お話の進み方がストレートでなくて、なぜ抜刀斎を恨んでつけ狙っているのか抜刀斎の亡妻とその弟とのいきさつを伏せてから明かし、さらにそのいきさつを画面にして描くという調子。
だから激しい剣劇シーンが続いてもそれで勝ち残ってレベルを上げていくのではなく、逆に後退していくような感触を残す。
人を殺しまくってきたのを肯定するわけにはいかず、かといってむざむざ殺されるわけにもいかない図といったところ。
明治の世に時代は変わったわけだが、その「進歩」を無邪気に肯定もできずかといって時代が変わっていくこと自体を止めることはできない、中心になる価値観を確定できないジレンマに見合っている。
剣劇シーンそのものの素晴らしさにも関わらず、ずうっと続くとだんだんくどく停滞した感じが混ざってくるのは残念。
美術、衣装、ヘアメイク、すべて洋画なみにゴージャス。
YouTubeのメイキングでアクションシーンで抑えのショットに加えてピックアップショットも撮る余裕のあるスケジュールを組めたのは大きいと語られるが、なるほど全体を見渡せる上に迫力のあるアップが挟まれる。