曇、7度、69%
空が白み始める頃、座敷の雨戸を開けます。細かい雨の冷たい空気の中に微かに香ります。思わず顔が綻びます。「沈丁花」です。年明けから色づいていた「沈丁花」が綻び始めました。
庭には三代香木、「沈丁花」「梔子」「金木犀」それぞれが季節になると香ります。それ以外にも「薔薇」「檸檬」などの柑橘、「ラベンダー」「ローズマリー」「ノウゼンカズラ」「ミモザ」など香りのある花を咲かせる木が、一年中庭のどこかで香ります。空気に漂う香りは一瞬のこともありますが、その一瞬がどれほど心地よいか。その一瞬を捉えたくて大きく息を吸います。
どの花の香りも好きですが、とりわけ「沈丁花」の澄んだ甘い香りが好みです。柑橘類、薔薇は時として重いほどに香ります。寒さが行きつ戻りつするこの季節、小さな花が日に日に開く「沈丁花」です。 数日は意識して香りを拾います。満開になると、道を歩いていても香るようになります。短い香りの時間、日々の楽しみです。