prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「白いたてがみのライオン」

2016年02月03日 | 映画
新国立劇場で. オペラ「イェヌーファ」の上演に先立ち、レオシュ・ヤナーチェクの生涯を描いた劇場未公開のチェコ映画「白いたてがみの ライオン」上映会を開催したので行ってきた。無料ということもあり、1000人前後収容の中劇場の半分くらいの入り。村上春樹の「1Q84」にヤナーチェクの「シンフォニエッタ」が出てきたのもいくらか関係あるか。

専門の映画上映会場でない割に上映効果は良好。ただし、もともと1:1.33フレーム(スタンダード・サイズ)だったろう映画にしても横が詰まりすぎていて(わずかにオミットされた部分がカーテンに映っていた)ほとんど正方形フレームになっていた。

ヤロミル・イレッシュ監督 ルディック・ムンファー主演 1986年 チェコ映画。
東京映画祭で上映されたことがあるらしい。DVD未発売。VHS(!)がリリースされたのみ。

老いたヤナーチェクが孤独な子供時代を回想するところから始まり、自在に時制を交錯させながら生涯をつづる。
前半は「イェヌーファ」の創作の苦心と娘の病死を絡めて描き、曲に導かれるようにオペラの舞台の人物が現実の家に入り込んできて、それに続いて娘もオペラを歌いだす、といった創作と現実が交錯する技法を使ったりする。
こういった現実とオペラの舞台との交錯は後半のロマ(ジプシー)女性との恋の描写にも使われ、劇場で上演中のオペラの舞台にその女性がイメージの中で入り込んで歌うといった調子。

ものものしいタイトルからもっと堅苦しい内容かと思うと、基本的には娘も含めて女性たちとの関係から生きる歓びと苦しみをともに受け取り、創作に昇華していくドラマなので結構とっつきやすい。女優さんたちがみんな美人でセクシーで、当時社会主義国の製作ながらヌードもあり。

役人がリハーサルで厭戦的な歌詞をけしからん、戦争に行くのは名誉なことだと変更させても、本番でぬけぬけと元に戻す、どころかもっと過激な歌詞に変えてしまい、しかし聴衆に大ウケなので役人も拍手せざるをえなくなる、といった痛快なシーンもあり。これまた当時の社会主義国でよく作ったもの。



本ホームページ



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。