チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

「春江水暖」

2021年03月06日 | 映画

曇、13度、86%

 一年以上ぶりに映画を観に行きました。中国映画「春江水暖」です。この一年、たくさんの新しい映画を観逃しています。お家で「プライムビデオ」ばかり観て過ごしました。もう、映画館に行くのもいいかな?というよりこの「春江水暖」をどうしても観たいそう思って出かけました。

 30代初めの若い監督の映画です。初めての映画作品だそうです。話は中国杭州「富陽」の一家の話です。どこの家でもある普通の話を変わり行く「富陽」の街と変わらない「富陽」の街の自然を映し出したものです。「どうしても観たい。」おそらくこの「富陽」の景色を観たかったのかもしれません。

 杭州「富陽」は実在する街、監督の出身地でもあります。中国は北から南にかけて大河の流れる周りに大都市があります。上海より南、杭州にほど近い「富陽」は「富春江」が流れています。中国の川は日本の川とは比較にならないほど海に近づけば近づくほど対岸が見えないくらいの大きさです。

 話は四人息子の家族、それぞれの家庭事情が母親の病気、認知症を発端に進みます。日本でも同じ様な話はたくさんです。レストランを経営する長男、漁師の次男、障害児を抱える三男、結婚もしない四男。長男の娘の結婚話が顔を出します。年寄り世代、その子供の世代、孫の世代と世界観の違いもこれまた日本の現代と同じものです。

 話の筋より、「山水画」を下敷きに考えられた映像の美しさがこの映画の見所です。川を映す、山を映す、季節を映す、2年近くかけて撮影された「富陽」の自然の美しさです。新しく建設された建物も見られます。滔々と流れる川は歴史、人の営みを見続けてきた証です。

 3時間近い映画です。とっぷりとこの景色の美しさを堪能できます。私は「富陽」の街とよく訪れた「深圳」の街の近代化を重ね合わせていました。世界中、人の生活の基本は変わりません、悩むこと喜ぶこと悲しむこと。

 私の心の奥に「香港」への懐かしさが湧き上がってきました。出演する人たちはほとんどが素人だそうです。監督の故郷「富陽」への思いがこの映画の基盤に流れて私たちを強く動かしていると感じました。

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ダニエルグレイグとコリンファース

2019年10月24日 | 映画

雨、17度、91%

 来年上映が決まった最新の「007」の撮影状況などをインスタで追っていました。先日、ひょっこり出て来た画面がこちらです。歴代の「007」の中で最も「007」らしいと私が思うダニエルグレイグと「キングスマン」でやはりスパイを演じるコリンファース。好きな俳優二人です。好きですがこの二人を比較したことがありません。こうして並べてみると、ダニエルよりコリンファースの方が素敵に見えます。

 ハリウッド映画に出ているお二人ですが、共にイギリス人です。「イギリス人が私の好みかしら?」お歳もほぼ同じ歳。背はコリンファースの方が高いそうです。世界的にもファンの多いお二方、私などがあれこれ言う必要はありません。時として弱いところが垣間見られるコリンファース、絶対に強いイメージのダニエル。コリンファースの声はくぐもって聞こえ辛いことがあります。ダニエルの声は低くても何処までも届きそう。

 二人に共通することといえば、スーツ姿の美しさです。トムブラウンの最新スーツを着るダニエル、仕立てのいい英国スーツを着るコリンファース。女ですから惚れ惚れと見ます。時折、私服のお二人のスナップも見かけます。何処にでもいそうな50代の男性に見えますが、そこは世界的なスターの要素が見え隠れ。「どちらもいいわ。」

 雨が降り出しそうな午後、この一枚の写真を見ながら思いを巡らす60代のおばさんです。

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箱に入った子犬のプレゼント

2019年08月15日 | 映画

雨、29度、85%

 この夏の暑さで午前中はしっかりと身体を動かしますが、午後になると家にこもって本を読んだり、Amazonが配信してくれる無料の映画を観て過ごします。このAmazonの無料の映画はつい最近の作品も含まれています。洋画も邦画も吹き替えでないものまで含まれています。観始めたもののあまり好きではない映画ならすぐに消せます。反対に繰り返し観ることも出来ます。この夏こうして随分映画を観ました。

 高校生の頃からダイアンキートンという女優が好きです。ダイアンキートンが出ているのでその映画を観るのではなく、「この映画良さそう。」と思ってみるとダイアンキートンが出ています。この夏も観たいものリストに貯めてある映画をランダムに観ていると3本ダイアンキートンの映画に当たりました。そのうち2本の映画で彼女が演ずる女性がプレゼントに子犬をもらいます。一つはナレーターだけで映像がありません。「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります。」での一コマが見出し写真です。モーガンフリーマン演じる夫からプレゼントに子犬をもらって箱から出した場面です。

 箱に入れて犬をプレゼントする、日本では考えられない光景です。20代の初め、初めてそのシーンを映画で見た時の驚きと「いつか、こうしてプレゼントされたらいいなあ。」と思ったことが記憶に焼き付いています。その映画は「レッズ」実話に基づいた話です。「世界を揺るがした10日間」を書いたジョンリードとその妻との話です。ジョンリードを演じるウォーレンビュティが子犬を入れた箱をプレゼントしたのは妻を演じたダイアンキートンでした。今でのしっかりと記憶に残っています。

 振り返ってみると、ダイアンキートンが箱に入れらた犬をプレゼントされる映画を少なくとも4本は観ています。箱の蓋を取る時のキートンの表情が素晴らしい。それも私がキートンを好きな理由の一つかもしれません。たとえ映画の中とはいえこう幾度も箱に入った犬をプレゼントされる女優は少ないのではないでしょうか。羨ましい限りです。

 

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コリンファース「喜望峰の風に乗せて」

2019年01月12日 | 映画

雨、7度、92%

 コリンファースは好きな俳優の一人です。昨日のお昼、彼の新しい映画の初日だと知りました。3時から1回だけの上映です。急に行くことに決めました。

 「ブリジットジョーンズの日記」で初めて知ったコリンファースです。「英国王のスピーチ」でアカデミーをとって、最近では「キングスマン」シリーズで目にします。イギリス人そのままのような人柄に感じます。

 実話を基に作られた「喜望峰の風に乗せて」です。この邦題より「THE MERCY」原題の方がこの話を適切に伝えています。1968年、単独無寄港の世界一周ヨットレースに挑戦したアマチュア船乗りの話です。負債を抱えた会社経営者が選んだのは会社も自宅も担保にしてこのレースで得る賞金と栄誉でした。でも相手は海、自然です。思うようにいかない記録に虚偽の記録を報告します。当時はGPSもありません。実は彼は喜望峰まで行かずUターンしていたのです。その罪の意識に気付き、帰港する前に海に身を投げます。その時彼が感じたのが「MARCY」。単純に日本語に訳せば「慈悲」です。彼の家族愛、夫婦愛が下敷きにあります。

 宗教的なバックグランドがあるので日本では受け入れられないかもしれません。日本人には「キングスマン」のコリンファースの方がすんなり入ってくるはずです。コミカルな役、真面目な役、役者さんですから幅広くやらなくてはなりません。紳士的な顔つき、正当な米語ではない英語、くぐもった声、私が好きなのはやっぱり少しコミカルなコリンファースです。

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「散り椿」

2018年10月07日 | 映画

曇、22度、90%

 台風の風が吹く中、昨日の朝一番の上映の「散り椿」を観て来ました。向かったのは福岡で一番古い映画館「大洋劇場」です。小さい頃から映画好きな両親に連れられて幾度もやって来た映画館です。当時はこの付近にまだ3件ほど別の映画館がありました。淘汰されて残るはここだけとなりました。レトロな映画館です。天気が天気だけに、館内は湿っぽくすら感じます。待合の壁には往年の俳優たちのポートレイトです。

 上映場は4つ、その一つに入ってびっくり、 誰もいません。「貸切だ!」と一人はしゃぐ私でした。ところが上映ベルが鳴ると、男性が一人、別の女性が一人、結局、4人になりました。

 ここ数ヶ月、洋画も邦画も観たい作品がありませんでした。テレビの映画案内でこの「散り椿」の「殺陣」の美しさを紹介していました。久しぶりに映画を観たいと思います。主役の男優2人の名前すらとっさに出てこない私です。30年も日本を留守にしていたのでご勘弁ください。そこで、主人が帰宅するや「映画に行こう。」と誘いました。

 「散り椿」題名からして風情があります。お話は江戸時代の藩政の勧善懲悪に夫婦愛を絡めたものです。映像がCGを使ったものとはいえ、市川崑の映画を思い出させるような日本の原風景でした。前評判通り主人公二人、岡田准一と西島秀俊の散り行く椿を背景にした「殺陣」は美しいものでした。映画そのものの作りが良く、余韻が残る作品に仕上がっています。キャストの最後で原作者が昨年末亡くなった葉室麟だと知りました。

 葉室麟の作品は1冊しか読んだことがありません。陶芸家「乾山」が好きな私のために友人が送ってくれた「乾山晩愁」です。藤沢周平とは違う時代物の色濃く香る小説を書かれる人だと思いました。この映画の出来も手伝っていつかは葉室麟の作品を通しで読んでみたいと思います。

 キャストが最初と最後に流れます。それぞれの名前はきっと自筆です。この俳優がこんな字を書くのかと興味深く見せてもらいました。よくは存じませんが監督木村大作の字は最後を締めくくるにふさわしいいい字でした。お時間があればお勧めしたい映画作品です。

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福岡中洲「大洋」

2018年01月05日 | 映画

雨、7度、61%

 クリスマス休暇で日本に戻っていた主人と映画に行きました。暮れの26日、本当はお墓の掃除に行きたかったのですが、朝から北風が吹きかなりの寒さです。翌日は香港に戻る主人のためにお墓の掃除はやめました。急遽、「映画に行こう。」ということになりました。見に行く映画は決まっています。「オリエント急行殺人事件」です。上映している映画館を探します。

 以前にも書きましたが、福岡は映画館の数が減りました。おそらく日本中同じことだと思います。私が小学、中学、高校と通った福岡の西の街には、50年前には映画館が4つありました。「東宝」「松竹」「東映」「日活」。それぞれ所属の俳優さんの顔写真が映画館の外に飾られていました。まだ、所属の映画会社の映画にしか出演できなかった頃のことです。もちろん邦画ばかりでした。この街に今は映画館は一つもありません。その頃、洋画を観るためには天神や中洲に出向きました。とにかく映画好きな私の両親でした。

 私が日本に帰国して観た映画は「オリエント急行殺人事件」で5本目の映画になります。主人と一緒に日本で映画に行くのは30年ぶりです。一番近い中洲の「大洋」に行くことにしました。私の知る限り福岡の中心部で昔からの映画館が残っているのはこの「大洋」だけです。

 建物も昔のまま、チケットを売る窓口と映画館に上がるエレベーターの入り口が違うのも昔のままです。のんびりしたチケット売り場のお姉さんにチケットを切るお兄さん。狭い上映室のシートだけはやや新しいものが据えられています。お昼前、観に来ている人もほんの7、8人です。

 香港も映画館の数は減りました。30年前の香港の映画館、タバコの煙は立ち込めて、おまけにカビの匂いまでしました。数は減り、商業ビルの一角が映画館となりました。今では暖かなひきたての豆で淹れるコーヒーも飲めます。ホットドックもポップコーンも出来たての暖かさ。ナコチッップだって食べれます。その上バーもついていて、軽くワインやショットを頼むこともできます。

 私が行った福岡の3軒の映画館、飲み物は自動販売機。暖かな食べ物もありません。もちろんこの「大洋」も同じです。昭和のレトロを引きずったような「大洋」映画館。上映前に流れたフィルムで知ったのですが、私の生まれた翌年からこの地で営業しているそうです。

 「オリエント急行殺人事件」の映画そのものはハリウッド映画らしい大掛りな映画で楽しみました。それよりもこんな映画館で映画を観れたことに喜びを感じました。リバイバルの映画を定期的に上映しているそうです。あいにく寒さで映画館の建物を撮り忘れています。たった一枚、これからのリバイバル映画の予定表だけ写真に撮りました。なんとも時代遅れな「大洋」、私が足繁く行くことになりそうです。

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フランス映画「ELLE」

2017年09月05日 | 映画

雨、22度、90%

 本帰国が決まって、密かに楽しみにしていたことがありました。映画です。香港ではもちろん香港映画、中国映画、ハリウッド映画、韓国映画、日本映画が主流です。ハリウッド映画はアメリカと同じ日に封切られます。ところが小品の映画やヨーロッパ映画などは、よほど話題がない限り見ることができません。日本に帰ればそんな映画を見ることができると思っていました。

 昭和30年代始めに生まれた私が育ったこの福岡は、小さい頃は至る所に映画館がありました。身近な映画館は「松竹」「東宝」「東映」で邦画がかかります。繁華街の「スカラ座」や「朝日会館」に行けば洋画が見られました。小さい頃からタバコの煙の中よく映画を観たものです。日本はいつ頃からか大型映画館ができて、小さな映画館が締まっていきました。それは香港も同じ状態です。歩いて行ける映画館はなくなり、映画館の数も減りました。

 新聞に小さく載る映画情報、どれもこれも邦画です。洋画の数が圧倒的に少ない。しかも洋画が題名を日本語に置きなおすので、原題で探しても見つかりません。福岡ではいい洋画が観れないのかとがっかりしていました。先日、福岡の中心、天神の海寄りを車で走っていると、 あれ、映画館です。小さな映画館です。出てるポスターは全部洋画です。ホッとしました。これで洋画を見ることができそうです。

 昨日は、イザベル ユベール主演のフランス映画「ELLE」を観に行きました。月曜日のお昼過ぎです。人が少ないかと思えばすでに行列ができていました。この映画館、4本の映画を2つの劇場で上映時間を回しながらやっています。 小さな劇場です。

 「ELLE」はイザベル ユベールがゴールデングローブ賞などを獲った作品です。ストーリーはレイプされる場面から始まり、主人公ミッシェルの子供の頃の記憶がフラッシュバックするスリリングな話です。ミッシェルの母親、友人も含めフランスならではの男と女の関係が描かれています。言うまでもなく、イザベル ユベールの演技は見事でした。

 小さな映画館、心地の良いシート、洋画ばかり。しばらくこの映画館に通い詰めそうです。

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「LA LA LAND」を観る

2017年02月27日 | 映画

晴れ、4度、82%

 今日はアメリカのアカデミー賞の発表の日です。昨日は、かねてから評判の「LA LA LAND」を観に行きました。日曜日だというのに空席が目立ちます。これが賞を取れば満席になるはずです。ゴールデングローブ賞をすでに取っている「LA LA LAND」、「タイタニック」と並ぶノミネートの数だそうです。そして、私にとっては何十年ぶりの日本で観る映画となりました。

 映画のオープニングからミュージカル映画を満喫できます。音楽部門の評価が非常に高いこの映画、ジャズばかりではなくオリジナルの曲も合わせて堪能できます。ジャズピアニスト「セブ」を演じているライアンゴスリングは、全編、吹き替えなしでピアノを演奏したそうです。ピアノ、シンセサイザーを叩く手元が幾度もクローズアップされます。お話は、売れないジャズピアニストと作品に恵まれない女優のラブストーリー。舞台はロサンゼルス。テンポの速い映画作りですが、話の展開もこの映画の持つ雰囲気自体がなんとも昔のハリウッド映画です。

 音楽が素晴らしいばかりではありません。主人公ミアを演じるエマストーンが着ている衣装がどれもこれも可愛い。単色、いろんな色を着こなします。ミュージカルですから歌って踊る、踊るときのタップシューズも映える少し膝上のスカート丈。素敵ではなく可愛い衣装です。一方、売れないジャズピアニストを演じるライアンゴスリング、彼の細身のスーツ姿がいい感じです。その色合いが渋いテラコッタ色だたり、真っ黒だったりします。極め付けはネクタイです。帯締めにでも欲しいような細いネクタイの色が細身のスーツにうまく収まっています。衣装デザインもアカデミーにノミネートされているとか。

 衣装ばかりか映画に散りばめられた小物も見ごたえがあります。セブの乗るコンパーチブルのビュイック、ミアのシェアしている部屋のシャワーカーテンなんか目がクギ付けになりました。

 映画見終わって、楽しかったと実感できる映画です。夢があります。音楽と踊りとでワクワクします。オーソドックスなハリウッド映画です。CGなんか使っていません。最近のハリウッド映画は、中国市場向けに流暢な米語を話す中国人が出てきたり、訛りの抜けないインド人が出てきますが、そんな配役一つもありません。私が小さい頃から憧れて観ていたハリウッド映画そのままです。

 「映画はこうじゃなきゃ。」と内心叫んでいます。毎年、アカデミー発表の日は朝から我が家のテレビは付け放しです。日本時間10時からWOWOWで中継が始まります。

 「LA LA LAND」のテーマミュージック「CITY OF STARS」を聴きながら、レッドカーペットが始まるのを待ちます。

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映画「怒り」を観る。

2016年11月13日 | 映画

曇り、23度、85%

 日本映画「怒り」を昨日観てきました。2時間20分、すっかり映画の世界に没入してしまいました。久しぶりに観るいい日本映画でした。

 日本ではふた月ほど前に公開されていたはずです。高い評価を得ていましたが、ポスターを見ても私がわかる俳優は、渡辺謙と宮崎あおいだけです。吉田修一の原作、李相日監督の映画は「悪人」も観ています。

 「怒り」は東京、千葉、沖縄3カ所別々の話が、最後には一つの殺人事件に結びつく同時進行型の映画です。ポスターに名前を連ねる俳優さんはみなさんそれぞれに良い演技をしています。少し演技が前に出てしまう渡辺謙もぐっと控えめな演技です。殺人事件に結びつきますからミステリーなのですが、ミステリーとは感じさせない映画です。

 3カ所の話を同時に繋いでいくその手法が、車のクラクションで場面が切り替わったり、宮前あおいが渡辺謙に「これが私の好きな東方神起の曲よ。」とイヤホーンを渡しそれを渡辺謙が耳にした途端に東京のゲイパーティーの会場のざわめきに切り替わります。その切り替わりのうまさに話の流れが邪魔されません。映像が澄み切って見えるのも沖縄の青い海ばかりではありません。音楽も静かに流れています。最後のクレジットで坂本龍一の作曲だと知ります。

 日本映画は期待して見に行ってもどこかで物足りなさを感じて帰ってきます。これぐらいなら香港映画の方がもっと迫力あるなあと思っていました。飛行機の中でも日本映画は飽きてしまって別の映画に切り替えることしばしばです。俳優の誰それ目当てで行く映画もありますが、映画って話の筋立ても含めてたくさんの人で作られる集合作品です。この映画を見て思いました、この映画を強いて代表するのは、監督の李相日です。一度だけ何かのインタビューでご本人を見たことがあります。まだお若い監督です。日本の俳優さんってねえ、と思っていた私がこの映画の帰り「日本の俳優さんの層も厚いわね。」などとうそぶきます。いい映画を見終えると疲れます。幾度もいいシーンを反芻します。小さな一コマ、宮崎あおいが家を出て、松山ケンイチと一緒に暮らすため家から荷物を運び出します。小型トラックの裸の荷台に本が積まれています。その本の中に、ミヒャエル エンデの「モモ」が載っていました。この「モモ」の本は、原作に書かれていたのでしょうか。宮崎あおい演ずる「愛子」の夢見るようなおっとりした様子をあの一冊の本に見た気がします。もしかしたら監督李相日のアイディアかもしれません。

 1日経った今もこの映画を繰り返し考えています。いい映画を観た後の疲れはなんともいいものです。

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マットディモンの「ジェイソンボーン」

2016年08月01日 | 映画

晴れ、28度、81% シグナル1

 ボーンシリーズ第5作目、主演にマットディモンが戻って帰って来ました。アメリカ公開と同時に公開した香港、早速観に行きました。16年前に初上映されたボーンシリーズ、アメリカCIAの特殊工作員のボーンが亡くなった記憶と現在の任務とを行きつ戻りつしながらのアクション映画です。数年前の4作目にはジェイソンボーンの役をジェレミーレナーが演じましたが、今ひとつ迫力に欠けます。おそらくボーンシリーズを楽しみにしている人にとっては見劣りのした4作目だったと思います。

 主役にマットディモンが戻って来たジェイソンボーン、前評判は今ひとつでしたが、朝一番の館内観客が一杯です。根強いファンです。ストーリーは、次第に取り戻して行く記憶とその先に見えて来たものと戦う、身分がCIAでないという点が今までとは違います。

 格闘シーンにカーチェイス、ギリシャ、アイスランド、ロンドン、ラスベガスとボーンが飛び回る先々のロケーション、時間が経つのも忘れるほどのテンポの良さです。第1作目のときとは違ってマットディモンの体格が更にがっちりとして来たからでしょう、格闘シーンも迫力があります。ラスベガスの町中を走るカーチェイスは、SWATの装甲車を追うジェイソン、装甲車を追うという発想も面白いのですがこれまたど迫力です。ラスベガスをご存知の方ならその町中の景色も楽しめるはずです。

 アメリカの上映にあわせて[NEWYOKER]の記事も取り上げていました。 ボーンシリーズを観に行く人はジェイソンが次に何をするか知っているのに観に行ってしまう。それが魅力だと書かれています。そしてその魅力は、取りも直さずマットディモンの魅力です。007シリーズにも似通っているのですが、007のジェームスボンドとは恰好の良さが違います。イギリス流とアメリカ流の違いです。女性の私はどちらも好き、カッコ良くて強い男性なら言うことなしです。

 日本公開は10月7日、まだ先の話です。2時間ほどのアクションを観るとすっぽりと自分の世界を忘れることが出来ました。いつものテーマ曲が流れてエンディング、いやはやまだ続きそうなボーンシリーズです。やっぱりジェイソンはマッドディモンじゃなくちゃ。

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