MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

野辺山を走るナローSL~小海線より少しだけ標高の高い所を走るのも…

2007-08-11 | 博物館・保存施設等

   
   

先日MAKIKYUは小海線で最新鋭のハイブリッド気動車・キハE200形『こうみ』に乗車し、「MAKIKYUのページ」でもこの車両に関する記事を掲載しましたが、この新型車両で運行される臨時列車・八ヶ岳高原列車の終着駅・野辺山は、日本の鉄道(ロープウェイなどを除く)で最も標高の高い地点に位置する駅として知られています。
(清里~野辺山間の長野県側には鉄道最高地点が存在し、それを示す標柱も立っていて近辺に土産物店などが数軒あります)

この野辺山には野辺山SLランドと称する小さな遊戯施設があり、どちらかというとファミリー向けのこの施設内にはゴーカードなどの遊具が幾つかあるのですが、SLランドと名乗っているだけあり、当然その目玉としてSL(蒸気機関車)が園内を走り回っています。
(野辺山SLランドのHPはこちら)

園内は規模もさほど大きいものではなく、SLが走る線路も園内を1周するだけ(エンドレスの線路配置に車庫へ入る分岐線が存在する程度ですが、非電化単線の線路は通称ナローゲージと呼ばれる線路幅762mm(近鉄内部線や三岐鉄道北勢線と同じ線路幅です)と、遊戯施設にある鉄道にしてはかなり本格的な部類に入ります。

この園内を1周する線路をゆっくりと走る列車の乗車時間は1周5分足らずですので、あっという間の汽車旅ですが、使用されているSLは遊戯施設でよくある模造品(動力源に電気などを使用)やアトラクション用に製造されたSL(東京と名乗りながら千葉県にある有名な某テーマパークで走っている鉄道などが該当)などではなく、台湾にあるナローゲージのサトウキビ輸送鉄道で使用されていた本格派で、1948年製の製造プレートや「台糖」のマークなども付いており、正真正銘のSLである事を物語っています。

使用されるSLはスクラップ寸前の状態から復元して1980年代に日本へ持ち込まれたもので、諸事情によりボイラー部分などは別個に新製しており、その関係で機関車の後部が随分出っ張っているのが特徴ですが、この改造が起因してか客車とは直接連結器同士をつなぐ事が出来ず、連結器間にドローバーの様な金属製の棒を挟み込んでいる姿は独特な感があります。

またSLに牽引される2軸客車も2両あって1両目は窓なしのトロッコ車両、2両目は一般の鉄道車両ではまず考えられないドーム型の屋根や家庭用の窓サッシを用いた変り種車両でこちらも注目ですが、ナローSLが牽引する列車への乗車機会自体が希少ですし、走る路線も「日本で一番高い所を走る鉄道」である小海線よりも少しだけ標高の高い地点を走っているのも惹かれるものがあります。
(まあ中国・四川省の芭石鉄路などに比べればスケールは小さいですが、容易に足を伸ばせない遠方ではなく、首都圏からでも日帰りで手軽に乗車できる点も大きなポイントです)

このSL列車は先日MAKIKYUが訪問した際には10時10分~16時10分まで30分間隔で運行され、土・日・祝日や夏休み期間に運行され、それ以外の時期はDL(ディーゼル機関車:一般にはSL程のインパクトはないものの、こちらも木曽の森林鉄道で使用されていた本格派です)牽引となります。

このナロー鉄道の運賃は1乗車300円、またSLランド自体の入場料は無料(稼動車両以外にも、保存されているSLやモーターカーの姿を見る事が出来ます)ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も野辺山へ行かれる機会がありましたら、是非SLランドへも足を伸ばされ、今注目を集めている最新鋭のハイブリッド車両とは対照的なSL列車のノンビリとした汽車旅も堪能されてみては如何でしょうか?

ちなみに野辺山SLランドは国道沿いに位置しており、自家用車でのアクセスは便利ですが、路線バスなどの公共交通機関は存在しませんので、公共交通機関利用で野辺山駅を利用する場合は徒歩で約1kmの道程を歩く(MAKIKYUはこの方法で行きましたが、片道15分程度です)事になりますが、鉄道最高地点への訪問(野辺山駅から2km程離れており、ここも公共交通機関は存在しません)も兼ねてタクシーやレンタサイクル(有料:野辺山駅前の観光案内所などで取り扱っています)などを活用して訪問するのも悪くないかもしれません。

写真はSLランド内を走るSL列車とその客車、走行中のワンシーンと機関車連結部、園内に留置されているモーターカーとSLの製造プレート、ドーム型客車車内の様子です。