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小説を書くためのハウ・ツ・本を10冊以上読んだ。
どれが1番とはいえないが、ベスト3は、スティーブン・キング『小説作法』(アーティストハウス)、ディーン・クーンツ『ベストセラー小説の書き方』(朝日文庫)、L・トリート編『ミステリーの書き方』(講談社文庫)だろう。
いずれもアメリカ人の書いたもの。やっぱりアメリカ人の実利主義は徹底している。「文学」やってる人には身も蓋もない代物かもしれないが、とにかく何かを書き上げてみようというぼくには役に立った。
校條剛『システム小説術』はクーンツを批判していたように記憶するが、ハウ・ツ・本としては悪くなかった。1980年代のいわゆる“ブロックバスター時代”のアメリカ出版業界という時代背景が影響している印象はあるけれど。
どの本にどのようなアドバイスが書いてあったかは、あらかた忘れてしまったが、これらの本から得た知識はぼくの血肉になっていると思う。
もしこれらの本を30代までに読んでいたら、ぼくは本気で小説家を目ざしていただろうと思う。
いまでよかった。
若桜木虔の本だったと思うが、作家になりたければ、まず最初に安定した仕事に就け!というアドバイスがあった。
この第一段階はクリアしている。
新刊書店やブック・オフなどに並んでいる膨大な文庫本を眺め、小説新人賞の歴代受賞者リストに載っている無数の消えていった受賞者の名前を眺めるにつけ、小説家として食っていこうなどという夢が、いかに無謀なことかがよく分かる。
遊びで書いているくらいがちょうどいい。
* 写真は、ディーン・クーンツ『ベストセラー小説の書き方』(朝日文庫、1996年)、の表紙カバー。