松本人志が「シネマ坊主」で、王様を笑わせなかったら死罪となる芸人を扱った韓国映画「王の男」について、あれで笑わせられるとは思えない、とお笑いのプロとして批判していたが(もっとも、あれは王が笑ってしまってから後のドラマの方が眼目だったけれど)、似たような設定の本作ではどうしたか、というと、定型化されたら笑えるわけがないので、正面からこうすれば笑えますといった「正解」を提示することはしていないし、それはまず誰にもムリだろう。
まったくの素人がおかしくない芸をやるのだから、そのおかしくなさを笑うか、変に懸命な姿に共感するか、といった色々混ざった反応がかえってくることになる。
笑いそのものより、その裏側に張り付いたペーソスとか情とかいったものが表に出て、普通の娯楽映画に近づけて、表現の定法を外すところは外しているけれど、全体としてはきれいにまとまっている。
しきりと娘が「恥ずかしい」というが、笑われるというより嗤われるのを嫌がっているのだろうが、見物に来た観衆はあからさまに主人公を嘲笑したりはしない。今のテレビのスタジオで笑っているお客みたいに初めから芸人に好意を持っている。そのあたり、あからさまに笑いや芸人に対する差別が描かれる「王の男」と比べて甘いといえば甘い。
刀がない、さやだけさした侍という設定は、「いい刀はさやに入っている」という「椿三十郎」の教えをひっくり返したみたい。
有楽町で見たのだが、画面がわずかに色のズレを起こしていた。デジタル上映とは表示されていなかったが、撮影の段階の問題か、フィルム化する時の問題か。夜の場面の提灯がばかに明るく写っていたりする。
(☆☆☆★)
本ホームページ
さや侍 - goo 映画
まったくの素人がおかしくない芸をやるのだから、そのおかしくなさを笑うか、変に懸命な姿に共感するか、といった色々混ざった反応がかえってくることになる。
笑いそのものより、その裏側に張り付いたペーソスとか情とかいったものが表に出て、普通の娯楽映画に近づけて、表現の定法を外すところは外しているけれど、全体としてはきれいにまとまっている。
しきりと娘が「恥ずかしい」というが、笑われるというより嗤われるのを嫌がっているのだろうが、見物に来た観衆はあからさまに主人公を嘲笑したりはしない。今のテレビのスタジオで笑っているお客みたいに初めから芸人に好意を持っている。そのあたり、あからさまに笑いや芸人に対する差別が描かれる「王の男」と比べて甘いといえば甘い。
刀がない、さやだけさした侍という設定は、「いい刀はさやに入っている」という「椿三十郎」の教えをひっくり返したみたい。
有楽町で見たのだが、画面がわずかに色のズレを起こしていた。デジタル上映とは表示されていなかったが、撮影の段階の問題か、フィルム化する時の問題か。夜の場面の提灯がばかに明るく写っていたりする。
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