軍事政権と宗教カルトとが手を組むとは考えるだに気持ち悪いが、どう結びついてるかは必ずしも腑に落ちるように描けていない。
コロニア・ディアルデとはナチスの残党で元衛生兵のパウル・シェーファーを中心にしたカルトなのだが、シェーファーを演じるミカエル・ニクヴィストは不気味だが、ナチスという面がはっきり描かれていないので何かパズルのピースが抜けているような印象に終わっていて、すこぶる興味深いモチーフを扱っているわりに突っ込み不足のうらみがある。
途中から脱出劇になるが、コロニアとドイツ大使がぐるになっている展開がだから通俗的なストーリー上のツイストみたいになっている。
主人公はドイツ人カップルなのだが、エマ・ワトソンはともかくドイツ人であるダニエル・ブリュールも英語を話しているのは、チリを舞台にしているのにも合わないしナショナリティを曖昧にした。
国連大使でもあるエマ・ワトソンが主演するところに人権意識の顕揚という面もあるのだろうけれど、いささか優等生的で潜入したヒロインがカルトの性格からして当然性的な興味丸出しの視線で見られるが、そのあたりの突っ込みは緩く、すでに妊娠した別の女性に振り分けられたみたい。
(☆☆☆)
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映画『コロニア』 - シネマトゥデイ