ロイ・コーンが弟子(Apprentice)にあたるドナルド・トランプに勝つための三つのルールを伝授する。つまり1 攻撃、攻撃、攻撃 2 非を絶対に認めるな 3 勝利を主張し続けろ というもの。
負けたと言わなければ負けたことにはならないという屁理屈は確かに「効果」があるといえばあるので、要するに性善説の上にフェア・プレイが行われているという一応の前提・約束事をひっくり返しているわけで、いったん横紙破り、ルール違反をされるとそこから後はなんでもありになってしまう。
今の日本でもしばしば見受けられる、悪目立ちであろうがなんだろうがやったもの勝ち、勝てば総取り、負けたら負けた側も共倒れで、結局そうすると全体とすると目減りして切り捨てられるのは余力のない方ということになる。
トランプの兄の依存症に悩まされるあたりも描かれるのだが、結局共感力不足ゆえに切り捨てて済ませてしまう。
トランプがたびたび資金がショートしたりして経営そのものはおよそ手堅くはないのをはっきり描いている。
後半は背景や調度品が贅沢きわまるものになっていくが、この映画の製作陣はどうやってそれらを用意したのだろう。
この映画はアンチトランプにもトランプ支持層にもおおむね受け入れられているという。
ひとつはトランプが個人的なパーソナリティよりはアメリカ的資本主義的な論理のひとつの行き着く先のモンスター化を示しているからで、教えを引き継いでいるのに受け継いだものを渡そうはしない、