ワイダという監督もさまざまなスタイル・作風を使い分ける人で、これなどすごくきっちり結構が整ったドラマ。
ダニエル・オルブリフスキが川を渡ってやってきて始まり、また川を渡って去っていくところで終わる。川を渡るというのがひとつの区切りになっていて、再生の象徴にもなっている。
会いに来た女性がすでに亡くなっていて、入れ替わり立ち代わり現れるさまざまな女性たちがあとを埋める。
死を前にしているだろう叔父や対照的に猟銃(=死)を手にして弄んでいる若い女など、さらにサブ的な人物配置のバランスが巧み。
原作者のヤロスラフ・イヴァシュキェヴィッチがさらに最初と最後の列車の中で特別出演するのが恭しい扱い。