MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

遠州鉄道で走るモーター駆動のハイブリッドバス(HEV)~見た目は意外と普通ですが…

2007-08-26 | バス[東海]

先日MAKIKYUが静岡方面へ出向いた際には、浜松市内やその周辺で幅広く路線を運行する遠州鉄道の路線バスにも何度か乗車しましたが、遠州鉄道では全国的にも稀有な存在となっている三菱ふそう製のハイブリッドバス・HEVが活躍しており、今日はこのバスに関して取り上げたいと思います。

HEVは遠州鉄道でも2台しか走っていない様で、それも所属営業所の各路線で「オムニバス」(遠州鉄道では低床ノンステップバスをこの様に呼称しており、充当ダイヤが決まっています)のダイヤに入る様ですし、場合によっては一日中運行しない事もある様ですので、せめて姿を見られればと思い、浜松駅のバスターミナルに十数分張り込んでいた所、大塚経由新貝住宅行き(大塚ひとみヶ丘線)として出没しましたので、MAKIKYUも貴重な機会という事で乗車して来ました。
(まあ浜松の方にとっては大して珍しいものではないのかもしれませんが…)

この車両は2004年に三菱ふそうが発売開始した低公害バスで、「モーターで駆動し、エンジンで発電する電気ハイブリッドシステム」を用いているのが特徴で、エンジンを動力の主体としている一般的なハイブリッドバスと大きく異っており、この様な仕組みは、今年夏に「世界初のハイブリッド鉄道車両」として営業運行を開始して話題となっているJR東日本のキハE200形気動車『こうみ』を連想させられます。

勿論HEVも一般の路線バスに比べ、騒音や排出ガスの低減という面では非常に優れたものとなっており、トロリーバスの様に静かな走行音も特徴的ですが、見た目はHEVという標記と天井の張り出し(これもHEVに限らず、一般のハイブリッド車や天然ガス車でもよく見られますので…)を除くと遠州鉄道の路線バスで主力を占めている一般のNEW AEROSTARと大差なく、塗装なども他のオムニバスと同一ですので、一般へのPRという点では今一歩の感があるのは惜しまれます。

その上三菱ふそうHPに掲載されているプレスリリース(該当記事はこちらをクリック)によると、発売価格は約4000万円と一般のノンステップバスに比べて大幅に高い様ですし、車内も後部にデッドスペースが多く、座席数も一般のノンステップバスに比べて少なくなっている事等も難点です。

またエンジンではなくモーターを使用している事もあり、シフトレバーこそ付いているものの、これはギアの変速ではなく進行方向を設定するもの(一般のフィンガーコントロールと同形状ながら、R・N・Dの3通りのみ・またクラッチペダルは当然存在しません)となっており、ギアチェンジによる変速時の衝動が発生しない事もウリとなって
います。

しかしMAKIKYUが乗車した限りでは、一般の路線バスに比べて発進や低速走行時、停車時の衝動が激しく感じられ、運転士の方から伺った話でも運転には結構気を使う様ですので、本格的な普及に向けてはコスト面と共に、運転性の改善も必須の様です。

ただ今後これらの問題を克服し、環境負荷の少ないバスの普及を期待したいものですし、遠方から浜松を訪問する機会があっても容易に乗車できる状況ではありませんが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も浜松を訪問され、もし幸運にもHEVに遭遇する機会がありましたら、是非一度試乗されてみては如何でしょうか?