このブログに「prisoner’s」とついているのは、パトリック・マクグーハン企画・製作総指揮・主演・一部監督脚本の1968年のテレビシリーズ「プリズナーNo.6」からとったもの。それだけブログ主にとっては思い入れのあるシリーズなのだけれど、これはそのリメーク。
それだけにおそるおそるという感じでTSUTAYAの100円デーに合わせて借りたのだが、それでちょうど良かった。
スパイ役で売った(初代ジェームズ・ボンド役の候補にも上がった)マクグーハンの冷徹で何考えているのかわからないパーソナリティに対してリメークのNo.6役のジム・カヴィーゼルはこれまで通りナイーヴさが先行する。
イアン・マッケランのNo.2に美男子の息子がいるのは、マッケランが同性愛者であることをカミングアウトしているのを知っていて見ると何やら意味深。
家族や恋人が(どこまで本物かわからないなりに)絡み、人間の番号化・記号化に対してかなり情緒的に対抗するのだけれど、オリジナルの人間の記号化の上に開き直った寓話的な大胆不敵、不羈奔放な作りの前には、いかにもひ弱。
オリジナルの「村」は島にあったのが、リメークでは砂漠の中にあって脱出不可能というのは、「そして誰もいなくなった」のピーター・コリンソン監督版が原作の島から砂漠を舞台に移したのを思わせたりする。出て行こうと思えば出て行けるのを出て行かない、という設定も今更さほど刺激的ではない。
オリジナルでは「島」は共産圏にあるのではないかという意見が多かったらしいが、北アフリカの保養所みたいな「村」は、また別の非欧米的な文化圏のニュアンスがある。
襟に沿って白い線が入ったジャケット(マクグーハンが製作当時住んでいた家の向かいのミル・ヒル・ハイスクールのスポーツ用ユニフォーム)や、前輪がやたら大きな自転車、シーンをしばしば締めくくるセリフbe seeing you(じゃ、また)といったオリジナルの細かいアイテムをところどころに出してくるのは、当然のマナーとはいえ少し嬉しくなる。
プリズナーNO.6〈コレクターズボックス(6枚組)〉 [DVD] | |
製作総指揮・主演 パトリック・マクグーハン | |
東北新社 |