体内の血球たちの働きとその主である人間とを並行して描き、しかもその人間を父親と娘の二人にした脚色に感心する。
ある程度「ミクロの決死圏」「インナースペース」の二元描写を参考にしたのかもしれないが、さらにその先に行っている。
これは輸血して血球が移動することになるなと思ったら、果たせるかな期待通りになる。
原作はマンガそれからアニメなのを、赤血球や白血球が永野芽郁や佐藤健にキャラクター化して思い切ってマンガチックな表現に移行している。
「翔んで埼玉」の武内英樹監督の面目躍如といったところ。ちなみに監督の名前がエンドロールの最後にぴたりと止まる。
永野の華奢な身体つきが気弱なキャラクターに、佐藤の身体能力の高さ(「るろうに剣心」シリーズの大内貴仁がアクション演出を担当 )が戦う白血球細胞にそれぞれはまっている。
文字通り単純明快な色分けが娯楽映画にふさわしい。
ものすごい数のエキストラを使っていて、どの程度デジタル処理しているのか目をこらしたが、当然ながらわからなかった。相当に実際に数集めたのではないかな。
生まれたての血球や血小板に小さな子供を使っているのが可愛い。その中からガン化するのが出てくるのを、なぜなのかわからず、どうしようもないこととして描いているのがフェア。一日5000個もガン化しているとは知らなかった。
血球が負傷すると赤い血が出るというのはどういう理屈なのかよくわからないが、まあ記号的表現と割り切ればいいでしょう。