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「善意」で介入しては後の手当てに配慮しないで相手を怒らせ、結局敵にまわしてしまうアメリカ外交のパターンを、「善意」役者の代表みたいなトム・ハンクスがやるわけ。
監督のマイク・ニコルズはまず舞台のコメディ演出で名をなした人だけれど、日本では青春映画扱いの「卒業」があちらでは「コメディ」と扱われるように、コメディというと日本でいう喜劇とは違って必ずしも声を出して笑えるものではなくて、状況のハレンチさと一見してそうは見えないずれといったものも含むらしい。(「卒業」って、俗な言い方すると親子ドンブリの話ではないですか)
ハンクスの「好かれ方」というのは、一方で役のウィルソン議員の酒色に溺れコカインにまで手を出しても運良くすり抜けてしまう逸脱や不合理にもつながる。
北ベトナム軍が単純な民族解放勢力ではなかったように、アフガンでも民族自決的な抵抗の裏に大国のバックアップがあったからくりがよくわかるように描かれている。
トム・ハンクスがアフガンに介入するきっかけになったのがジュリア・ロバーツと関係したことで、情事の際ロバーツの周囲を犬が取り巻いていて、ことの後ハンクスが漬かっているバスルームの壁にも犬の絵が描かれている。そして、ハンクスがアフガン人民を殺す奴は許せないと決心する時に引き合いに出されるのが、子供の時飼っていた犬に異物を食べさせた隣人が立候補した選挙の対立候補に投票する選挙民たちをトラクターをピストン輸送した運んだというエピソードで、アフガン人民を救えと言い出すのも同じ情緒によるものだろうとおそらく暗示している。
フィリップ・シーモア・ホフマンの嫌われることを一向に意に介していないキャラクターや、ゲテに傾いたジュリア・ロバーツの使い方が面白い。
(☆☆☆★★★)
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