prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「死を処方する男 ジャック・キヴォーキアンの真実」

2011年10月06日 | 映画
末期患者をムリに生きながらえさせるより安楽死させるべきと主張し、タナトロン(Thanatron)とマーシトロン(Mercitron)という自殺装置を作った、ドクター・キリコを地でいっているような実在の医師・ジャック・キヴォーキアンをアル・パチーノが演じ、エミー賞を獲得したテレビドラマ。
監督はバリー・レヴィンソン。脚本はアダム・メイザー

主人公を裁く判事が「法より上のものはない」と言い放つセリフに違和感をおぼえる。人の命やどう生きるかといった判断を自分でできることより、法の方が上なのか、という疑問を持った。
日本でもとにかく寿命を長くすればいいというふうに見える医療制度を見ていると、人の生き死にを役人が決めるのか、といった疑問を持つことがある。

一方で、医者が自殺幇助するを認めると死にたがっている患者の後押ししてしまうという面も無視できず、どこまでが患者の意思なのか、それを体現できるのは医師だけなのかという疑問も湧く。
いずれにせよ難しいテーマで、作者もはっきりこうと言い切るのではなく、キャラクターの面白さに依っている感はある。

相当にエキセントリックで弁護士を解雇して自分で自分の弁護を始めてしまい、検事に当り散らすあたりはアル・パチーノの演技の見せ場。
弁護士の方も思想的に共感しているわけではなく、弁護を買って出たのは政界にうって出るのに名前を売るため、というのがアメリカらしい。

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