そうできない環境が作られています。
「喪失体験や悲しかった出来事などは、なるべく人には話さない。隠しておく方がいい」と思っている人が多い・・・》
という言葉が気になりました・・・。
「話すことで少しでも楽になりましょう」と、温かい気持ちで手を差し伸べてあげる機会を作る~~「グリーフケア」という「犯罪・事故被害者遺族」への活動を行っていらっしゃる入江さん。
絵本を書くきっかけは、
亡くなった姪の「にいなちゃん」が最後に残した絵を学校から渡されたときに、強い何かを感じたのだそうです。
小学校の教科書にある「スーホの白い馬」の一部を描いたものですが、そこに「バンダナ」をした少女の絵が、描かれていて・・・、ひと目見て「にいなちゃんだ!」と・・・。
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美しく悲しいお話の一部を、なぜ「にいなちゃん」は描いたのだろう・・・「私もスーホのように遺志を聴き取り社会につなげていけたら・・・」、
「この話は私に与えられた道しるべではないか」
こんな風に思って、「こぐまのミシュカ」という絵本を描かれたそうです。
そして~~、
あちこちの幼稚園や小学校・中学校で、一生懸命生きてきた4人の絆の強さを心にとめながら、「悲しみを生きる力に」と、読み聞かせを含めての講演活動をなさっていらっしゃるのです。
未解決のままのあの事件・・・もう16年目に入っています。