豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

東野圭吾 『容疑者xの献身』

2009年06月27日 | 本と雑誌
 
 わが学部では、2年次の秋に翌年度のゼミ生を募集する。

 ぼくのゼミは“癒し系”という風評が先輩から伝わっているらしく、結構応募者が集まる。
 ぼく自身は、学生時代にゼミだけはかなり真剣に勉強したこともあり、ゼミ生にも大いに勉強してほしいので、“癒し系”と評されることは不本意なのだが・・・。
 
 その新ゼミ生選考の面接で、ぼくはいつも「最近読んだ本で一番印象に残っているのは何か」を聞く。
 学生の「本離れ」、「読書離れ」があまりにもひどいので、せめてぼくのゼミを志望する学生には本を読んでもらいたい。
 ゼミ面接で何を聞かれるかということもすぐに伝わるので、応募者は何か1冊は読んでくる。

 その回答の中で、毎年一番多いのが東野圭吾の小説である。
 そんなわけで、毎年ゼミ面接が終わると、彼の作品を読んでみようと思うのだが、どうもタイトルがいまいちで読まないままになっていた。

 昨日、大学からの帰りの車中で読む本がなかったので、学内の本屋に立ち寄り、文庫本をあさった。
 どうせなら最近の選択基準である新人賞受賞作ということで、東野圭吾『容疑者xの献身』(文春文庫)を買った。
 2006年、134回直木賞受賞作とある。

 さっそく読み出し、一気に読んだ。
 やっぱり直木賞受賞作くらいになると、桐野夏生『柔らかな頬』にしろ、宮部みゆき『理由』にしろ、ハズレはない。
 こんな謎解き推理小説が直木賞を受賞するとは、時代も変わったものだ。

 ぼくが以前勤めていた出版社でも数学書を出しており、数学科卒業の編集者が何人かいた。
 確かに変わり者が多かった。
 しかし、いくら片想いとはいえ、“容疑者x”のようなことまでするだろうか。これでは(第二の)被害者が気の毒すぎるのではないか。ぼくはこの被害者がもっと重要な役割をになうのでないかと、予想しながら読んでいただけに失望した。
 謎解きの辻褄合わせにしても、こんな殺人が許されるのだろうか。

 謎解きには不満が残ったが、この作者の描く「片想い」は悪くない。
 謎解き小説などではなく、純粋に独身数学教師の片想いをテーマにすればよかったのに、と思う。
 
 最近の学生はこういう小説が好きなのか。

 * 写真は、東野圭吾『容疑者xの献身』(文春文庫、2008年)の表紙カバー。

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G・マクドナルド 『死体のいる迷路』

2009年06月27日 | 本と雑誌

 出だしの1、2ページで読む気を失ったG・マクドナルド『死体のいる迷路』(角川書店)の表紙カバー。

 あの頃の角川ミステリーの単行本の雰囲気は懐かしいのだが・・・。

 

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