prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

日本映画専門チャンネル 是枝裕和×想田和弘 ドキュメンタリーを考える

2018年06月10日 | 映画
通常の対談とはかなり体裁が違って、だだっ広い倉庫の四つのテーマごとに設定された四か所に白いパネルを立てて前に机と椅子二脚を置き、そこで二人が対談するのをカメラの後ろにスタッフがいるという雰囲気を消すようにかなり離れた場所から、あるいは極端な広角レンズを使ったりして突き離すような調子で撮っている。
画作りでいうと何だか実相寺昭雄みたいと思ったくらい(演出にモルモット吉田とクレジットされていた)。

今回この企画に連動して放映されるテレビマンユニオンで制作された是枝監督のドキュメンタリーは放映枠を提供したフジテレビが全権を持つのではなく、基本的に窓口として関わるいったやり方でかなり制作者の権利を認めたものになっているのが今の時代とおよそ違うといった話が出る。

テレビ局が全権利を押さえてドキュメンタリーの実作者が下働き化すると、権利のないところには責任感も生まれないので無責任化するしモチベーションも下がる、といった発言をしていたが、これ映像作品作りの現場に限った話ではないだろう。

お金を出した側が権利を総ざらえするのではなく、作り手の働きに対する対価としてお金が払われるという当然のことが行われる現場の方が、モチベーションも上がるし結局作品的にはもちろん金銭的な成果も出るということになる。

それにしても、話は飛ぶがことカネを出した側に出された側は盲従しなくてはいけないとするような「万引き家族」の制作に文化庁助成金が使われたことに対する批判というかいちゃもんは、労働に対する対価としてお金を貰うとする当然のことがこの国では金を貰う側に根強いというかなり暗然とした状況を映し出す。

考えてみると、私も文化庁の助成金の申請書を書いたことがあるが、色々調べてどういう文化的価値があるか縷々綴っただけで別に忖度する必要もなかったし、反体制的といえばいえる内容だったけれど無事に下りた。文化庁は基本普通に仕事していて、あれだけ突出して騒ぐのはどうかと思う。


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