ちょっとよくわからないのは、せっせとスクラップを積んでいくウォーリーの行為が、地球を浄化する作用とは直接関係ないであろうこと。植物が生き延びてきたのは、植物自身の生命力のせいではないか。なんで日の当たらない冷蔵庫(?)の中に生きていたのか。図式的な環境問題、あるいはノアの箱舟の物語のエピゴーネンとして見ると、微妙なずれがある。あんなメタボ人間たちが荒廃した地球で生きていけるものだろうか。
後半、船の舵の真ん中に明らかに「2001年宇宙の旅」のHAL9000を模した赤いランプをつけたシステムが人間に対して叛乱を起こす。船の操舵が船長に対して叛乱を起こす格好。巨大宇宙船の中でどうやって重力を作っていたのかわからないが、船が傾いてわーっとメタボ人間たちがごろごろと一斉に転がってくるあたりは「タイタニック」のパロディがかっている。
700年前の人類は実写で、現代の人間はCGで表現されているのが皮肉。
何より見ものは、あまり擬人化されていないメカの驚くほど豊かな感情表現。発音かる語彙がきわめて乏しいのに表現のニュアンスが豊かなのは「E.T.」を思わせる。感情表現の仕方が人間の真似ではないのだね。
「ハロー・ドーリー」や、ルイ・アームストロングの「バラ色の人生」などのノスタルジックな曲調が、ゴミ溜めと化した地球に流れるコントラスト。
寸詰まりの四角い錆びた鉄製のボディのロボットが鉄屑を集めてスクラップにしている格好を見て、どこかで見たような気がしていて、終わってから気がついた。「ウルトラセブン」の「勇気ある戦い」に出てきたロボット〝クレージーゴン〟だ。地球に鉄などの資源として自動車を集めに来てプレスして持っていってしまうという奴で、ほぼ人体サイズのウォーリーは可愛いが、宇宙船の中の廃棄物を集める相似形だが巨大な怪獣のようなロボットにもウォーリーと描いてあったみたいだった。
(☆☆☆★★)
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